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古谷亜衣「余暇と観光〜東京スカイツリーが日本にもたらす影響〜」

 

「余暇における活動」というと、私は外出や旅行などアウトドアな活動をイメージする。アミューズメントパークでの娯楽やショッピング、旅行など余暇の楽しみ方には様々な方法が存在する。特に私は旅行や観光といった分野に興味があるため、「日本への観光」という面に着目した。

そこで、今回「余暇と観光」をテーマにし、5月に日本で誕生した「東京スカイツリー」が日本にどのような影響をもたらしているのか、また、東京スカイツリーが建てられたことによって経済面や観光という面においてどのような利点と問題点があるのか調査してみることにした。

 

 

1. 東京スカイツリーとは

 

2012522日に東京都墨田区に創立した、世界一高いといわれている電波塔である。高さは634mあり、「新東京タワー」とも呼ばれている。

開業日から2012710日までは日時指定の完全予約制によって入場券が取得でき、以降は当日券での購入となる。入場料金は個人・団体・障がい者に分類されており、そのなかでも、大人(18歳以上)、中・高生、小学生、幼児によって料金が異なってくる。526日時点では、来場者数が早くも100万人突破し、日本だけでなく、海外からも注目を浴びている。また、東京スカイツリーを含む、商業施設が立ち並ぶ「東京ソラマチ」や、「東京スカイツリーイーストタワー」、「東京スカイツリー駅」などを総称し、「東京スカイツリータウン」と呼ばれている[1]

 

 

2. 日本へもたらす利点

 

東京スカイツリーが建てられたことによる利点としては様々な点が挙げられる。

まず、東京スカイツリーは世界一の高さということもあり、将来都心部のビルがさらに高層化しても電波障害が起きる可能性が低いということである。このことは都心部の主なテレビ局やラジオ局にとっては非常に大きな利点である。また、東京スカイツリーによってワンセグの受信エリアが拡大し、災害時などの情報取得時にデータ放送が利用でき、瞬時に情報が取得できるようになることももう一つの利点である。

 

経済的な面からみると、東京スカイツリー建設によって、日本経済の活性化にもつながり、国内だけでなく海外へのアピールも盛んになっていくと考えられる。

 

最後に、観光の面でみると、日本は主に中国、韓国、タイやマレーシアなどの近隣のアジアの国々へ活発な宣伝活動を行っており、実際にも東京スカイツリーを見に日本へ観光に来るアジアの観光客が増加している[2]

 

 

3. 建設による人々の声

 

東京スカイツリーには様々な利点があるように、問題点も多く存在する。

東京スカイツリーは電波塔で高さもあるため、強い電波を発信している。人体そのものや健康被害に大きな影響はないが、東京スカイツリーに近づくと、頭痛やめまいなどの体調不良、手足のしびれなど身体に異変を感じてしまう人もまれにいるという。

さらに、東京スカイツリー周辺や墨田区では観光客の増加により、騒音やゴミのポイ捨て、東京スカイツリーを少しだけ見物しようとする観光客による、放置自転車や路上駐車などの交通障害が以前よりも多くなったとされている。

 

また、墨田区の地元商店街では、建設前はスカイツリーを見物するために商店街へ立ち寄る観光客も多かったが、今や観光客のほとんどが東京スカイツリーや東京スカイツリータウンなどに流れて行き、地元商店街は客数が激減してしまい、建設前より繁盛しないという。さらに、墨田区の数ある有名な花火大会が東京スカイツリーの建設によって見ることができなくなった地域もあるとされており、世界一の高さを誇る電波塔は利点とともに、様々な問題点も多く抱えている[3]

 

 

4. 観光客を誘う東京ソラマチ

 

東京ソラマチは東京スカイツリー内にある、数々のお店が立ち並ぶ複合商業施設である。その中にはレディースファッションのお店や雑貨店などのお店も入っている。特に、「ソラマチ商店街」と呼ばれる1階にはレストランやカフェ、雑貨店だけでなく様々な種類のお土産売り場などがあり、非常に充実している。

 

また、顧客獲得や宣伝のために「ソラスマイル」というサービスも行っている。「ソラスマイル」とは、東京ソラマチオリジナルのエコでお得なマイレージサービスのことである。「ソラスマイル」のメルマガに登録し、会員になると、「スラスマイル」のマイレージサービスを使用することができる。まず、メルマガ会員なら誰でも入館の際にソラスマイルが付与される。電車などの公共交通機関を利用して来館した会員は割増のソラスマイルが付与される。このように来館の際に手に入れることができるソラスマイルの他にも、メルマガの閲覧、その他イベントへの参加などでもソラスマイルを貯めることができる。その他にもお得なクーポンなどの特典もある。ソラスマイルは、マイル数に応じた様々な特典と交換することができる。また、メルマガに登録すると、東京ソラマチからの最新情報や、登録したショップからのお得な情報がメールで配信される。

 

 東京ソラマチではこの「ソラスマイル」を利用し、様々なイベントやキャンペーンを行っている。例えば、716()までに「ソラスマイル」の会員登録をした人の中から、抽選で50100名に隅田川花火大会実施日の東京スカイツリー天望デッキ入場券引換券が当たるというイベントや、ソラマチ商店街の店舗に並ぶいくつかのスイーツのお店と協力し、月替わりで話題のスイーツや新作を顧客に提供するスイーツ・イベントなど、顧客が注目するような様々なイベントやキャンペーンなどが開催されている[4]

 

 このように顧客を引きつける、かつ顧客にとってお得だと思われるようなイベントやキャンペーン、サービス、情報などを提供することによって、東京スカイツリーやソラマチの宣伝をして数多くの人々に広め、顧客数増加の一手段として行っていると考えられる。

 

 

5. 東京スカイツリーのこれから

 

東京スカイツリーは、観光という面において、また日本の経済活性化という面においては非常に重要な役割を果たしているといえる。まず、高さやデザインなどの外観で観光客をひきつけ、さらに様々なイベントやキャンペーンなどを利用し、アピールや宣伝活動を行っていくことで日本の観光客だけでなく、海外の観光客の呼び込みも積極的に行っている。実際に東京スカイツリーは現在海外からも広く、大きく注目を浴びており、特に近隣のアジアの国々では東京スカイツリーを一目見ようとわざわざ日本へ観光に来る海外の観光客も多いという。このようなことから、電波塔が果たす役割という面において、また観光という面において東京スカイツリーが日本にもたらす力は絶大なものであるといえるだろう。

 

 しかしながら、このような利点の背景には地元住民の苦しみの声も多くある。東京スカイツリーという、さらに日本のテクノロジー技術が発展した産物が誕生した中で、地元商店街でお店を経営する人々は、顧客の減少に悩まされている。年々技術が発展していく中で、東京スカイツリーのような観光施設が次々と誕生し、さらに地元商店街の人々は顧客獲得と需要率減少に悩まされることになるだろう。また、顧客の減少という面だけでなく、ごみのポイ捨てや騒音、違法路上駐車など環境面、交通面、精神面などへの障害が生じるため、東京スカイツリー周辺に住む地元住民の人々にとって、スカイツリー建設に対して批判の意を持っている人も少なくないことを理解しておかなければならない。

 

 日本の経済や観光という面において影響を与えている大きな要因の一つとして、東京スカイツリーが挙げられるのは間違いないだろう。

日本が誇る東京スカイツリーが生み出してしまった問題点とどのように向き合って解決していくのか、それとともに今後さらに充実したサービスや様々なイベントやキャンペーンを行い、そのことが国内だけでなく、海外にどのような影響を与えていくのか、今後の東京スカイツリーの動向に期待したい。

 



[1] http://www.tokyo-skytree.jp/

東武グループHP「東京スカイツリーTOKYO SKYTREE(20127月現在)

[2] http://blog.fujitv.co.jp/newhihyo/E20100807005.html

Fuji TV Copy right 「「東京スカイツリー」メリットと役割は?−新・フジテレビ批評‐フジテレビ」(20127月現在)

[3] http://matome.naver.jp/odai/2133826944173825601

「開業1週間で見えてきた「東京スカイツリーの問題点」」−NAVERまとめ(20127月現在)

http://blog.chideji-master.com/article/111039588.html

地デジマスターブログ 「地デジマスターBlog:新東京タワーが抱える問題点」(20127月現在)

[4] http://www.tokyo-solamachi.jp/

東武グループHP「東京ソラマチ‐312の多彩な店舗が織り成す、新しい下町」(20127月現在)