110622sasakia
佐々木彩「余暇としての資格」
1、はじめに
私は小学生の時から習字教室へ通っていた。中学生くらいになると先生に書写検定という試験を受けてみないかと聞かれ、受けてみることにした。書写検定は毛筆、硬筆の2種類があり、課題として出された字を書き、また部首などを問われる筆記試験もあった。絶対に落ちたくないという気持ちから普段ただ通っていたころよりも熱心に練習し、家でも勉強し受かったときは先生や両親からほめられ、次の級にも合格するぞと意気込んでいた。ピアノも習っていてピアノもそうであった。ピアノに関しても弾くだけのテストではなく伴奏を考えるのに音の組み合わせを覚えるなど勉強しなければいけなかった。それでも学校の勉強とは違い、目標が明確であるせいか楽しく勉強していた。今振り返ると、習い事は私の余暇の時間で、その余暇を形として残せたことはよかったと思っている。最近CMや広告で資格取得の文字をよく目にする。余暇の時間を使って資格を取ろうと考える人も多いと思う。そこで、私は資格について詳しく調べてみたい。
2、資格とは
資格は「国家資格」、「公的資格」、「民間資格」の3つに分けられる。「国家資格」は法律に基づいて、国や国から委託を受けた機関が、能力・知識・技能などが一定水準に達していることを認定するものである。国家資格には難関試験が多く、取得は困難でだが、もっとも社会的信用も高く、ダイレクトに職業につながる資格といえる。中には、仕事を行うためには資格の取得が必須である職業もあり、資格によってルールが違う。「公的資格」とは国家資格と民間資格の中間に位置付けられる資格である。主には、所轄省庁や大臣が認定した審査基準にもとづいて、地方自治体や公益法人、民間団体などが試験を行う。国家資格のように法律で規定されたライセンスではないが、社会的信用度や知名度の高い資格も数多くある。資格を取得することで、一定の能力を証明することができ、就職や転職・キャリアアップに活用できる。「民間資格」とは民間団体や企業が、独自の審査基準を設けて認定する資格である。TOEICなど国際的な基準によって認定されるものや、IT製品を販売する企業が、自社製品に精通した技術者を認定するベンダー資格なども含まれる。民間資格には法律による規制がないため、さまざまな資格が存在する。業界内では認知度が高くスキルの証明に有効な資格から、社会的な評価はほとんど得られないものまで幅広い[1]。
3、資格をとる目的
資格の目的は受験する人によって異なる。就職や転職など仕事のために資格をとる人もいれば、趣味をより深めるために資格をとる人もいる。
学生は就職のことを考え資格を取りたいと考える人も多いのではないだろうか。これまで受講してきたキャリアに関する授業や毎年大学内で行われているキャリアセミナーの話を聞くと就職に資格は有利かという問いにあまり関係ないと答える人もいれば有利と答える人もいた。必要でも就職して取ればよいというお話も聞いた。また、会社によっても違ってくると思う。日本の企業の84.5%が業務で英語を用いており、TOEICの成績はこれらの約8割の企業が就職試験において参考にしており、また7割の企業が配属先を決めるにあたって参考にする[2]。私は、資格がたとえ直接就職活動に影響しなくても、何らかの面で影響すると考える。資格をもつことでその分野に対し自信が持て、自分をアピールする大きな武器になると思うからだ。資格を勉強するなかで学んだことも生かせるであろう。また、結婚、出産後の再就職の準備として資格を取ろうとする女性も多い。あるいは、定年退職後にマンション管理士やボイラー技士の資格を取り、第2の人生に備えるという男性も多い[3]。
また、趣味を生かす資格もたくさんある。家で行っていた好きなこと、たとえば映画鑑賞から映画検定を受けてみたり、もともと余暇の時間を使い習い事の延長で資格を取る、たとえば料理教室に通っていて料理検定を受けるなど趣味から派生するなどさまざまなパターンがある。現在、習い事の教室では資格取得用の講座を設けているところも多い。好きなことを学ぶことは好きでないことを勉強するよりもはかどる[4]。また好きなこと、興味のあることはそれだけで吸収も早いと思う。また、趣味の延長として行うので自分のペースで楽しさを忘れない程度に取り組むことが大切だと思う。また、趣味で取った資格がそれを生かして仕事にもつながるかもしれない。
4、具体例@医療事務
医療事務は女性に人気の職業である。人気の理由は資格やスキルが全国共通のためどこの病院でも働けること、病院は景気にあまり左右されないため安定していること、結婚・出産後も再就職がしやすくフルタイムやパートなど働く時間も選びやすいこと、座り仕事のため年齢に関係なく働けることである。主な仕事は診療報酬明細書の作成、会計、受付業務などである[5]。医療事務は資格がなければ働けないという仕事ではない。しかし、病院は実務経験がある人がほしい。医療事務の資格は、その実務をきちんとこなすための水準をクリアしているかどうかについて、社会的に名の通った専門機関が一定の客観的なモノサシではかってくれ、そのお墨付きを合格者に与えてくれるものであるため、実務経験がなくてもはっきりしたスタート地点にいて、あとは経験を積むだけになるため、持っていたほうが良いとされる[6]。
5、具体例A映画検定
映画検定は映画の歴史・作品・俳優・スタッフ・業界などに関する知識をはかる試験制度のことである。これをきっかけとして、日本が誇る映画文化の次世代へ継承することも目的である[7]。映画検定は4級から1級まであり、4級では映画史に欠かすことのできないメジャーな作品の問題が出され、級が上がるにつれて古典作品や映画用語、興行関連など映画周辺のことまで問われる[8]。映画鑑賞が趣味というひともたくさんいると思う。しかし、今まで映画のジャンルが偏っていた人もこの検定に取り組むことで新たに好きなジャンルを発見したり、作品の背景やキャスティングの背景を学べることは映画ファンにとって幸せなことなのではないだろうか。
6、まとめ
このように受ける人や受ける資格によって目的や使い道はさまざまである。私は資格と聞くと仕事のためというイメージが強かったが今回調べてみて趣味の延長としてできるものが多いと思った。今はスクールや通信教育も発達していて楽しみを失うことなく資格をとれる工夫がされている。はじめにも述べたとおり、余暇の時間に行ったことを形に残せることはよいことだと思う。また、たとえ何かに生かせなくても自分自身に自信となるものができるだろう。また、今年は節電によってサマータイム制を使用する企業も多い。増える余暇の時間を充実したものになるよう、好きな資格をとってみるとよいのではないだろうか。
[1] E-shikaku「資格の種類について」
http://www.e-sikaku.net/sikaku/
[2] TOEIC公式サイト「プレスリリース」
http://www.toeic.or.jp/press/30.html
[3] 生涯学習のユーキャン「年代別ユーキャンの通信講座人気ランキング(年代別)」
http://4kaku.seesaa.net/article/78478389.html
[4]趣味講座マニア「趣味の延長で取れる資格」
http://www.syumi-kentei.com/000/syumi/
[5] 医療事務資格、仕事・求人にホントに効くの?「医療事務の仕事、その主な業務」
http://iryoforworks.savoza.com/2008/04/post.html
[6] 医療事務資格、仕事・求人にホントに効くの?「医療事務、それでも資格をとりたい(1)」
http://iryoforworks.savoza.com/2008/04/post-3.html
[7] 映画検定「映画検定とは」
http://www.kinejunsoken.com/eigakentei/whats01.html