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小野塚夕佳「『余暇=アルバイト』、この公式は成り得るのか」

 

1.             はじめに

 

 私は大学に入学してから現在まで、一週間に5~7回、約30~35時間の割り合いでアルバイト活動をしている。そのため、この講義を受けるにあたって私の中の余暇とは何なのであろうか?と考えたとき、真っ先に普段から自分の生活の一部となっているアルバイト活動が頭に浮かんだ。しかしながら他の大学生の反応を見ていると、むしろアルバイト活動は余暇とは相反するものとされており、私のようにアルバイト活動を余暇の一種と考えている人はそう多くないように思える。そこで私は、一般の大学生にとっての余暇とアルバイトの関係について考察しようと思う。

 

2.             大学生にとっての余暇とは

 

 まず、「余暇」という言葉の定義は「一日のうち労働の合間に生じる空いた時間。休息時間。」[1]とされる。またそのほかに「余ったひまな時間。仕事の合間などの自由に使える時間。」[2]という意味もある。私はこの後者である、『自由に使える時間』という意味に着目したい。なぜなら大学生には、一般の社会人よりもはるかに『自分の自由に使える時間』が多いからである。土日や祝日の休日だけでなく、かなりの長期間に及ぶ夏季休業や春季休業、そのほかにも自分で授業を組むことができるために全休(授業のない日)をつくることも可能である。よって、大学生にとっての「余暇」とは、『自分の自由に使える時間』であると私は考え、余暇にすることは『自分が思い存分時間をかけてやりたいことをやること』であると思う。それはたとえて言えば、ボランティア活動や読書など多岐にわたる。

 

3.              アルバイトの意味

 

 アルバイトが余暇の一種になるのかを考える前に、アルバイトが学生に与える影響、また学生から見たアルバイト活動を考えていきたい。

 学生がアルバイトをする理由のほとんどは、サークル活動や旅行などのためのお小遣い稼ぎが主である。また、社会人と違って大学生は社会と触れることがあまり多くはない。そのためにアルバイトの経験は学生にとって有益なキャリア形成の手段となる。よってアルバイトをする理由で、社会経験を積みたい、という意見もよく出る。

大阪大学の関口氏は「アルバイト活動は,普段は家庭と学校を往復する学生が,手軽に企業社会や職業世界に触れることのできる効果的な手段であるため,学校から職業社会への移行(school-to-work transition)を潤滑にし,仕事経験を通じたキャリア形成を行う良い機会」[3]であるとしている。

 私がアルバイト活動に持っているイメージはキャリア形成に役立つ、というだけでなく、むしろそれ以上に「毎回の仕事で大きな達成感を得られる」というものがある。日々の勉強や、高校時代までの部活動などでは、達成感を得るのは容易ではなかったはずである。しかしながらアルバイト活動では、正社員ではないために正社員並みの仕事を任せられることは数少ないのに対し、毎回のように達成感を得ることができるのである。達成感を感じる程度は人それぞれであるが、私の場合は、単純であるだけかもしれないが、食事の終わったお客様から「ありがとう、ごちそうさま」と言われるだけで気持ちの良い達成感を得ることができる。反対にどうしても納得のいかない出来事が起こることもある。そこでは達成感を得るというよりもさまざまな意見が存在することを知ることが出来、自分の考え方ややり方の改善もできる。ほかにも、開店から閉店まで働き切った達成感も容易に得ることができる。

 他の大学生から見たアルバイトは、友人の意見などを参考にすると、余暇には当てはまらない。なぜならそれが「自分の自由に使える時間」に「やりたいこと」ではないからである。そしてアルバイト活動が『余暇のためのお金稼ぎ』となっているのである。その人たちにとっては本業である勉強のほかに、余暇としてのボランティア活動や旅行がある。その本業や余暇のための副業としてアルバイト活動が存在するということであろうか。

 

4.              アルバイトは余暇の一種になるのか

 

 以上から『余暇=アルバイト』、この公式はその人ひとりひとりのアルバイト活動に対する感じ方が大きくかかわってくる。アルバイト活動を「自分のやりたいこと」そして「将来に役立てるための(キャリア形成の)手段」と考えている人にとっては、アルバイトは余暇と認識されることが多い。それに対して、「アルバイトは他の余暇のためのお小遣い稼ぎの手段」と考える人にとっては、それは余暇には当てはまらなくなる。

この公式が当てはまる人、当てはまらない人、どちらの人も存在するために一言にまとめることはできない。しかし、このレポートをとおして学生時代のアルバイト活動という社会経験がそれ以降の人生に大きな影響を与えるであろう、ということを理解していただければと思う。

 さいごに私はこの考察をするにあたって、アルバイトに対する意識がまたさらに変化した。それは、今までは自分の余暇の過ごし方としてのアルバイト、社会経験としてのアルバイトという意識から、将来の自分につながるようなキャリア形成、さまざまな世代の人と触れ合うことのできるという意味の社会経験という意識である。私はアルバイトを余暇と考えるが、そうではないという意見を参考にしてより一層自分の「余暇」を充実させたいとおもう。

 

 

 

 

[参考文献]

 

[1]Flesh eye ペディア [2011620日現在]

http://wkp.fresheye.com/wikipedia/%E4%BD%99%E6%9A%87

 

[2]大辞泉提供: JapanKnowledge  [2011620日現在]

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E4%BD%99%E6%9A%87&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=23067918926100

 

[3]大学生のアルバイト経験とキャリア形成 関口倫紀(大阪大学准教授)[2011621日現在]

http://web.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2010/09/pdf/067-085.pdf

 

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