100511B 加藤ジオランデル

加藤ジオランデル「内省」〜自分の強みを考える〜

 私は自分の余暇のほとんどを内省活動に費やしているということに気付いた。そこで、自分の内省について着目していきたいと思った。最近の主な内省活動は自分の強みについてだ。きっかけはサークルの先輩たちが就職活動をスタートさせたことだ。身近に就職という門を肌で感じた。先輩たちの就職活動のお話を聞く機会もあり、相談されたりもした。ある先輩に「なあ、俺の強みってなんだと思う?」と聞かれ戸惑った。長所のことだと思い、面白い・優しい・頭いい・天然キャラと挙げていったが単なる長所ではなく、もっと深い長所だと言われた。社会での自分の存在価値をアピールできるようなものが強みだと教えてくれた。いつか自分も通る道なので自分の強みはなんだろうと考えるようになった。

 

今回の内省で参考にしている本がある。以前も読んだことのある「さあ、才能に目覚めよう」だ。私は、才能とは特定の人に表れる卓越した能力だと思う。一般的にはスポーツ選手や芸術家などのように突出した力で他よりも優れている能力を指す。本書では「無意識に繰り返される思考・行動・感情パターンであり、何かを生み出す力だ。例えば、頑固さ、神経質といった欠点さえ、それが力を生み出すなら才能となる。才能は誰にでも必ずある」と表現されている。しかし私たちは日々の生活の中で自分の才能について考えるまたは気づくことは皆無であろう。なぜなら、筆者が言うように無意識世界でそれらは積み重なっていくからだ。私たちはより日頃から積極的に自己分析を行っていかない限り自分の才能に出会えないと思う。私は頭・心・体の動き、つまり自己の考えや判断、推理をめぐらす活動・自己の喜怒哀楽などの心の活動・自己の実際の活動と向き合っていこうと思う。そして、就職活動の現状、就職活動を成功させるために何が必要なのかも考えていきたい。

 

本書にはストレングス・フャインダーという人間の強みを34個に分類し自分の強みを5個探すテストも行っており、ストレングス・フャインダーによる私の5つの強みは最上志向(最上志向とは平均ではなく優秀であることを基準とする。平均以上の何か(強み)を最高のものに高めることに努力を惜しまない。持って生まれた天賦の才能を最大限に利用したいと考える)(p.124)・収集心(収集心とは興味を引かれた物事を集めること。いろいろなものに好奇心を覚える。そして、それらを手に入れ、集め、整理して保管し続ける。それは情報であり、言葉、事実、書籍、引用文、教養。または切手、ぬいぐるみなど。あなたは集めた物事のあらゆる利用の可能性を考えている)(p.134)・成長促進(成長促進を強みとするあなたは、他の人たちが持つ潜在的な可能性を見抜く。潜在的な可能性があなたの見ている全てであることも多い。他の人と関わりを持つとき、目標としているのは彼らに成功を経験させること。彼らの進歩や成長の兆候はあなたの原動力であり、あなたに強さと満足を与える) (p.146)・内省(あなたは内省、つまり考えることが好き。あなたは脳を刺激し、縦横無尽に頭を働かせることが好き。一人でいる時間は黙想し内省するための時間であるため、あなたは一人でいることを好む)(p.162)・目標思考(目標思考という資質は明確な行き先を必要とすること。目標志向はあなたの行動をふるいにかける。すなわち、特定の行動が目標へ近づくために役に立つかどうかを本能的に評価し、役に立たない行動を無視する。あなたを効率的にさせる)(p.175)でした。この結果は、私の意識的な部分と無意識的な部分を指摘されていることに気がついた。例えば、目標志向は日常でも特に意識している部分で、毎日TO DOリスト(やらなければいけないことを記したリスト)を作成してそれらをこなし一日を無駄にしないように心がけている。このような習慣がついたのは、学費を親に出してもらっているからには一生懸命勉強しなければならない、大学生活を無駄にはできないという想いからだ。私の家族は外国から日本へやってきた。言葉も文化も分からない地で暮らすことはとても厳しいものだった。しかしそれらを乗り越え、今がある。また、日本で外国人が働くことはとても大変なことだ。私の家庭は昔から経済的に厳しいものだった。だからこそ与えられた環境を全力で活用し、妥協することのないように生きてきた。このことが最上志向・収集心にも影響していると思われる。厳しい環境を過ごし、乗り越えたという誇りがあり優秀でありたい、与えられた物・情報・教養は無駄にせず、全てを活かしたいという想いが私にはある。残りの2つは無意識なものだ。特に成長促進の部分は指摘されなければ気がつかなかったと思う。私は学問などについて勉強はしているが、最も身近な存在である自分のことは理解していなかった。自分自身と向き合うこと、それが自分の強みを活かすことにつながるのだと思う。

 

不景気に加え、東日本大震災により日本の就職氷河期に拍車がかかっている。様々な問題がこの就職難を招いているが、今回は3点に着目したい。はじめに、大学生の質が落ちているという問題だ。大学の数が20年で5割も増え、大学生の数も増えた。最近の大学は高校生のレベルに大学入学のボーダーラインを下げる傾向がある全入時代だ。大学入学にふさわしくないレベルの学生が、大学へ入学し大学での勉学に取り組めるであろうか。しかしそのような学生でも「大卒です」と名乗れる時代。大学卒業の価値が下がるということにつながる。大卒では到底理解できそうもない、低水準の学力・社会力・人間力の大学生がそのまま就活を始めるのだ。もちろん、企業はそのような社員など必要ない。2点目に大学生の就活早期化と長期化の問題。大学生の就活は、本来であれば大学4年間の成果を踏まえてなされるべきだと思う。4年生の後期から初めても良いと思う。しかし、経団連が定める面接などの選考活動の開始時期が早いため、学生もそれに合わせて就活を初めざる負えない状況。これには青田刈り、先物買いといわれる優秀(高学歴)な人材を早期に確保するという企業の思惑も隠れている。企業が未熟な学生を採用するというリスクを背負うことになるため、入社後に人材育成研修を行う余裕があるのか疑問だ。また、学生が3年に入る時期から就活を始めるため学業が疎かになり、学力低下をもたらす。加えて、就活に出遅れるという理由で留学を志す学生が減っている。人材育成という長い目で見ると、いずれも日本にとってマイナスであろう。最後に、学生の仕事選びが安易すぎる点だ。とにかく大企業に過度に学生が集まり、中小企業が敬遠されている。その主な理由として、「安定性に欠ける」「知名度が低い」「福利厚生が悪い」などがある。企業の能力や入社後の体裁を気にしている点に疑問を感じる。自分の適性や能力に応じて仕事を選ぶようにするべきだ。なぜなら仕事は人生の一つのテーマであり、長い間関わるもの、生きていいく手段だからだ。やりがいや楽しさ、相性なども考慮しなければ続かないだろう。そのために、自分の強みを把握することが必要ではないだろうか。

 

強みを見つけるためにやるべきことは、様々な状況下で自分は無意識にどのような反応をしているか、自分自身をよく観察することだ。無意識を意識することは矛盾のようでもあるので、第三者を通して観察する方法もある。友人や教授にインタビューをするのだ。私のように書籍を参考にする手もある。書店には山のように自己啓発本が並んでいるため、探すのに苦労はしないであろう。そして最終的には自分で向き合って、考え、まとめ、受け入れること。強みを見つけたら、活かすことにシフトしていかなければならないのだが、強みを表す言葉非常に少ない。強みを表現する言葉は正確であり、個人間の微妙な差を表せ、肯定的で、誰にでも分かる言葉でなければならない。しかし実際の言葉(積極的、明るい、几帳面など)では、個人間の微妙な差を表現できていない。インパクトもない。新しい言葉を自分用に作ったとしても、人事担当者には分からないだろう。既存の言葉を自分で応用し組み合わせながら自分の強みを伝えていく必要がある。