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手塚成司「日本の応援〜青春の汗とストレス発散〜」

 

1 日本の応援

野球やサッカーの試合中に、大きな声を出して各チームの応援をするのは誰もが見たことのある光景だろう。好きなチーム、自分や友人の母校などの応援をすることは多かれ少なかれ経験していることだろう。応援の始まりは「野次」の言い合いから起こったとされることが多い。日本に応援の文化が出始めたのは、大衆スポーツが出始まってからだとされている。「男気溢れる」といったイメージは、様々な人々を同じ集団に纏め上げるのに、時には腕力をも必要としたからである。このような応援が盛んに行われていた大学や高校では、今でもそのような体育会系のような規律正しい組織運営が多く見られる。学生から始まりあらゆる分野にも派生していった。プロ野球やサッカーの私設応援団などもそうである。[i]

 

2 応援団とは

応援団と言っても大きく二つに分けることができる。一つは専門的に応援を行う集団、いわゆる応援団で、もう一つに他の目的がありながらも応援を行う集団で、例えば吹奏楽部、チアリーディング部などといったものだ。ここでは前者の専門的に応援を行う集団について述べていく。

 

一般的な応援団のスタイルは、学生服や袴、鉢巻や学帽などを着用して応援することが多い。応援団には団旗というものがあり、団旗は遠くからでも校章などのシンボルマークがよく見えることができるようにかなり大きい物になっている。応援団は校歌や応援歌などを空手の崩しのような振り付けをつけながら踊り、その振り付けは各校で様々だ。このような応援スタイルが好きで、試合よりも応援を見に来る人も中にはいるようだ。



 

3 個人的な応援経験

小学校3年から野球をやっていて、特に中、高では多く応援を行った。部活に代々伝わる踊りを覚えたり、応援歌も多くの種類を覚えた。高校では、旧制中学の男子高だったため、応援団は非常に力をいれていたため、より組織的な応援を高校一、二年では体験することができた。チア部はもちろんなく、野球の応援では野球部の控えと応援団、そして他の部活で応援にきてくれた人たちとともに応援をした。応援の際ははだしになり、時には上半身裸にも。チームが点を入れると水浴びと応援歌を歌う。応援団員にはそれぞれ階級とポジションがあり、幹部クラスの団員にはそれぞれ、団長、副団長などに五人がいる。幹部だけほかの団員とは振り付けや鉢巻に色や学ランも違っていた。エール交換では、相手からエールをもらう際は頭を下げ足を肩幅以上に広げて静かに聞き、終わると拍手をする。相手をたたえるという応援の良さを感じることができた。

 

4    娯楽・ストレス発散としての応援

部活や好きなクラブチーム応援に参加したことがある人も多いはず。私は上記でも述べたように、野球部に所属していたため、12年次の大会の際は応援を行ってきた。応援は試合にでれないから嫌だと思っている人も多いだろう。私も初めはそう思っていたが、実際応援してみると楽しいものであった。スタンドとの一体感や雰囲気、そしてゲームの感動を応援を通して感じることができるということがわかる。また、高校野球、サッカー、プロ野球などの応援をする際、飲食のサービスなども加わることで、応援だけではない楽しみも増える。

 

試合の際、大声で応援したり、プレーなどに感動して涙を流したことのある人もいるだろう。大きな声を出すことや泣くということはストレス発散方法として挙げられる。大きな声を出すことは複式呼吸に通ずるものがあり、息を吸ったり吐いたりする際にお腹が膨らんだりへこんだりする呼吸のことを言う。腹式呼吸にはメリットが多く、横隔膜の上下運動が起こり、胃腸の働きが活発になり、腹筋も鍛えられる。また血流の流れも良くなり、血液中の酸素と炭酸ガスの量が変化し、自立神経をコントロールすることにもつながるようだ。[ii]応援の際には大量の唾液がでるが、この唾液分泌を促進させることがストレス発散にもつながるようだ。ストレス発散でヤケ食いなどをする人が多いのはこの理由にあたる。[iii]

 

また応援の際に体を多く動かしたり、大声を出す際に腹筋を使ったりすることでダイエット効果もあり、運動不足の解消にも繋がる部分は大いにある。[iv]

このように、応援におけるメリットは科学的に証明されており、現在のストレス社会である日本社会のはけ口としての一役を担っているといえるだろう。

 

5    現地でインタビュー(66日栃木県グリーンスタジアムにて)&まとめ

66日に栃木県グリースタジアムで行われたJ2の栃木SC対アビスパ福岡戦の際、スタジアムに来ていた栃木SCのサポーターとアビスパ福岡のサポーターに「あなたにとって応援とは何か?」といった質問を行った。

 

栃木SCのサポーターであり宇都宮市在住の20代女性は「週末の楽しみの一つです。会社でのストレス解消にも役立つし、友達同士の会話のネタにもなります。」と述べていた。上記で述べてある通り、ストレス解消と答えた人が多かった。またアビスパ福岡のサポーターで40代男性は「確かにストレス解消にはなるけど、応援しているチーム(アビスパ福岡)が負けると逆にストレスが溜まるし、次の日からの仕事がだるいね。今日もわざわざ福岡から来ているんだから是非とも勝ってほしいよ。」と非常に興味深いコメントをくれた。ストレスが解消されることもあれば、逆に溜まってしまうケースもあることがわかった。

 

あらためて思うが、スポーツはするだけではなく、見る楽しみもある。その中の一部として応援という活動があるのだと思う。高校の時に監督に言われた言葉は今も忘れない。「プレーしている奴らだけがんばっていても甲子園なんか行けっこない。スタンドも含めて一つのプレーをしよう。」栃木SCの試合を見に行って感じたことは、サポーターのみんなも必死になって応援していて、選手たちと一喜一憂し、感動を分かち合っているということだ。試合後、栃木SCの選手がスタンドの方に来て「応援に来てくださってありがとうございました。」と一言あいさつをしていた。その光景を見たたら、応援がゲームと一つになっているということが心にしみて分かった。健康面にも大変良く、感動を与えてくれる応援。これからの日本を活気付けるためにも、応援という一つの文化が廃れていってはいけない。

 



[i] http://wpedia.mobile.goo.ne.jp/wiki/181630/%89%9E%89%87%92c/1/ goo wikipedia記事 2010-07-06

[ii] http://www.tsukuba-kinen.or.jp/column/relaycolumn/2004/08/45.html 筑波記念病院リレーコラム 2010-07-05

[iii] http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20100607/107368/ 日経ウーマンオンライン 2010-07-05

[iv] http://www.kinnikuguide.com/training/exercise/ エクササイズ筋肉アカデミー 2010-07-05