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齋藤勝夫「みんなの人気者 アルパカさん」

 

1.   このテーマを選んだ理由

 

私は余暇という言葉からは「癒し」というイメージを受ける。そこで、私が癒される場合とは何か考えると、動物と触れ合ってる時だと思った。私は今、アルバイトでアルパカの飼育をしている。この動物は、近年CMに出たりするなどして人気が急上昇中である。一方で、多くの人にとっては馴染みが薄く、生態などについて詳しく知る者は少ないだろう。私は、自分が好きなアルパカのことをもっと多くの人に知ってもらいたいので、このテーマを選択した。

 

 

2.   アルパカの生態

 

アルパカはらくだの仲間で胃が3つある。アルパカの他にもラマ、グアナコ、ビクーニャなどの仲間がいる。そして、アルパカは臆病な動物で威嚇の際に、臭い唾を吐く。臭い理由は、反芻した食物を吐くからである。もともと高山動物なので走るのも早く、アルバイト先の上司からは絶対に逃がさないようにと注意されている。散歩の際には必ず「くつわ(首輪)」をつけるが、この時アルパカたちは非常に嫌がる。唾を吐き、逃げ回り、時には後ろ蹴りをしてくる。また刈り取れる毛は、高品質で非常に高価である。[][]

 

 

3.   アルパカの「食べ物」と「触れ合い」

 

アルパカが食べるものは草である。バイト先ではチモシー、ルーサンという2種類の草と飼料(2種類)を与えている。これらをバランスよく与えないと体調を壊してしまう。体調は排泄物で調べる。通常アルパカたちの排泄物は、ウサギが出すようなポロポロしたもの(マーブルチョコ形)だが、調子が悪いと、それらがくっついてしまい、拳骨くらいの大きさになってしまう。

  

良い触れ合い方としては、手の平から餌を与えるという方法もあるらしい。この理由として私は、直接手で与えることでスキンシップがとれるから良いのではないかと思っている。また、アルパカと目をあまり合わせてはいけない。目を合わせると唾を吐く体勢(一瞬首を下げる)をとってくる場合があるからである。首を下げる体勢ををとったら、アルパカの横に回るなどして回避したほうがよい。(体験談より

 

 

4.   アルパカの需要

 

アルパカの毛(白)は保温性、軽さ、手触り、などの点で優れており、高級である。特に、生後1年で刈る毛(ベビーアルパカ)は貴重で通常のものより高い。しかし、アルパカの毛すべてが高いわけではない。茶や黒といった有色のアルパカの毛は需要がそれほどなく、白い毛には劣ってしまう。また、アルパカは毛の需要だけでなく、観賞用としての需要も高い。その理由としては国内におけるアルパカ人気がある。あの可愛い顔やつぶらな瞳、ふっくらとした体格が人気の秘訣である。少し前だがCMにも登場し、そのCMにアルパカを提供した那須アルパカ牧場は有名な観光地となっている。牧場では、アルパカ関連のグッズも充実していて、私自身も欲しいものが数多くある。今日では、牧場以外の場所でもアルパカグッズは売られていて、可愛いものが多く、非常に人気が高い。[][]

 

   

5.   厳重警備

 

4.で述べたとおり、アルパカの毛は非常に高価である。そのため、毛を刈るためにアルパカを傷つける者がいないとは言い切れない。アルパカ達を守るため、私のアルバイト先は警備会社に警備を依頼している。勝手に入る、柵を壊すなどの行為をすると警報が鳴り、警備員が駆けつける。また、アルバイト先のアルパカは2頭で数百万したらしい。(体験談より)

 

 

6.アルパカの社会とのかかわり合い

 

アルバイト先でアルパカを飼育していて、そこのアルパカ達はレンタルされたものだと聞いた。そこでインターネット等で調べてみると、アルパカの取引はワシントン条約で制限されているという情報があった。しかし、この情報は曖昧なものであり、参考にしたすべてのサイトで述べられているものではなかった。少なくとも、共通して述べられていたことはアルパカの仲間のビクーニャやグアナコという動物は条約で保護されているそうだ。

 

アルパカは、より多くの上質な毛を刈るためにビクーニャを家畜用に改良したものという説がある。一方でグアナコを家畜用にしたという説もあったが、さまざまなサイトを見比べてみるとビクーニャ祖先説のほうが多く、こちらのほうが有力情報だと思われる。また、アルパカの毛色は大別して白、黒、茶、グレーの4種類に分けられるそうだが、染色しづらい白いアルパカ以外は飼育されにくく絶滅の恐れが指摘されている。アルパカのほとんどは家畜であり、人間社会との深いかかわり合いがある。そのため、人間の都合で有色種の頭数が減っているのである。アルパカ有色種の頭数の変化は今後どうなっていくのか。私は個人的に調べ続けていこうと思う。[] []

 

7.アルパカの毛刈り

 

  先日、バイト先のアルパカ達は毛を刈られた。私は一目見て、アルパカ達の変わりように驚いた。フサフサだった毛がほとんど刈られていて、一回り小さく見えたからだ。足元と頭のてっぺんには毛が残っており、どことなくトイプードルを連想させる姿だった。通常アルパカの毛は毎年刈るらしく、刈らないと夏の暑さにやられてしまうようだ。ちなみに、那須のアルパカ牧場では毛を刈ったアルパカを「ビズ・パカ」、ハートなどの形を残して毛を刈っているアルパカを「アート・パカ」と呼んでいる。那須のアルパカ牧場のHPにはたくさんの可愛らしいアルパカたちの姿が載っている。[]

 

 

8.アルパカのボディーランゲージ

 

  アルパカたちはボディーランゲージで気持ちを表しているようだ。まず、つばを吐くのは威嚇のためである。現在、私を含めてアルバイトしている人が4人いて、最初のころは頻繁につばを吐かれていたが、最近はめったに吐かれなくなった。たまにメスのアルパカはオスの顔面につばを吐く。私は当初、そのメスのアルパカはオスのアルパカのことが嫌いなのだと思っていたが、それは間違いだった。先月メスのアルパカは赤ちゃんを出産した。メスのアルパカは妊娠していたのだ。妊娠していると、オスにつばを吐くというのはよくあることらしい。

 

次に尻尾の動きでも気持ちを表しているようだ。尻尾を上にあげるように縦に丸めるのは「降参」の合図。尻尾を丸め後ろ脚に挟むようにするのが「怖がっている」の合図。また、耳の動きでは、ピンッと立てているときは「警戒」の合図、後ろに伏せたら「怒り・恐怖」の合図でこれを言葉で表すと「それ以上近づくな」という意味らしい。唇を盛り上げて歯茎を見せていたらすごく「怒っている」の合図。確かに、私は唇を盛り上げてから、つばを吐かれたことがある。他にも走り方で、スキップをするように走るのは「機嫌がいい」合図らしい。この走り方をアルパカ牧場では「ルンルン走り」と命名している。このように、さまざまなボディーランゲージがあるようなので、実際に飼育のときに観察してみようと考えている。[][]

 

 

9.アルパカの毛

 

飼育中にアルパカ達をブラッシングすると、埃が舞って汚いが、数分続けるとモフモフなさわり心地に変化する。この肌触りはすごいということで、毛の特徴などを調べてみた。アルパカの毛はとても細く、直径0.020.03mm程度である。この細さが驚きの柔らかさを生んでいる。そして、保温性バッチリ。毛の内部が空洞で温かい空気を逃がさない。その上、アルパカの毛で出来たものは丈夫で、しわにならず、毛玉にもなりにくい。また、アルパカの毛にも2種類ある。「スリ」と「ワカイヤ」である。「スリ」は「ワカイヤ」よりも長く縮れていて、その上細く、シルキーな光沢で肌触りも極上。しかし、「スリ」を持つアルパカはデリケートなものなので、繁殖がむずかしく貴重である。また、大別すると4種類の毛色も細かく見ると20種類を超えていて、染色する必要がないのではとも言われている。[10]

 

 

10.偉大なアルパカ産業

 

国際アルパカ協会というものが存在する。以下の概要は(学びの宝箱:アルパカ)よりの抜粋である。

 

国際アルパカ協会→「1984223日アルパカ類の毛の集荷の中心であるペルー共和国アンデス山麓のアレキイパ市に貴重なアルパカ・リヤマ・ガナコ・ビクーニヤの毛の販売促進と産毛業者・加工業界の利益を守るために創立され、世界中の著名なアルパカ製品メーカー・業者が加盟する唯一の国際協会。品質を保証するは、アルパカ・シンボルマークは、国際アルパカ協会によりペルー・イタリア・イギリス・フランス・ドイツ・オランダ・スイス・アメリカ合衆国・カナダ・台湾・日本その他の国々で商法登録されている。」 

このような協会があるということから、アルパカ関連の産業は多くの国々において重要なものだということが読み取れる。[11]

 

 

11.アルパカ投資

 

 アメリカの一部では、アルパカは投資の対象だというサイトの記事を見つけた。アルパカを高値で買い取り、それを元手に現金収入を得るというの方法があるらしい。アルパカから毛を取る、優秀な血統のオスの場合は種付けをする、メスの場合は生まれたベビーアルパカを売却する、という行為を行うことで高収入を得られると書いてあった。驚いたのはアメリカでのアルパカの最高取引価格である。血統の良いメスの最高価格が269千ドル(日本円で約2340万円)、血統の良い種オスの最高価格が60万ドル(日本円で5220万円)である。平均でも一頭1万ドル(日本円で87万円)以上する。アルパカはすごく高価な動物なのだと改めて知った。一方この高値を見て、人がアルパカを飼う理由の多くが経済的な理由なのだろうと感じてしまった。アルパカはもともと家畜なので、経済的な面で飼うというのは当然かもしれないが、私はペット感覚で見ていたので、この現実と私の考えにギャップが生じた。[12]

 

 

12.アルパカによる癒し

 

 犬や馬など動物がもつ癒し効果を利用して人間の心身を健康に回復する方法を「アニマルセラピー」という。アルパカでも同様のことができるのではないかと期待されている。アルパカ牧場ではその効果を生かすべく、老人介護施設などにアルパカを連れていき、束の間の癒しの空間を提供している。アルパカには攻撃するための武器はなく安心して接することができる。また、アルパカの穏やかな性格は触れるものにくつろぎを感じさせる。その上、アルパカと触れ合おうと体を動かすことは高齢者にとってリハビリになる。実際、アルパカにえさを与えようと車イスから身を乗り出し立ち上がった高齢者がいたという。

 

 次に、人間や動物が幸せだと感じるとあるホルモンが出されることがわかった。その名は「オキシトシン」。相手への信頼感や絆を深める作用があり、別名「絆ホルモン」とよばれている。人間が優しく動物をなでるとお互いに分泌されることが証明されている。つまり、人間と動物は触れ合うことでお互いに幸せを感じることができるということである。[13]

 

 

13.考察

 

 私は、アルパカについて調べていく内にますますアルパカが好きになった。ボディーランゲージやアルパカの飼い方、彼らの価値などを知ることができてよかった。その上で、多くのアルパカ達が人間と関係を保たなければ生きていけないことがわかった。一方で、私たちも、アルパカ達から恩恵を少なからず受けている。人間とアルパカが共生するということで大切なのは、人間側のアルパカに対する配慮ではないかと思う。アルパカが人間を滅ぼすということは考えられないが、逆のパターンは考えられる。人間側のエゴでアルパカを傷つけるようなことはあってはいけない。少なくとも私の周りの人たちは愛情を持って接している。また、最近生まれたベビーアルパカを世話するために、遠くからやってくる那須アルパカ牧場の飼育員さんは優しくアルパカ達と触れ合っていた。それを見て、那須アルパカ牧場のアルパカ達は幸せなんだろうと思えた。すべてのアルパカ達が、那須アルパカ牧場のアルパカのように幸せであってほしいと願う。それが無理で例外があるだろうことは推測できるが、それでも例外が少ない数であってほしい。そのために、自分が何をできるのか必死に考えていきたい。このことは、他の犬や猫などすべての動物に言えることである。

 



[]世界大博物図鑑第5巻(哺乳類), 荒俣 宏, 1988, 平凡社

[]知識の宝庫!目がテン!ライブラリー 白き珍獣ミラバケッソ, 2010/5/31現在,  http://www.ntv.co.jp/megaten/library/date/09/05/0509.html

[]高級素材のカットソー・Tシャツならトコヨダへ|アルパカ, 2010/6/22現在, http://www.tokoyoda.com/material/alpaca.html

[]アルパカ牧場 那須ビッグファーム, 2010/6/22現在, http://www.nasubigfarm.com/

[]3に同上

[] ろくでなし アルパカについて, 2010/6/22現在, http://tk310s.blog.shinobi.jp/Entry/45/

[]4に同上

[]4に同上

[]GDEアルパカ牧場HP, 2010/07/05現在, http://www.gde-alpaca.com/index.htm

[10]4に同上

[11]学びの宝箱: アルパカ, 2010/06/23現在, http://chrisnova.blog91.fc2.com/blog-entry-307.html

[12]9に同上

[13]4に同上