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楢岡由希子「パンをとおして余暇を考える」
1、
はじめに
今日、私たち日本人にとってパンはとても身近なものになっている。私自身パン屋でアルバイトをしているということもあるが、パンが好きで毎日パンを食べる。また、私は、新しくオープンしたパン屋や行ったことのないパン屋を見つけると行ってみたり、珍しいパンを見つけると食べてみたりと私自身食事だけでなく、余暇の楽しみになっていることがわかる。これは、私に限らず多くの人に値するだろう。そこで今回のレポートを通して、パンの歴史、パンと余暇の関わりについて自分のアルバイト先の経験を通して考察していきたい。
2、
日本におけるパン文化の広まり
パンは、天文12年、種子島に漂着したポルトガル船により日本に初めてパンが伝来した。その後、イエズス会の宣教師たちの布教活動とともにパン食の普及が始まった。そして明治時代になり本格的にパン文化が根付き始めた。そこで考え出されたのがアンパンである。日本人の好みに合うようにと作りだされた。また、パンとミルクという西洋風の食事は栄養価が高いとされ、日本中にパン食が広まった。戦後、ライフスタイルの洋風化が進み、パン食も人々の暮らしのなかに浸透していった。[1] 現在、パンが私たちの生活には欠かせないものとなっているように、日本人の多くが、朝食などでパンを食べる。この理由としては、パンが手軽に食べることができ、また野菜やお肉などをはさんだりすることで、多くの栄養も手軽にとることができるからではないだろうか。また、日本のパンには甘い菓子パンとそうではない調理パンや食事パンがある。このように、パンひとつとっても毎食の主食にもなり、おなかが空いたときなどお菓子としても利用できるように工夫がなされている。そういったさまざまな工夫が、日本にパン文化を根付かせた理由だと考えられる。
[1] [日本におけるパン文化の広まり]
パンのすべてがわかるポータルサイトおいしいパン.net
http://www.oishii-pan.net/knowledge/history_japan.html
2010年7月7日現在
3、
日本のパンにおける工夫とは?
日本におけるパンの工夫は、菓子パン、惣菜パンなどにとどまらない。このあいだ、宇都宮駅の駅ビルにあるえきの市場というところで、“冷たいパンとちおとめ”というパンを見つけた。私たちは、暑くなると食欲をなくし、冷たいアイスや飲み物を好んで摂取する。“冷たいパンとちおとめ”はそんな私たち消費者の傾向を考え、夏の暑い時期でも食べてもられるパンはないかと考え出されたのではないだろうか。
また、私のアルバイト先であるパン屋フラマンドール[2]レギュラー商品に加え、毎月新しいパンをおすすめしている。そのパンは季節やイベントに合わせて作られる。例えば、7月の新商品は、夏野菜やメロンなど夏によく食べられる野菜やフルーツを使ったパンが店頭に並ぶ。今の時期では、ちょうどワールドカップが開催されていることもあり、サッカーメロンパンというサッカーボールをまねたパンも売られている。このように、私たちはパンをとおしてその季節やイベントを実感することができる。日本には、消費者である私たちが楽しめるパンが多く存在しているように思う。ここで、こういったパンが私たちの余暇とどういった関わりがあるのか考えてみる。
4、
余暇とパンのつながり
余暇とは私たちが自由に使うことのできる時間のことである。余暇とパンは何の関係もないように思えるが、私自身余暇の時間を利用し、パン屋めぐりをしたり、実際にパンを作ってみたりする。これは、いずれも私の大事な余暇の使い方のひとつである。
私のように、余暇を直接パンのために使うという人は少ないかもしれない。しかし、考え方を少し変えてみると、多くの人の余暇にパンが、少しでも関わっていると思う。パン屋フラマンドールには、イートインコーナーが設けられており、そこで買ったパンを食べることができるようになっている。その場所を、毎日多くのお客様が利用する。お客様の傾向としては、まず、どのパンを食べるかと選ぶ段階から楽しんでいる。そして、パンを食べておなかを満たすということだけを目的にしているのではなく、お友達同士でパンを食べながらおしゃべりをしたり、一人でゆっくり本を読んだり、なにか考え事をしたり、また、旅行などの計画をしたり、それぞれが、異なる余暇を過ごしていることがわかる。会話ひとつとっても、パンの見た目や味、そのパン屋の雰囲気など会話が弾むポイントがたくさんある。
また、スーパーやコンビニなどで売られているパンにはシールが貼られていて、何枚シールを集めると、抽選ができる、商品がもらえるというパン会社によるキャンペーンも多くみられる。私たちは、早くその商品がほしい、シールをたくさん集めたいと必死に集める。なかなか集まらないシールを毎日地道に集めることも余暇の楽しみであると考えられる。
5、
余暇を見つめなおす
今回、パンと余暇について調べ、私たちのあらゆるところでパンが関わっていることが分かった。パンが、この長い時代をとおして、私たち日本人に愛され続けるのは、パンが、私たちのニーズに合わせ変化を遂げてきたからだろう。また、どんな時でも誰もが食べることができるパンがあることも理由のひとつである。
また、余暇とパンにつながりがあるのも、日本の主食がもともとお米であり、パンではなかったからだと考えられる。もし、ヨーロッパやアメリカのように、パンが主食であったら、アンパンやクリームパンなど甘い菓子パンが誕生しただろうか。きっと食パンやサンドイッチなど甘くないパンしか生まれなかったと思う。つまり、余暇とパンに大きな関わりがあるのも日本ならではだと思う。ぜひ、今度パンを食べる時、そのパンと自分の余暇に関わりがないか考えてみてほしい。私たちは、こういった身近なものから自分の余暇の過ごし方を見つめなおすと面白いのではないか。そうすることで、新たな発見もあるだろう。