100707nakamurak
中村佳代 「誤った健康志向と偏った食生活における改善策とは何か」
1. このテーマを選んだ理由
私がこのテーマを選んだ理由は3つある。
1つ目に、余暇政策論の授業の中で『妄信的 偏った健康志向』という新聞記事の内容に衝撃を受け、何か私自身の持っている食品における専門知識を生かせるのではないかと思い、食品問題を追求したいと考えたからである。[1]
2つ目に、普段、私たちが最も身近である食品問題において疑問を感じているにも関わらず、それらの情報源が限られている点に着目し、その問題について、消費者が考えるためのきっかけ作りとして機会を与えたいと思ったからである。
3つめに、余暇政策論の授業の終わりに学生からの質問や、それに関する興味・関心について私に話してくれたことを機に、私自身がそれらの質問に対して真剣に答えたかったからである。
以上、3つの理由から4つの食品専門知識における考察の視点を通し、誤った健康志向と偏った食生活における問題解決のための積極的なアプローチに迫る。
2. 目的
今、私たちの目の前で食品問題が浮上する中、最も身近である食品に関する消費者の知識不足により、私たちが誤った健康志向と偏った食生活を身に付けている点に着目し、それらの改善策に向けて公衆衛生学、栄養学、食品学、食品衛生学の4つの観点から考察し、日常的に役立つ食品に関する専門知識を正しく理解してもらうことを目的とする。
3. 誤った健康志向と偏った食生活とは何か
まず、消費者が食品に関する専門知識を知らないため、何が健康に良くて、何が体に良くないかの見極めの仕方が分からなくなっているため、正確な食品の知識に基づいた情報判断による取捨選択に至っていない点である。
次に、カロリーが少なければ太らないということや、栄養摂取における食品の取り方に疑問を持たなくなっているため、CMによる企業の商品に頼り過ぎている点である。
そして、体に必要な糖質、脂質、たんぱく質といった三大栄養素の摂取方法よりも、例えば、脂質といった体に不必要だと思い込んでしまっている栄養素を排除しようとするため、バランスの取れた食生活ができていない点である。
4. これらを改善するための4つの視点
公衆衛生学の視点からは、例えば、小中学校を例にとって考えてみると、極端に肥満型か痩せ型の傾向が強い。また、統計からメタボリック・シンドロームと言われる人達は年齢が上がるほど、増えているのが分かる。[2]
栄養学の視点からは、肥満の原因は、1回の食事だけを大量に食べたり、夜食を取ったりすることである。高齢者になると味覚の低下が著しいため、味の濃いものを好むようになるのである。また、不必要な栄養素を排除することよりも、エネルギー源になる糖質や、更には体の組織も構成する脂質、たんぱく質といった三大栄養素や体の機能を調整する無機質、ビタミンといった微量栄養素を摂取することにより、食生活が改善できるとされる。特に、三大栄養素は毎日の食事から摂取することが必要不可欠である。[3]
食品学の視点からは、カロリーが少なければ太らないというのは、それに伴い、食品添加物である合成甘味料を使用しているからである。また、それらは健康に悪影響を及ぼす可能性があると懸念されている。また、なるべく過剰摂取になりがちなサプリメントや栄養補助食品の摂取からは極力、控え、食品から栄養素を摂取するように心掛ける必要があるとされている。[4]
食品衛生学の視点からは、現在、既存添加物として認められている天然添加物についても毒性試験を実施するなど、安全性の見直しを行っている。また、一度、指定された食品添加物も削除される可能性があるとされている。[5]
5. 食品の組み合わせ方を切り口として考えてみたらどうだろうか
ここでは、食品の組み合わせ方を切り口として誤った健康志向と偏った食生活改善におけるヒントを紹介する。
まず、誤った健康志向と偏った食生活について考えてみる。この例として普段、私たちが何気なく目にするカロリーオフに注目してみる。カロリーオフについては、主に、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテームLフェラニン化合物が様々な飲料水に含まれている表示をよく見かける。これらの人口甘味料は、実際に、体内に悪影響を及ぼす危険性があるのではないかという議論が展開されている。これは、動物実験を通し、アメリカの医学博士たちによってしばしば懸念されてきた。また、例えば、脳腫瘍を引き起こす可能性があると問題視されてきたアスパラテームは日本では1983年から食品添加物として使用が認められた。[6]
体内に悪影響を及ぼすかもしれない飲料水や食品に頼るのではなく、何か私たちが普段から意識して行えることはないだろうか。また、先程も少し触れたが、体には欠かせない三大栄養素である脂質を取らなければいけないことにも関わらず、その脂質を排除しようとして濃い烏龍茶や、全く油を使わない食事をして果たして、それが本当の意味で、私たちの健康に気を付けていると言えるのだろうか。また、栄養補助食品に頼り過ぎている現代の若者の様子から特定の野菜ジュースだけを飲み続けている学生も増えているのではないだろうか。
そこで食品の組み合わせ方を1つの切り口として考えてみたらどうだろうか。この食品の組み合わせ方という新たな視点は、例えば、女性が気になる美容ビタミンを例にとって考えてみよう。ここで言う美容ビタミンとは、動物性食品にだけ含まれているビタミンAのことである。ビタミンAは皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあることから美容ビタミンと呼ばれている。ビタミンAが含まれる代表的なものとして豚や鶏の肝臓やうなぎ、牛の肝臓や西洋カボチャなどが挙げられる。特に、前者は他の物と比べて群を抜いて含有量が多いとされている。また、これらの食品に含まれるビタミンAは、油と一緒に摂取すると、吸収率が上昇される。このような点からただ単に、脂質である油分を排除してしまうと、エネルギー源になり、体の組織を構成する脂質を摂取せず、余計に他の食品から代わりになる栄養素を取ろうとし、痩せようと思って、カロリーオフの飲料水を飲み続けてしまったら一体、どうなってしまうのだろうか。[7]
その結果、私たちは謝った健康志向を身に付け、気付かないうちに偏った食生活を続けてしまっている。
ここで重要なのは、食品に対する私たち自身の疑問の声を大切にし、少しでもより詳しく食品における専門知識について知る機会を提供することが私にできることだと考える。そのため、これからも、少しでも健康に気を付けたい方や、ダイエットを成功させたい女性を中心とする若者にヒントを与えようと思う。
私たちは、食品の組み合わせ方によって、いくらでも食生活が改善できる。なぜなら、本来、体に必要な栄養素を摂取することによって、それが体内でエネルギー源になり、消費されている点に着目して欲しい。そして、今日から「太らないための食事をする」という発想から「エネルギー源になる食品の組み合わせ方」に意識を集中させて考えてもらいたい。「不必要な栄養素を排除する」といった発想から「何が体に必要な栄養素なのか」という発想転換に至る過程として以上で述べたことを頭の念頭において考えて欲しいと思っているので他については上記の4つの観点から詳しく調べていき、疑問に思う点をこれから少しずつ追求する着眼点を養ってもらいたい。
一番、重要なのは、私たち消費者が謝った健康志向と偏った食生活における改善策として、これらの日常的に役立つ食品に関する専門知識を正しく理解することであろう。
註
[1] 2010年4月8日 産経新聞 朝刊
[2] 調理師育成教育全書 必修編 公衆衛生学 丸山務 ほか67名 社団法人 全国調理師育成施設協会 2008年
[3] 調理師育成教育全書 必修編 栄養学 丸山務 ほか67名 社団法人 全国調理師育成施設協会 2008年
[4] 調理師育成教育全書 必修編 食品学 丸山務 ほか67名 社団法人 全国調理師育成施設協会 2008年
[5] 調理師育成教育全書 必修編 食品衛生学 丸山務 ほか67名 社団法人 全国調理師育成施設協会 2008年
[6][7]2010年4月28日 余暇政策論 『知って得する食品学&栄養学の知識』レジユメ作成上の前提知識によるもの