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「香りの意外な消費効果」

国際文化学科 宮川今日子

1.はじめに

私はアロマテラピーが好きで、毎日寝る前にアロマオイルをディフューザーに入れて焚いている。なかでも、「Ancient Rose」という香りが好きで、ほとんどの夜はこの香りで部屋がいっぱいになる。この香りをかぐと、今日も一日終わったのだ、お疲れ様という気分になるとともに、このアロマの時間は、一日の中で一番ゆったりとした時間を過ごせる私の大好きな時間である。もはや私にとって香りは生活の一部となっている。そこで、その香りというものが、私たちにとってどのような影響を与えているのか、私が毎日過ごすアロマの時間とともに話を展開させていきたいと思う。

 

2.世界中から香りを求めて

フランスの村を紹介するという番組が以前放送されていて、その中のグラース村に目が止まった。そこは世界一の花と香水の街といわれる。とくに「ガリマール香水工房」[1]では自分だけのオリジナルの香水が作れるという。その香水を創るために毎年世界中から多くの人が訪れる。もはや香りとは自然のものだけではなく、消費の対象として世界中から求められている。普段は私たちの周りに数多くありすぎて、香りはあまり気付かないような存であるが、起源はB.C.3000年頃の古代エジプトだという。[2]このことから、古くから人々は香りに対して関心を持っていたことがわかる。現在では、香水の他にも新たな楽しみ方も増えてきている。では、どんなものがほかにあるのか店を回って考えていく。

 

3.お店のなかの香り

基本的に総合店であれば、店頭にアロマオイルが必ずといっていいほどある。私の地元である神奈川県小田原市のLUSCAという駅ビルでもよく見かけた。私はこれらを発見すると必ず手にとってみるのだが、ブレンドしてあるのも多く、様々な種類がある。その中で気に入った香りがあると気分も上がる。他には、お香や、LUSHといういい香りのする石鹸専門店があることや、横浜ではフラワーティーというような花の香りがするお茶なども販売されている。このほかにも、香りのするハンドクリーム、ボディークリーム、整髪料など様々なところで香りが取り入れられている。それらはすべて人々が香りを日常生活に求めた結果ではないかと私は考える。このことから、消費の対象として香りが認識されていると私は思った。では、次にその香りが私たちの消費にどのような影響を与えるのか探っていきたいと思う。

 

4.香りと消費

香りと消費を考える上で、アンケートを参考にしたいと思う。「空間における『香り』に関する消費者の意識調査」から次のようなことがわかった。これは20081022日〜27日の期間、関東・関西在住の20歳〜59歳の男女400人を対象とした調査である。この調査によって、86.3%の人が「商業施設でいい香りがした場合、香りがなかった場合より好意的な印象を持つ」ということが明らかとなった。他にも、「そのお店にまた行ってみたい」、「より長くそのお店にいたい」、「商品を購入したい(サービスを受けたい)」などの項目でも大幅に半数を上った。[3]

このことからわかるように、香りは消費を促す要素を持っていることがわかった。また訪れたいなどと好印象を持つことができるのは、香りが店・もの・人の印象を強めている結果だと思った。確かにいい香りがすると気分もよくなるため、長居してしまう。実際私もそうである。この調査により、私たちが意識している以上に香りというのは重要なものであるということがわかった。しかし、実際に香りのする商業施設は数多くない。では、現在どのような商業施設が香りのマーケティングをしているのだろうか。

 

5.香りのマーケティング

主に「総合ファッションブランド」である。例えば、ココ・シャネルやブルガリなどがそうである。[4]鞄や財布の他にもそれら独自の香水がある。これらの香水をかぐだけで、どのブランドかがわかるのである。また、その香りによって高貴な自分になれるというイメージなどを持ち、香水を買う。嗅覚は人間の五感の中で一番優れているといわれる。というのも、人間の脳は五感の中で嗅覚のみが大脳新皮質を経由せずに、直接大脳辺縁系につながっているためだ。[5]これは、嗅覚が脳への刺激が強く、最も人の記憶や印象を強める働きがあることを意味している。ということは、香りをマーケティングに取り入れることができれば、消費者の購買行動の促進へつながるのではないだろうか。

現在、「総合ファッションブランド」は欧米のみからきたものしかなく、日本独自の総合ファッションブランドはない。[4]もし日本でそのような企業が生まれれば、消費効果のチャンスをつかめるのではないだろうかと私は考える。また、それだけでなく、ショッピングセンターや図書館など、多くの施設にその場にあった香りの利用があれば、消費につながると思う。しかし、なぜ香りが人に影響を与えているのにも関わらず、あまり企業で重視されないのだろうか。

 

6.香りの現状

人の心理に影響を与えるというような香りの使い方は、少しずつ注目されてきてはいる。しかし、食品などとは違って、成分表示や効果効能に対する見解が不十分であるため、信頼性がないのである。[4]

確かに、香りが万人に効果が表れるとは限らないという点においては、不十分だといえるだろう。しかし、実際にいい香りをかぐことで好印象を持つのも調査から明らかである。またアロマテラピーなどが注目されている現在、香りによってリラックスや、快眠の効果も得られているのも事実である。洗剤のダウニーが爆発的人気なのもいい香りのためである。[6]。そう考えると、私たちの周りは香りでいっぱいであるとともに、私たちはいい香りが好きなのだとわかる。

 

7.香りの将来

私たちの周りには様々な香りがあって、普段はなかなか意識しにくいものだが、香りは私たちの生活の中で重要な役割をしていることがわかった。このことから、香りを生活に取り入れることができれば、私たちの生活はもっと豊かなものに変わっていくはずである。実際にアロマをすることで私は心落ち着く時間ができる。その香りの中で、読書をしたり、音楽聴いたりするのも私の楽しみの一つであり、有意義な時間である。もっと香りの持つ効果について認識し、それを戦略的に利用することができれば、香りに対する消費率を上げることができるだろうと思った。また、それによって香りの新たな楽しみ方も増えていくだろう。私自身も、新たなアロマオイルの種類が出れば、購入して試してみたいと思う。そして、新たな香りの生活の中での新しい過ごし方を考えていきたい。このことから、香りに対しての意識が高まることによって、近い将来、香りを利用した企業や取り組みが徐々に増えていくのではないかと私は予想している。

 

 

 

[1]Galimard-Parfumeur en1747 – Grasse, France

http://www.galimard.com/html/intro.html

[2]香り・香水の歴史

http://home.att.ne.jp/apple/orion/rekisi.htm

[3]アットアロマ株式会社「空間における『香り』に関する消費者の意識調査」:

http://www.at-aroma.com/news_pdf/show?id=178&symfony=kftttaju

[4]香りのマーケティング:

http://jouhousanbou.air-nifty.com/weblog001/2005/07/post_21e8.html

[5]香りと記憶:

http://blog.rxyxo.com/?eid=256512

[6]香りを比較!人気の柔軟剤ダウニー:

http://www.surfies.net/column/life004.php

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