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藤田大輝「なぜiPodがここまで日本で売れるのか」
はじめに
私にとって余暇の時間とは家電量販店に行って新しい機能や斬新な商品を見ることにある。液晶テレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラ、携帯ゲーム機と、日本のデジタル電化製品は世界中で衰えるところを知らない。にもかかわらず、1970年から大きな市場占有率(シェア)を持っていた日本の携帯音楽プレーヤー、「ウォークマン」(SONY)の成績が近年、落ちこみつつある。その背後にはiPhone4、iPad、iPod touchで大成功を果たしたアメリカの会社、アップルの存在があった。1999年以降、パソコンの入出力デバイスUSBが普及したことをきっかけに携帯音楽プレーヤーの形が、デジタルオーディオプレーヤー(Digital Audio Player、DAP)に変わり、前のCDやMDの時代から携帯音楽プレーヤーにはフラッシュメモリーやハードドライブを搭載する時代になった。その中で、アップルのiPodというDAPが世界中で大きなシェアを占めるようになった。IBTimesの調査によると、アップルは2007年4月10日にiPodの累計販売台数がDAPとしては歴史上最速の速さで1億台を突破したと報告している。[1]
ここでは、1979年からステレオカセットプレーヤーとして発売し、場所を選ばず、いつでも音楽を聴けることで世界的に有名となった、ウォークマン(SONY)を比較の対象とし、アメリカのiPodの特色を明らかにした後、それぞれの違いについて着目し、なぜ外国産のiPodが、電化製品の大国である日本でこれほど大きなシェアを占めているのかを検証する。
デザイン性
まず、日本のDAPとiPodをデザインの観点からみていく。今年でウォークマン誕生30周年となったSONYは今年の10月に「NW-A840シリーズ」を発売した。[1]これは、約7.2mmの薄型デザインで、かつ64GBという大容量メモリーをもっている。また、DAPの色の種類も豊富で、光を浴びて色が変化する、アークティックバイオレットという限定商品もある。日本のDAPは色彩豊かなものが多く、薄型のデザインを追及している傾向にある。[2]
一方で、iPodからは、2007年に発売した大容量メモリー、「iPod classic」がある。SONYの「NW-A840シリーズ」に比べて色の種類は少なく、厚さは13.5mmと薄型デザインには負けるが、160GBモデルと圧倒的に保存曲数は多い。また、「iPod classic」には、ホイールと似た形のコントロールパッドがあり、「NW-A840シリーズ」に比べ、より簡単に曲の選択、操作ができるようになっている。[3]
付属品の種類
次にDAPを購入の際に付属している、イヤホンやカバーケースの観点から比較する。まず、両方の付属品としてイヤホンがある。SONYの場合、独自の高音質技術「S-Master」を使い、音の歪みを抑える役割をもつ。そのため、イヤホンの形もほかのDAPのものとは少し異なる。SONYのDAPを聴くためには専用のイヤホンが必要になる。しかし、iPodを見てみると、他の会社のイヤホンでも使うことができ、素人が音楽を聴くには音の歪みなどはまったく気にならない。
また、付属品のひとつにDAPをキズから守るためのカバーケースがついてくることがある。SONYだけではなく、日本ではカバーケースの種類が圧倒的に少ない。フラッシュメモリーやハードドライブを搭載するDAPにはカバーケースなどで保護する必要がある。しかし、日本では、DAPを買っても、それ専用のカバーケースを作っていないものもある。一方で、iPodにはカバーケースの種類に関して言えば一番多いのではないか。iPodの場合、アップル以外の会社からもカバーケースを販売しているところがたくさんある。そのため、iPodを使っている人は自分の気に入ったカバーケースに入れ、オリジナルのiPodを持ち歩くことができるのだ。[4]
メディアプレーヤーの使いやすさ
自分のDAPに音楽を入れるときに必要となるメディアプレーヤーの存在もDAPを選ぶときに注目しなければならない。iPodには「iTunes」というソフトウェアを通して音楽を入れ、管理する。「iTunes」の場合、アップルの出しているパソコン、MacBookのために開発されたメディアプレーヤーであるため、簡単な操作で曲の再生や管理ができる。一方で、日本のSONYは、少し前に「Connect Player」とよばれるメディアプレーヤーを配信した。これは、従来SONYが使っていたメディアプレーヤーに比べると操作が簡単になっているが、「iTunes」と比べるとやはり劣ってしまう。
まとめ
デザイン性、付属品の種類、メディアプレーヤーの便利性の3つの観点を比較すると、DAPの色の種類は日本が勝っているものの、ほかはすべてiPodが上をいっている気がする。しかし、これは決して日本、SONYの開発が劣っているのではなく、大容量メモリー、「iPod classic」やタッチパネルを利用した「iPod touch」にみられるように、アップルの新しい発想に日本がついていけていない状況にあるのだ。また、iTunesメディアプレーヤーをもっている人々がすぐにほかのDAPに変えるのも考えがたい。今すぐにSONYのDAPが売れ、iPodのようになるとは考えがたいが、日本で約7割もの人々がCDではなくDAPを使って音楽を聴いている現在、以上3点のことも考慮に総合的にみて自分にあったDAPを使うことをおすすめする。[5]