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江連祐希「余暇としてのまち歩きとその魅力」

 

１、まち歩き

 

　みなさんは、「まち歩き」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるだろうか。私が思うまち歩きとは、旅行よりお手軽な、でも散歩よりは少し特別な、そんなイメージである。私自身も、まち歩きが好きだ。少し遠出をして、知らないまちを、ゆったり巡る。そこには、素敵なカフェがあったり、思いがけないところに路地があったり、お店があったり、人との出会いがあったりする。次々と発見があり刺激的でありながら、穏やかな癒しの時間にもなる「まち歩き」は、飽きることなく、私をわくわくさせてくれる。今回は、みなさんにお勧めしたいまちをしょうかいしつつ、まち歩きに欠かせない、魅力あるまちとは何か、ということについて考えを深めていきたい。

 

２、おすすめのまち

 

　私のおすすめのまち、それは、鹿沼市と旧今市市である。ともに、栃木県内にある市であり、宇都宮からもそう遠くない。みなさんは、鹿沼・今市と聞いて何を思い浮かべるだろうか。もしかすると、「栃木の田舎でしょ。」「鹿沼インターチェンジがあるところだよね。」「イマイチ？なんだそりゃ。」と、そんな言葉が返ってくるかもしれない。だが、その言葉に私は胸を張って、「いや、どうやら最近そばかりじゃないみたいですよ。」と返すことができる。その理由は、どちらもその地域にあるカフェと、そのカフェを中心とした町並み、及びまちづくりにある。

 

３、カフェ

 

　「café 饗茶庵本店」「日光珈琲　饗茶庵」というカフェを、みなさんはご存知だろうか。鹿沼、今市に店を構える、元民家と元連れ込み宿を改修し、古い建物が持つ味わいを生かした、素敵カフェだ。最近ではメディア露出も多く、TV朝日系列の「ぷっすま」という番組でも紹介されたこともある。

[1]『店舗は、明治期に建てられ「元連れ込み宿」と伝わる古民家を風間さんが仲間と改装。レトロなたたずまいと地場産食材にこだわる味が人気の秘密だ。 今月、テレビで日光・那須の穴場スポット第１位として紹介されると、知名度は一気に浸透。検索サイトで「日光」を入力すると、一時は東照宮と江戸 村に続き「日光珈琲」が現れたほどだ。』

また、日光珈琲オーナーである風間教司さんが仕掛人として、開催しているまちづくりイベント、「ネコヤド大市」もよりまちの魅力を高めている。

 

４、ネコヤド大市

　鹿沼から新しい形のまちづくりが動きはじめ、周囲を巻き込みながら、その勢いは加速している。[2]『鹿沼の饗茶庵本店周辺では毎月、個人商店を集めた「ネコヤド大市」を開き、４００人以上を集める。先月は鹿沼市などと連携、枠組みを市街地に広げ た「楽市」をプロデュース、成功させた。』（2009.8.）先日、風間さんご本人に直接お話を伺ったときは、今では、一日１０００人を集めることもあるそうだ。「まちから路地」ではなく「路地からまち」へ、人の流れをつくる風間さんの発想は、すごい。このネコヤド大市は、一般的なフリーマーケットとは違い、いずれ自分のお店を持ちたいと思う、若いクリエーターが主に出店するとあって、そのレベルは高く、活気があふれているという。

 

５、おわりに

 

　「まち歩き」をテーマにしたときから、魅力あるまちとは何かを考えていた。魅力にもいろいろと種類はあると思うのだが、私は、そのまちの一番の魅力は、土地独自の雰囲気にあると考える。その土地に赴き自分の足で歩いて、初めてわかるそのまちの雰囲気が、心地よいものであればあるほど、人々はそのまちにおとずれようとするのではないだろうか。その雰囲気を構成する要素としては、町並みと、それを形作るお店、イベント、人の力が考えられる。自分に合う雰囲気に出会うのは、楽しい。この楽しいという気持ちが余暇の本質であると思う。その余暇の本質である楽しみを、まちで見つけていく、それがまち歩きなのだと思う。