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阿部有沙子 「生涯スポーツの出発地点、スポーツ少年団」

 

1.はじめに

 余暇と聞いて最初に思いついたことは、スポーツだった。年齢を問わず、余暇の時間をスポーツにあてている人も多いだろう。私自身、小学生の頃から空手を習っていて、大学生になった今でも休日には空手をしに実家へ帰ることもある。また、私が通っていた空手の道場はスポーツ少年団であったこともあり、本レポートのテーマを「生涯スポーツの出発地点、スポーツ少年団」とした。

私の住んでいる地域ではスポーツ少年団が盛んであり空手以外にも、サッカー、バスケット、バレー、複合種目などさまざまなスポーツ少年団が存在する。一見、小学生の習い以後と思われがちなスポーツ少年団だが、実際はそうではない。スポーツ少年団には、「リーダー制度」というものが確立されており、小学5年生から中学生までの単位団において団員のまとめ役となって活動する「ジュニアリーダー」と、高校生以上で単位団やリーダー会の指導や運営を行う「シニアリーダー」がある。わたしはこのリーダー養成事業に携わっており、スクーリングの運営補助などの活動を通じてスポーツ少年団の活動に参加している。(参考文献:「スポーツ少年団ジュニアリーダーのためのテキストブック」財団法人 日本体育協会 日本スポーツ少年団)

このように、私自身が一番身近に感じていたスポーツ少年団と余暇に関係していると感じ、スポーツ少年団に焦点をあてていこうと思う。

 

2.スポーツ少年団とは

スポーツ少年団は、スポーツを中心に幅広く活動している団体であり、その活動条件は、「子供たちが、自由時間に、地域社会で、スポーツを中心とした幅広い活動を、グループ活動で」の5つの項目がある。こうした活動は、あくまで自由時間に行うものである。さらに子供から大人まで関わるすべての人が協力して必要な役割を果たし、進んで活動することが重要であるとしている。

日本スポーツ少年団は1962年(昭和37年)623日に誕生した。これは東京オリンピックが開催される2年前にあたり、それに相まって大きな反響を呼び、当時豊かな国づくりを目指していた都道府県や市町村に受け入れられて、参加団数22団、総団員数753人と小さな組織だった当初から、現在では約36千団、88万人と日本最大の青少年スポーツ団体に成長してった。

スポーツ少年団には、年間を通して野球、サッカー、バレーボール、剣道など一つの種目を中心に行う単一種目タイプと、年間を通して数種目を指導者や会場の都合、季節や性別、年齢別などに分けて行う併行種目タイプ、そして年間を通していろいろな種目を行う複合種目タイプの3つがある。いずれのタイプも心身ともに急激に発達する子供たちにとって、主となるスポーツ活動だけでなく、文化・学習活動や社会活動など、幅広い活動を行うことが望ましい活動とされている。

このように、スポーツ少年団は子供たちが大人になる為に必要な健康、体づくりに役立ち、生涯続ける基礎を身につけるための団体といえる。(参考文献:「スポーツ少年団ジュニアリーダーのためのテキストブック」財団法人 日本体育協会 日本スポーツ少年団)

 

3.スポーツ少年団の重要性

 大人になるまでにスポーツを経験する機会というのは3回あると思う。小学生のスポーツ少年団と中学生、高校生の部活動だ。そのなかでもやはり私はスポーツ少年団が余暇に最も影響があると考える。スポーツ少年団と部活動の大きな違いはその目的にある。上記にも書いたように、スポーツ少年団では心身ともに急激に発達する子供たちにとって、主となるスポーツ活動だけでなく、文化・学習活動や社会活動など、幅広い活動を行うことを目的にしていることに対して、部活動は単一の種目の技術を伸ばし、大会などで成績を収めることを目的としている。つまり、生涯スポーツと競技スポーツという点で違いがある。どちらも、余暇のスポーツのきっかけになるという点では同様であるが、スポーツ少年団は小学生からの延長でスポーツ、地域と関わっていけるという点で部活動よりも余暇に近い存在であるといえる。

 

4.リーダー養成事業

 少し話はズレてしまうが、ここで私の少年団活動を紹介したいと思う。

 1の項目で紹介したが、私はリーダー養成事業に携わっている。私自身も、小学生の時にジュニアリーダースクール、高校生の時にシニアスクールに参加し、現在スポーツ認定員という指導者の資格を持っている。スポーツ少年団のリーダーとはそれぞれが所属している単位団で活動しているが、同じ地域のリーダーが集まり、スポーツを楽しみ、交流や学習を通して望まれるリーダーへのスキルアップをする場としてリーダー会というものがある。このリーダー会は全国に存在し、私も所属している。このリーダー会でスクーリングの運営補助を行ったり、全国のリーダーの連絡会に参加したり、関東や東北、九州といったようにブロックごとの研究大会などが開催されていたりとその活動は本当に幅広いものである。また、日本のスポーツ少年団のモデルはドイツのスポーツユーゲントである。

そのため、日本とドイツの交換交流があり、私は高校3年生の時にドイツに日本派遣団として参加した。この交換交流では3週間ドイツの家庭にホームステイをし、現地のスポーツユーゲントの同世代の青少年たちと交流をしていた。この交流は私にとってとても印象深いものであり、これが、私が今この大学に入学するきっかけにもなった。また、このリーダー活動で出会ったドイツや全国の仲間達は本当にかけがえのない宝物であるし、今でもお互いを刺激し合える存在である。

5.理想と現実

 2、3の項目で示した通り、スポーツ少年団は余暇につながる生涯スポーツであるが、すべての単位団がスポーツ少年団の理想の活動をしているわけではない。単一種目タイプの単位団によくみられるのだが、卒団制度を設けている団がある。サッカーや野球、バレーにバスケットなどのスポーツは中学生になるとそのまま部活動に入部する子が多いために、本人の意思に関係なく単位団を辞めざるを得ないのである。また、スポーツを通して楽しく成長をしていく場であるにも関わらず、技術向上のため、大会で成績を収めるためだけに活動が偏ってしまう単位団があることも現実である。

 指導者をはじめ、団員とその保護者などスポーツ少年団にかかわる人への情報のPRがもっと必要だろうと思う。

 

6.考察

今回、ずっと身近に感じてきたスポーツ少年団を余暇といういつもと違った視点から見ることができ、改めて少年団活動について考えることができた。

 スポーツ少年団は私の余暇にとっても大きな影響を与える存在であるし、子供から大人まで幅広い世代にとっても密接に関わっていることがわかる。私はこれからもこの少年団活動を続けていくつもりだ。その活動の中で、本レポートで改めて見つけた、スポーツ少年団の重要性や、問題点は必ず役に立ってくると期待を抱いている。そして、是非これから出会う団員達にスポーツから学べること、続けていくことの意義などをもっともっと広めていきたいと思った。

 

7.最後に

 本授業では様々な面から余暇をのぞいてきた。今まで余暇というものについて考えたことがなく、ただ暇な時間として軽く生活の一部の中に埋もれてしまっていた。この普段は全く、注目されることのない余暇に焦点を当てて考察するという授業はとても新鮮なものであった。また、自分以外の人々が余暇についてさまざまな意見を持っていて、貴重な意見を聞けたことがとても刺激的であった。人それぞれの余暇があり、日常を取り巻くさまざまなストレスとうまく向きあっているということに気づいた。これを機に自分の余暇の過ごし方を見つめなおし、より充実した余暇の時間が過ごすことができればこの授業の成果といえるのではないだろうか。