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野々下三四郎「日本のアウトドア、外国のアウトドア」

 

 

1.アウトドアとは

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アウトドアとは、戸外で主に自然と関わる形で行われる営みの総称。 例えばキャンプトレッキングなどである。場合により、アウトドア・スポーツを指すこともある。

アウトドアoutdoor)とは、アウトドア・アクティビティ(Outdoor activity)のことだ。日本では「アクティビティ」が省略されて、一般にアウトドアという表現で使用される。アウトドア・アクティビティとは、屋外で行うスポーツレジャーの類をまとめて呼ぶ総称であり、対義語はインドア(アクティビティ)アウトドア活動、野外活動ともいう。野外活動という表現は、野外体験活動、野外教育活動、野外学習活動などの教育目的の活動も含まれる。

しかし、部屋から一歩出て野外で行うもの全てがアウトドアと呼ばれるわけではない。要するに「自然の中で自然を相手にする」ないしは「自然の中にいることそのものを目的とする」様な行為をアウトドアという。その意味ではキャンプやハイキング、登山等は確かにアウトドアである。バーベキューはアウトドアと少し違うような気もするが、炭火料理を楽しむというよりはそれが行われる場所(野外)を楽しむのであるから、ぎりぎりアウトドアであろう。花見の宴会はじつに微妙である。なぜなら、昨今の花見は殆ど親睦会と化してしまい、「花を楽しむ」割合はずっと低いので、アウトドアのコンセプトから外れているからである。

 

 

2.日本のアウトドア

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登山の愛好家は07年に570万人で、8年前に比べ約3割減。このうち、男性10代                          の登山参加率は2・5%と、若者たちの自然離れが進んでいる。正確には山離れはさらに勢いを増している。アウトドア用品の売れ行きは悪くはないが、それは、ただファッションとして人気があるだけなのだ。

 

 

3.外国のアウトドアシーン 【アメリカ】

 アメリカ人は。幌馬車の時代から野外生活の伝統をつちかってきましたから、アウトドアが思想まで結実し、国家の基本理念の一つとして確立されている。

 彼らは、人間が自然から学ぶべきことがたくさんあるということを理解している。だから、例えば両親が子供を連れてバックパッキングなどをしている間は、学校に行かなくても親が、学校の代わりに教えることができる。つまり、アウトドアも教育の一環であるということが広く認知されている。だから、彼らは、「学校の授業よりも自然の方が偉大な教師だ」とはっきりと言います。こういう国だからこそアウトドア人口は16000万人に達するのだ。

 

外国のアウトドアシーン【フランス】

 フランスという国は非常にバカンスが盛んで、夏などには多くの人がロングバケーションを取り、アウトドアを楽しみます。しかし、これは自然発生的にそうなったわけではなく、実はしっかりとした制度がそういったバカンスを支えている。

フランスには国民の余暇活動を支援するために、いわば、「指導者」を育成する制度がある。この指導者たちを「アニマトゥール」という。その多くは17歳から25歳くらいの青年で、およそ100時間のトレーニングを受けてアニマトゥールの資格を取得し、子供たちにアウトドアの手ほどきを行う。フランスではこのアニマトゥールが年間4万人ほど誕生するといわれています。

夏になると、彼らは1週間から1か月ぐらいのサマーキャンプに子供たちを連れ出し、さまざまなアウトドア体験をさせる。そして、子供たちがサマーキャンプに行っている間に、夫婦水入らずの旅行を楽しみたい親たちは、自分たちだけの長距離旅行に出かける。

このように、フランス人たちのバカンスというものは、実は国家が整えたシステムによって実現されている。

 

 

4.なぜ日本ではアウトドア離れが進むのか

 前に述べたアメリカ、フランスの例を踏まえて考える。日本には、アメリカのような時代的背景も無ければ、フランスのような制度も整っていない。しかし、日本の地勢というのは、国土の68パーセントが山 (森林) 。フィンランドについで2番目に広い森林面積である。自然が破壊されたといわれながらも、日本の自然というものはとても豊かであり、アウトドアをしないのは実にもったいない。 それなのになぜアウトドア離れは進むのだろうか。 

その一因としてナイフ離れが挙げられるのではないだろうか。ナイフはアウトドアを行うにあったって絶対に必要なものだ。しかし、日本人の大部分が、ナイフは武器と思っておりナイフをかなり毛嫌いしている。秋葉原での殺傷事件、テレビなどによる刷り込みのためだろう。私は子供のころ、親にナイフをもらい、使い方を教わり、たくさん怪我をした。なので、ナイフが本当は危険ではないこと、アウトドアに絶対に必要なことを知っている。そのお陰もあってか、私はアウトドア大好きである。

 

5.環境保護、教育のためのアウトドア

  アウトドアを行うことのメリットとして楽しさ、心身のリフレッシュはもちろんだが、自分がアウトドアをしてみると徐々に、自分の行くフィールドをきれいにしたい、気持ちよく利用したいと思うようになる。なので、大人はもちろん、幼少時代からのアウトドア体験は非常に大切であると私は考える。

 

 

6.面白アウトドア企業

米アウトドアブランドのパタゴニアでは、仕事中にサーフィンに行くことが許されている。その意図は、

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今サーフィンに行っていいかどうかなど、上司にいちいちお伺いを立てなくとも、社員一人一人が責任を持って仕事の進め方の中で判断ができる組織を作る。

午後にいい波がくるとわかれば、仕事を効率的に進めることを考える。

いい波、あるいはいい雪がいつ降っても出かけられるように、日頃から生活や仕事のスタイルをフレキシブルにする。

周囲がお互いの仕事を知り、信頼し合っていれば、誰かがサーフィンに行ったとしても、病気になっても、あるいは育児休暇で休んだとしても機能する。

パタゴニアはアウトドア製品を開発・製造、販売している会社であり、誰よりも自然やアウトドアに対する深い経験と知識を持っている人間を採用できる。

などである。私が一番共感したものは、下線の引いてある一文である。やはり、アウトドアが好きで、実際にユーザーともなりうる人が作った物がいいに決まっている。一度も焚き火をしたことのない人間の作った焚き火台など欲しくはないようなものだ。

実は、社長のイヴォン自身こそが最も会社におらず、自然の中で多くの時間を過ごしている。

また、企業経営を、地球を守るための「実験」だと位置づけている点もユニークである。毎年売り上げの1%もしくは税引き前利益の10%どちらか大きい額を環境保護団体に寄付し、世界で初めてフリース衣料をペットボトルから再生、また、企業による環境への取り組みを加速させるための企業同盟組織「1% for The Planet(地球のための1%)」を創設するといったことを実現してきた。こういった具体的な取り組みは「言葉よりも行動を」という企業理念により次々と取り入れられ、通常の感覚では難しいと思われることも、実際に定着しています。パタゴニアは、グローバルでも年商250億円ほどの中規模な会社だが、米フォーブス誌による「100 Best Companies to Work For(働きやすい企業ベスト100)」や米ワーキング・マザー誌による「100 Best Companies for Working Mother(働く母親のためのベスト企業100)」では毎年のようにランキングに入り、今年の米フォーチュン誌42日号では「The Coolest Companies On The Planet(最もかっこいい企業)」というタイトルの記事で大きく紹介された。

 

 

 

 


[1]はてなキーワード アウトドア http://eco.nikkei.co.jp/column/patagonia_shino/article.aspx?id=MMECc5022008062007

[2]レジャー白書2007

[3]日経エコノミー 社員をサーフィンに連れていこう http://eco.nikkei.co.jp/column/patagonia_shino/article.aspx?id=MMECc5022008062007