090701tachibanam

 

橘万葉「東京ディズニーランドはなぜ人気が衰えないのか」

 

1.はじめに

 最近不況とは言われるものの、2008年度上半期のディズニーリゾートの来場者数は1304万人と過去最高を記録した。2007年のデータではユニバーサルスタジオジャパンの来場者数の約3倍の来場者を記録した。また、友達からは「ディズニーリゾートに行くのに10万円持って行く!」という話も聞くし、ディズニーリゾートは不況とは無縁のように思う。私自身、休みができて、どこにいきたいかと問われたらディズニーリゾートの名前は必ず上位に上がってくる。人々にこのように思わせるディズニーランドの魅力とは何なのだろうか。

 

 

2.徹底した「夢の国」づくり 〜未完成のテーマパーク〜

 ディズニーランドは、園内から園外の様子は見ることができない、また園外から園内を見ることもできない。違う世界を見ようとしたときにどちらからも見えるのはアトラクションと背の高い樹木だけである。このように日常の空間からディズニーランドという世界を切り取ることで人々は日常を忘れ、ディズニーランドという世界に浸ることができる。

 

また、ディズニーランドで非日常的な時間を楽しめるのはその要素からだけではない。ディズニーランドには荷物運搬用と従業員の移動用の地下通路がある。この地下通路は全長600メートルほどあり、この出入り口は店舗の奥やレストランの裏側にあったりするので、来園者からは見ることができない。この地下通路のおかげで私たちはディズニーランドで働くキャストたちの移動する姿や荷物が運搬されている様子などを見ることはない[1]。このようにキャストや物が移動している場面を見ないことで、ゲストである私たちはキャストが働いているということをあまり感じさせられることがないのではないのだろうか。

 

 どんなに楽しい商品でも何度も見たり、体験したりするうちに飽きてしまう。しかし、ディズニーランドでは来園者が何度来ても飽きることがないように工夫がされている。たとえば数ヶ月単位で様々なイベントが企画されていたり、アトラクションも1983年にオープンしてから2005年までの23年間で22ものアトラクションを追加したりしている。こうすることでアトラクションに飽きることを減らし、リピーターの数を増やしている。

 

実際、今年の415日にはモンスターズ・インクをモチーフにしたアトラクション「ライドアンドゴーシーク」がオープンしている。また、今年525日まで「ミッキーマウス・レビュー」というアトラクションのあった場所には2011年に「ミッキーのフィルハーマジック」というアトラクションが新しくオープンする予定となっている [2]。 

 

アトラクションの改廃はゲストがまた来たいと思う1つの大きな要因となっているのではないだろうか。もし、開園当初からこれまでアトラクションの改廃がなかったとしたら、ディズニーランドのリピーターたちはこれほど増えていなかったかもしれない。

 

 

3.キャストのサービス

 また、ディズニーランドはその環境だけでなく、その中で働くキャストたちのサービスもディズニーランドの魅力の大きな部分を担っていると考える。ディズニーランドには食べ物の持ち込みが禁止されている。しかし、アレルギー体質の人は別で、食べ物の持ち込みが可能になっている。東京ディズニーリゾート・インフォメーションセンターに電話をし、アレルギー体質であることを伝えるとすぐに「アレルギー担当者と変わります」と対応してくれる。また、それだけでなく、アレルギーのある食品を詳しく尋ねられ、食べられるメニューの一覧やレトルト食品などを温めてくれるレストランの一覧も送ってくれる[3]

 

 また、パーク内のサービスもほかのサービス業で私たちが受けるサービスとは少し異なっている。キャストたち一人一人がゲストを楽しませ、大人も子供も楽しめる場所にするということを理解していて、またそれをきちんと体現しているのではないだろうか。ディズニーランドの中で「いらっしゃいませ」など挨拶一つにしても店員と客という立場を実感させられるような声かけは聞こえてこない。「いらっしゃいませ」の代わりに「こんにちは」や「いってらっしゃい」などとても親しみやすい声かけが心がけられていると実際行ってみて感じた。「いってらっしゃい」と声をかけられることで自分が本当に夢の世界へ出発するような気分になることができる。

 

 また、パーク内を歩いていた時にたくさんの人の中を小さい子供が一人で歩いていた。私がそれを「迷子かな」と思って見ていると、近くにいたキャストがその子に声をかけていた。近くにその子の親がいたためその子は迷子ではなかったが、それを見てパーク内を歩くゲストたちをきちんと見ているのだなと感じ、私自身安心感を覚えた。

 

 このほかにも素敵なサービスについて『最後のパレード ディズニーランドで本当にあった心温まる話』(中村克 2009 サンクチュアリ出版)という本にたくさんの話が書かれている。テーマパークのガイドが出版されることはあってもディズニーランドようにそのテーマパークのサービスについて本が出版されることはあまり多くないだろう。

 

 

4.実際の評判

 Yahoo! の評判検索でディズニーランドについての評判を調べてみると、2008330日の午前9時の時点でポジティブな表現が76%、ネガティブな表現が8%、そのほかの表現が16%となっている。ポジティブな表現の主なキーワードは、楽しめる(387),行きたい(311),楽しい(282),かわいい(281),大好き(235),好き(121),面白い(72),きれい(64),楽しみ(61)などがある。その一方でネガティブな表現の主なキーワードは、混雑し(24),嫌い(19),混んで(17),無理(11),苦手(10),未完成(10),憂鬱(8),渋滞(7),ダメ(7),閑散(6)が並んでいる。

 

 ネガティブな表現もあるが渋滞や混雑に対して見られるものでディズニーランドの対応そのものに対する不満を感じる内容はそれほど見られなかった[4]

 

 

5.おわりに

 現在たくさんのテーマパークがあるが、その中で生き残っていくためにはリピーターの確保が重要である。リピーターを増やすためにはほかのテーマパークとの格差が重要になってくるのではないだろうか。特にキャストのサービスの質はほかのテーマパークとの格差を作るために大切になってくる。アトラクションで客を引き付けることはどこのテーマパークでもやっているが、そこで働く人たちのサービスの質でも客を引き寄せられるテーマパークはディズニーリゾートのほかにあるだろうか。あったとしても数は少ないだろう。以上のことからディズニーランドの人気の秘密はその徹底した「夢の国」づくりとキャストのサービスの質にあると私は考える。

 

 

 

[1] 岩田隆一 なぜ東京ディズニーランドは人気があるのか。サービス・マーケティングからの分析。

http://www.tsukuba-g.ac.jp/library/kiyou/2006/05.IWATA.pdf#search='ディズニーランド%20人気'

 

[2] アメーバニュース 東京ディズニーランド2011年に新アトラクション導入。

http://news.ameba.jp/domestic/2008/11/20283.html

 

[3] 山澤成康 ディズニーランドの夢と希望はどこにあるのか

http://www2.mmc.atomi.ac.jp/web13/disney.prn.pdf#search='ディズニーランド%20人気'

 

[4] 東京ディズニーランドの人気の秘密と評判分析

http://blogs.itmedia.co.jp/business20/2008/03/post-6891.html