070627saorisato
佐藤沙織「日本の大規模野外音楽フェスティバル」
〜はじめに〜
これから暑い時期になってくると、全国で大規模な野外音楽フェスティバルが開催される。私自身昨年春に地元の野外音楽フェスティバルに行き、楽しかった思い出があるので、野外音楽フェスティバルの成り立ちと、その魅力について探求することにした。
まず、野外音楽フェスティバルとはどういうものを指すのか。野外で行われるライブイベントコンサートであり、複数のアーティストが出演し、数ステージ上で連日で行われるものが多い。多くは、長期休暇を取りやすく気候的に適した夏季に開催される。特に都市部を離れた都市部などで行われるものは「郊外型」、東京・大阪などの都市部で行われるものは「都市型」といわれる。コンサートを楽しむだけでなく、出店で食事をとったりキャンプが出来るものが多い。近年は、大規模な野外音楽フェスティバルが全国各地で行われている。しかし、始まりは1997年と歴史は浅く毎年各イベントで試行錯誤が行われている。
1.国内で行われる様々なスタイルの大規模野外音楽フェスティバル
全国各地で行われる野外音楽フェスティバルの中でも、特に大規模なものを全国各地から挙げる。
(<イベント名>,開始年,主な開催場所,開催時期,主催者,特徴)
<荒吐ロックフェスティバル>
2001年,宮城県/エコキャンプみちのく,4月,仙台放送・Date fm・GIP,会場にキャンプサイトがあり、キャンプサイト有り。春季開催で花見も楽しめる。
<サマーソニック>
2000年,千葉県/千葉マリンスタジアム,幕張メッセ&大阪/舞洲サマーソニック特設会場,8月,株式会社クリエイティブマンプロダクション,1日目、2日目で東京と大阪のアーティストが入れ替えられる。海外アーティスト中心。
<フジロックフェスティバル>
1997年,新潟県/苗場スキー場,8月,SMASH Corporation,日本初の野外ロックフェスティバル。海外アーティスト中心。キャンプサイト有り。
<RISING SUN ROCK FESTIVAL>
1999年,北海道/石狩湾新港樽川埠頭野外特設ステージ,8月,WESS,国内最大級の野外オールナイトフェスティバル。国内アーティスト中心。会場内にキャンプサイト有り。
<ROCK IN JAPAN FESTIVAL>
2000年,茨城県/国営ひたち海浜公園,8月,株式会社ロッキング・オン,国内アーティストが出演。
<MONSTER baSH>
2000年,香川県/国営讃岐まんのう公園,8月,NTT DoCoMo四国,国内アーティストが出演。
<朝霧JAM>
2004年,静岡県/富士宮市朝霧アリーナ,10月,朝霧JAM実行委員会(SMASH),高原で行われ、富士山を見ることが出来る。国内アーティスト中心。キャンプサイト有り。
一口に野外音楽フェスティバルといっても、それぞれ特色がある。イベントに呼ぶアーティストも海外のものに特化するなど、対象にする客層も様々である。主催者を見てみると、クリエイティブマンプロダクションのようなコンサートイベント事業の会社だけでなく、開催地の企業が行っていることもある。荒吐ロックフェスティバルでは、開催地のマスメディアの複数の会社が主催しており、MONSTER bashではその地域の携帯電話会社である。主催者が、開催地の企業である場合は、地域活性化の狙いもあるのであろう。ステージも、千葉マリンスタジアムが会場のサマーソニックでは、海を臨めるステージがあったり、朝霧JAMでは富士山を眺めることが出来るなど、その土地の特色を活かしているものがある。これは野外ならではの体験である。
2.大規模野外音楽フェスティバルを支える企業・NGO
上のような大規模なイベントでは、様々な設備や資金面のバックアップが必要になってくる。この章では、どのような団体が、どのような形でフェスティバルを支えているのかを調べた。一つのイベントに「協賛」「協力」「環境対策協力」「後援」といった形でたくさんの企業や自治体が関わっているので、上記のイベントに関わっているものの一部だけを紹介する。
(<団体名>,関わるイベント,イベントに関わるスタイル)
<国際青年環境NGO A SEED JAPAN>
荒吐ロックフェスティバル・サマーソニック・フジロックフェスティバル,環境対策協力…NGOに所属する有志メンバーによるイベント会場でのゴミの分別の促進。
<audio-technica>
サマーソニック,協賛…イベントで使われるマイクロホンとヘッドホンの提供。
<maxell>
フジロックフェスティバル,後援…特設ブースを設け、来場者のDVDを作り参加者に後に配布するイベントを行う。乾電池の無料交換サービス等。
<ポカリスエット(大塚製薬)>
フジロックフェスティバル・ROCK IN JAPAN FESTIVAL・サマーソニック・RISING SUN ROCK FESTIVAL,後援…イベントステージの設営。
上に挙げたaudio-technicaやmaxellはそれらの会社の事業内容を前面に押し出した活動を行っている。一方ポカリスエットとなど、一部の企業は複数の大規模野外音楽フェスティバルの後援をしていることが分かった。このほかに、大手CD販売店や、音楽専門チャンネルの会社も複数のイベントにまたがって後援を行っていた。多くのスポンサーは、事業内容が音楽と関わっていることも分かった。これに対して、小規模のイベントでは開催される地域の企業が協賛・後援になっていることが多い。そして、一部のイベントではあるが、NGOも関わっている。例に挙げたA SEED JAPANに関しては、NGOメンバーが自費で会場まで足を運び、ゴミの袋を配布しゴミ分別のナビゲートをするといったもので、イベント主催者としてもありがたいものではないだろうか。そして、このような一度に数万、十数万人が足を運ぶイベントに参加することによって、企業やNGOの名前を良いイメージで参加者に宣伝することが出来ると思う。私自身、昨年荒吐ロックフェスティバルに行った際に、A SEED JAPANが配布するゴミ袋を受け取り、初めてそのNGOの存在を知り、その後NGOメンバーとなっている。
3.野外音楽フェスティバルの魅力
年々、各フェスティバルは規模が大きくなり観客もうなぎ上りに増えている。まだ始まったばかりのこのスタイルのイベントが人気を博す理由は何であろうか。私の実体験も踏まえて、その魅力に迫ってみる。まず、なんといっても一度のイベントに多くのアーティストがくることが挙げられる。これは野外の音楽フェスティバルに限ったことではないが、1つの会場に行けば複数のアーティストが見られるということは、なんとも贅沢なことである。そして、このような大規模フェスティバルには通常なかなか見られないような海外のアーティストも出演するため、多くの観客を集めることが出来るのであろう。
次に、ステージを味わう以外にも娯楽体験が味わえることを挙げる。普通のコンサートではステージを見たらそれで終わりになるが、この場合は外でキャンプをし、屋台で食事を取るなど、本来の目的の音楽ステージ以外にも、特別な体験が待っている。屋内の音楽フェスティバルでも屋台が出るものもあるが、野外での開放感は一味も二味も違うと思う。私自身、様々な屋台を回り、地べたに座りながらの昼食は、お祭り気分も遠足気分も味わえ、とても美味しかったものである。また、屋外ということで、家族連れでも周りを気にせずにたのしむことが出来るであろう。
〜さいごに〜
このテーマに関するまとまった資料がなかったので、インターネットでデータを集めることが大変であったが、新しい情報を元に進めていくことは出来た。これから迎える夏、全国で様々な大規模野外音楽フェスティバルが開かれる。青空の下、新しいスタイルのエンターテイメント空間に身をゆだねてみるのも良い余暇時間になるであろう。
参考サイト
・ ポカリスエット http://www.otsuka.co.jp/poc/#
・
Wikipedia“ロックフェスティバル”
・ A SEED JAPAN http://www.aseed.org/
・ Audio-technica http://www.audio-technica.co.jp/corp/sc/summersonic/index.html
・ maxell http://dvd.maxell.co.jp/ad/support/frf.html
・ FUJI ROCK FESTIVAL http://www.fujirockfestival.com/
・ 荒吐ロックフェスティバル http://arabaki.com/home.php
・ RISING SUN ROCK FESTIVAL http://rsr.wess.co.jp/2007/index.html#
・ 朝霧JAM – It’s a
beautiful world http://www.smash-jpn.com/asagiri/info.html
・
MONSTER
baSH http://www.monsterbash.jp/
・
SUMMER
SONIC http://www.summersonic.com/index.html
・
情報百科事典 http://ab200.abz.jp/2007/04/post_180.html