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佐藤美郷「余暇活動における経済分野への影響」

 

第一章 日本人にとって余暇とは何か。

 

 余暇、それは私たちが生きている中で最もリラックスできる時間ではないだろうか。日頃の講義やアルバイトの疲れを癒し、肉体的にも精神的にもリフレッシュできるものだと思う。私の余暇とは、自宅で一人ゆっくりしたり、地元に戻って家族と生活することだったり、読書や映画鑑賞、友人との雑談、時には旅行もそうである。もちろん、講義やアルバイトなども余暇であるという人もいるだろう。ここでは私たちにとっての余暇を考えていきたい。

 

 内閣府の「余暇と旅行に関する世論調査」によると、平日・休日ともテレビ、ラジオ、新聞、ラジオの見聞きが一番多く、何もしないでのんびり過ごす、家族との団欒と続いている。中には余暇の時間がないという人もいる。10%弱ではあるが、その人たちは仕事等に打ち込んでいるのだろうと考えられる。では、調査による余暇とは何かという質問に対し答えは、余暇はストレスを解消し,仕事(家事・勉強)の能率を高めるなど,他の目的に役立つものである、と考えている人が全体の45.4%であり、自分の生活を満たすなど,余暇そのものを楽しむことに意義がある、という意見の36.4%を上回っている。私たちの感覚から余暇をみると、余暇自体を楽しむということよりは、ストレス解消または、他の目的に役立つものとして考えられている。

 

参考 内閣府政府広報室「余暇と旅行に関する世論調査」Q2(1)2)、Q6

http://www8.cao.go.jp/survey/s57/S57-09-57-09.html

 

 

第二章 日本人は余暇をどのように過ごしているのか。

 

 前章で、私たちは余暇を、仕事等の能率を高めるためなどの他の目的に役立つものであると考えていることがわかった。では、具体的に余暇の時間に何をして過ごしているのだろうか。私の場合は、前にも述べたように、家族と団欒、友人との雑談、読書や映画鑑賞、一人でボーっとすること、旅行などである。

 

 消費活動と同様に、日本人の余暇活動も大きな転換点にきているようだ。限られた余暇時間を有意義に過ごそうという考え方が強くなりつつある。そのため、日本人は自分に合った余暇を選び、自分のための余暇を過ごすようになってきており、余暇の過ごし方は十人十色になっている。

ここ3年間で拡大した余暇の過ごし方としては、園芸・庭いじり、ドライブ、読書、映画鑑賞、国内観光旅行、パソコンなどである。一方、減少したものとしては、音楽鑑賞、グルメ・食べ歩き、カラオケなどがあげられる。また、海外旅行の場合は、構造変化が起こっており、これまで海外旅行市場を支えていた2030代女性の海外旅行に行った割合が減少し、高齢者で急激に増えている。

 

これらの余暇を過ごす際の考え方は、日常から離れたところで普段の自分を忘れて楽しむ「非日常型」レジャーと、自分の周囲で心地よく楽しむ「家型」レジャーという考え方に二極化する傾向にある。日頃から街にでてお金を使って楽しむ「街型」レジャーは減少傾向にある。

 

参考 生活者1万人アンケート調査 調査レポート 野村研究所

   http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/survey/05.html

 

 

第三章       余暇と経済の関係は何か。

 

 次に、余暇と経済との関係について考えたいと思う。余暇と経済の間にはどのような関係があるのだろうか。例えば、2005325日から925日まで開催された、愛・地球博。どれだけの人が入り、収益収入はどれくらいなのかなど、人々の余暇活動において、アミューズメントパークの企画・運営・業績などとどう関係があるのかをみていきたいと思う。

 

 2005年日本国際博覧会、愛・地球博は「自然の叡智」をテーマに掲げ、自然の仕組みを学び、地球的課題を克服し、持続可能な社会を創生していくためのさまざまな取り組みを最先端技術や冷凍マンモス等、創意工夫を凝らした展示を通じて、来場者や世界に向けて紹介するとともに期間中には多彩なイベントが開催され、国際親善・国際交流の舞台ともなった。来場者数は、当初の目標をはるかに越える約2205万人であった。そのうちの約100万人が海外からの旅行者であり、愛・地球博のメッセージが多くの外国人に広く受け入れられたことがわかった。

 

 また、事業費として建設費が1350億円、運営費が550億円かかっており、巨額な資金のもとで開催されたことがよくわかる。

 

平成17年の余暇支出は、この「愛・地球博」の開催もあったため、前年より増加した。バブル崩壊後の平成4年をピークに減少を続けてきたものの、18年は余暇支出が「増えた」人は余暇支出が「減った」人より多かったようである。

 

このように、余暇活動において人々があるアミューズメント施設等に足を運ぶと、人はもちろん、お金も必ず移動することがわかる。

 

そこで観光関連産業は観光客の行動に関する正確な情報が必要となるので、アンケート調査等を実施し、貴重なマーケティング資料として残し、後に活かしている。観光客による消費活動(観光消費)は、地域において経済効果を大きく左右する要因が示され、観光振興のポイントが明らかになる。経済成長を増加する要因のひとつに観光産業の活発化が挙げられる。それは、人が(お金を持って)余暇活動としてある地域へ移動する。そうすると、お金を持った人はそこで入場料やお土産等で、その地域に対してある程度のお金を払うことになる。それが多ければ多いほど、その地域にお金が入るということになり、地域活性化へとつながる。簡単ではあるがこういうことで、余暇活動による経済成長への影響が見られるわけである。観光関連産業は人を惹きつけるようなイベントやアミューズメントパークを造り、人々に提供する。そしてリピーターを増やして、この一連のサイクルを進めていくのである。一番良い例に、東京ディズニーリゾートがある。私自身も何度か訪れたことはあるが、そこにはまた行きたいと思わせる何かがあると思う。経済という少し硬い分野でも、このような余暇活動における観光分野でつながるところがあるということを忘れてはいけない。

 

参考 平成18年度版 観光白書 「愛・地球博」開催

http://wwwwp.mlit.go.jp/hakusyo/syo_disp.cgi?SYOCD=npcc200601&DTAILFLG=M&CUR_PAGE=2&PAGENO=2&NEWKEYW=&FROM=LIST&SYSTYPE=DOC&DOCCLSCD=all&SYOCLSCD=all&SELCLSNM=&KEYW1=&KEYW2=&KEYW3=&KEYW4=&ADDKEYW=&OPERATOR1=AND&OPERATOR2=AND&OPERATOR3=AND&SYONAME=&GENGO_FROM=Y&NENDO_FROM=&GENGO_TO=Y&NENDO_TO=&DISPCOUNT=10&DISPITEM=1&ASS_FLAG=OFF&SLVL=&PAGEANCHOR= 

 

  「レジャー白書2006」に見るわが国の余暇の現状 社団法人 中央調査社

 http://www.crs.or.jp/58611.htm

 

   PDF 第1章 観光消費が地域経済に及ぼす波及効果推計の意義と流れ

 

第四章       まとめ・感想

 

 今回私たちの余暇の過ごし方や余暇と経済の関係を調べてみて、気づいたことを書きたいと思う。今まで何気なく旅行したり、アミューズメントパークに行ったりしてきたが、それは私や家族が動くことによってお金も同時に動き、地域活性化につながっていたのであって、意識がなかっただけで自分たちもそうやって社会に貢献していたことを改めて認識した。次第に社会の流れや仕組みを知ることにより私の社会での存在価値を見出せたらいいと思う。このレポートを仕上げていくうちにまたは調べたことを振り返ってみたときに、社会は人でできているのだなと思った。人と人がいろんな角度から混ざり合い、様々な視野を広げ、あらゆる可能性を引き出す、最近では最先端技術も進んできて、ロボット化や機械化の世界となってきている中、余暇活動という何気ない観点からこうやって社会を考えられることは大変興味深いと感じた。