070627morimoto
森本直大「ファーストライフと携帯機器 〜携帯ゲーム機器がもたらす余暇〜」
日本の経済成長と共に生活のデジタル化が進み、この潮流は音楽・ゲームの世界に多大なる影響を及ぼしている。携帯機器の大きさは小さく・薄くなりその大きさや薄さとは非対称的に性能・機能は格段に充実したものになっている。携帯機器の発達により、通勤・通学の電車やバスの中、何かの待ち時間、ジョギングなどの軽運動などさまざまなシーンでの利用が可能になった。会社の通勤や帰宅時のサラリーマンが耳にイヤフォンをつけ音楽を聴いている姿、学生が携帯ゲームに熱中している姿を東京などに買い物や遊びに行った際に目にする光景から忙しい日本社会の中で携帯機器が大きく人々の余暇に関連しているのではないだろうかと考えた。携帯機器の中でも近年、爆発的な人気がでている任天堂の「ニンテンドーDS」とソニーの「PSPポータブル」に注目してみる。
1 2006年12月時に携帯ゲーム機器業界は家庭用ゲーム機器業界を上回り、ゲーム機業界を引っ張っている。だが、実際にどのくらいの人々にこれら二つの携帯ゲーム機器は認知されまた、購入・使用されているのだろうか。
ネットリサーチのDIMSDRIVEで全国の10代から60代以上の男女7,508人(男性3,366人、女性4142人)からとった「ポータブルゲーム機」に関するアンケート結果によると、携帯ゲーム機を持っている人は45%もいることが分かった。また、45%の人々が所有している携帯ゲーム機の種類の割合は「ニンテンドーDS」(DSLiteを含む)の32,3%が最も多く、次いでゲームボーイ各種24,1%、「PSP」10,7%となった。この次に最も使っているゲーム機について「使う場所」を聞いてみると94,2%の人が“自宅”と回答した。自宅以外の場所では“電車・バスの車内”15.0%、“駅やバス停など”6.6%と続いている。その他にも会社・学校3,5%やその他屋外で2,8%などの回答もあった。最後に「ニンテンドーDS」「PSP」の所有者にそれぞれのよい点を尋ねたところこのような結果になった。「ニンテンドーDS」では“ソフトが面白い”が最も多く60.7%、次いで“タッチペンで操作できる”56.9%、“ソフトが充実している”38.7%、“操作がしやすい”31.0%、“画面が2つある”28.0%と続いた。「その他」の自由回答では“気軽に遊べる”、“子どもと共通の話題ができる”、“電源を入れてからゲームを始めるまでが早い”などの回答が挙げられた。「PSP」でのアンケート対象者達の声は、“画面の大きさ/美しさが良い”で40.6%であった。次いで“ソフトが面白い”33.7%、“動画が見られる”26.6%、“本体のデザイン/色が良い”と“音楽が聴ける”が24.3%と続いた。“その他”の自由回答では、“エミュレータが使える”、“ポッドキャストが聞ける”、“クオリティの高さ”、“メモリースティックが使える”などが挙げられた。
2 上記で挙げたアンケート結果からさまざまなことが考えられる。
「使う場所」のアンケート結果で圧倒的に自宅でとの回答が多いが、次いで電車・バスの中とあるようにどこかに移動しながら携帯ゲーム機を、バス・電車を待ちながら、会社・学校の昼休みや休憩時にと本来の目的をこなしながら短時間の間にゲームができるというところが人気の理由のひとつではないだろうかと考える。現代の学生の多くは朝早くから部活やクラブで学校に行き、学校が終わっても塾などに通い、家に帰ったら疲れて寝てしまう。少し言い過ぎかもしれないがこの状態に似た学校生活を送っている学生は少なくないだろう。このような学生達には通学の電車・バスの中は大事な時間であり、短時間ではあるがこの時間を余暇と感じる人々は多いと思う。
次にこの携帯ゲーム2機が子供だけでなく、大人にも人気なわけは「ニンテンドーDS」はソフトの充実。「PSP」は機能性にある。従来の携帯ゲーム機のソフトの多くは子供を対象としたものが多く、あまり大人には魅力を感じるものがなかったが、「ニンテンドーDS」は能力トレーニング、英語漬けなど大人も楽しみながら学べるソフトを多く取り揃えていることからどの年代からも支持を得ている。「PSP」に至っては「ニンテンドーDS」と違いソフトの充実の面では劣るものの、画質、音楽や動画を視聴できたりとその機能性が大人に受けているひとつの理由だろう。2機器とも従来ではなかった魅力が備わっていて、ただゲームをして遊ぶだけではないところに人気があり格世代から形は違っても余暇として楽しんでもらっているように感じる。
3 携帯ゲーム機の最先端を行く「ニンテンドーDS」と「PSP」であるが今後更に発達するであろう。携帯型デジタル音楽プレーヤーの映像対応が進む一方で,携帯ゲーム機向けの映像配信サービスを手がける事業者が相次いで映像番組のラインアップ拡充 に乗り出すなど,携帯ゲーム機にも変化が起きつつある。例えばソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)は,携帯型ゲーム機「プレイステーション・ ポータブル(PSP)」を対象にした映像配信サービス「Portable TV」で,2006年中にもニュースやスポーツ中継の配信を開始する。現在,同社はPortable TVで音楽ビデオやアニメなどの映像をインターネット経由で配信している。また,任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」などのユーザーを対象にした店頭端末による映像サービス「アドバンスDSムービー」を手がける ベンチャー企業の「am3」は,料理関連の映像コンテンツなどを同サービスのラインアップに加える方針だ。現在は同サービスで「クレヨンしんちゃん」など のアニメを提供している。このように今後、携帯ゲーム機で映像番組を楽しめる環境が整うであろう。脳の活性化を目的とした大人向けゲームの登場により,携帯ゲーム機の ユーザー層が広がっているという追い風もある。これからは携帯ゲーム機を映像端末として使う人が急激に増える年になるかも知れない。
4 携帯ゲームという本来なら子供が対象となるべきものであるが、各世代の人たちのニーズに少しでも答えられるよう作られた「ニンテンドーDS」と「PSP」は今までは電車の中などの移動時間、会社・学校での休み時間などの今まではなにもせず、無駄にしていた短時間を余暇として変えてくれるものであると今回調べている中で感じた。一つのハードウェアでいくつものサービスを利用でき、それも場所を選ばない携帯ゲーム機を初め携帯機器は年を追うごとに人々に求められていくであろう。書類やスケジュールの管理、宿題や教科書の管理ができるくらいまで携帯機器が発達すれば人々の余暇にだけでなく生活レベルの向上にもつながると思う。
引用サイト
http://www.dims.ne.jp/timelyresearch/2006/061218/