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川守田 育美「余暇のスポーツ」

 

普段、学校や仕事、アルバイトや部活動などの後に「疲れた」と感じることはよくあることだが、しかし、折角の休日に「体を動かしたい」と口にする人も少なくない。個人的には、休日はゆっくり寝て、体を休めるために過ごすことが多いため、スポーツで得られるリフレッシュ効果に焦点を当てようと思う。

 

発汗効果

最初に「汗」ということに注目してみる。体を動かさずともサウナや岩盤浴などで汗をかこうとする人は多い。そもそも「汗」とは人間の体温調節の手段の一つである。しかし、「汗」という語を使った用語にも色々あり、『冷や汗』『脂汗』『寝汗』『手に汗握る』『血と汗』…ということは、「汗」にも種類があるということだ。@まずは、暑いときや運動後に体温を下げるためにかく<温熱性発汗>。A緊張時や驚いたときにかく、いわゆる冷や汗の<精神性発汗>。B強い酸味や辛味などの味覚からくる<味覚性発汗>。多くの人が必要としているのは@の<温熱性発汗>である。日ごろ、運動不足やエアコンの下で生活している人は汗腺が年々閉じていき、汗をかき難い体質となり血行も悪化してしまいう。対して、ストレスの少ない赤ちゃんは、新陳代謝が活発で、よく眠り、肌もすべすべである。もしも、体質改善の為に急激な運動によって発汗を促そうとするのは大きな間違いだ。汗にも「良い汗」と「悪い汗」があるのだ。「良い汗」というのは、99%が水分で、後は微量の塩化ナトリウムや尿素、乳酸等が含まれた、臭いの少ないさらさらした汗のことである。「良い汗」をかくことで筋肉の疲労成分の乳酸を排出するので疲労回復効果もある。逆に「悪い汗」というのは、血中のミネラルを余分に体外へと流してしまい、べたべたして乾きにくく、臭いも伴います。ミネラルが不足することで体調不良や疲労感を溜める要因となるのだ。

 

疲労

 日々生活を送る中で、「疲れ」を感じない人はいない。しかし、過労死してしまうほどに疲れを溜め込んでしまう人もいれば、一晩で回復してしまう人もいる。疲労とは、風邪をひいたときの発熱や怪我をしたときの痛みと同じ、体からの警告である。もしも疲れを感じなかった場合、休むことをせず働き続け死を招いてしまう。しかし、同じ時間に同じ様な運動をしても、疲労の感じ方は異なる。例えば、試合で負けている側と勝っている側、好きな仕事と嫌いな仕事、あるいは一緒に活動する相手にも左右されてくる。これは「疲労感」の違いから生じる。「疲労」は実際に体が疲れている度合いで、「疲労感」はその疲労をどれだけ感じているかで、達成感や満足度に影響される。つまり、同じくらい疲れていても、疲労感が少ないと本来の疲労をカバーしてしまうのだ。だが、疲労感を感じないことから休息を疎かにし、体を壊してしまっては意味がない。

 普段、定期的に運動を行っていない人には心と体の疲労の度合いのアンバランスを起こし、上手く休めなくなってしまう場合もある。「病は気から」という言葉もあるように心と体のバランスは疲れることからも保っていかなければならないのだ。

 

スポーツ

 主題となる「余暇のスポーツ」を考えるに当たって、最近話題となっている<ビリーズ・ブート・キャンプ>を例に考えてみる。

 

深夜の通信販売番組から発信されたこの商品は、軍隊のキャンプをイメージした7日間の集中トレーニングで、1日に50分〜1時間程度のエクササイズを行うものである。今までのダイエットを目的とした商品では「1日にたった10分」「家事をしながら」等の楽に効果を得られるものを売りにしていたが、このプログラムでは激しい運動を集中的に行うというこれまでの商品とは異なる点が注目されているようだ。頑張った分結果が得られるというのは当然のことだが、過程よりも結果を重視してしまい、実際に体を動かすことを怠っていた人が何故、このプログラムに興味を持つようになったのだろうか。

 

<ビリーズ・ブート・キャンプ>の宣伝文句のなかに見られる「集中」「楽しく」「爽快感」「達成感」等の言葉は余暇のスポーツにおける重要なポイントだと考える。やった分だけ効果を得たいというのは当然の欲求であり、目標が自分にとって必要な分、辛いことにも耐えられるというものだ。このプログラムを正確に進行していくと、毎日異なるエクササイズで、7日後にゴールが用意されていて、やり切ったという達成感が得られる。以前の商品では、目標は自分で設定し、しかも同じことの繰り返しだったため、「達成感」を感じ難い面がある。次に、この商品の体験談に多く見られたのが「ビリーの励ましのおかげ」という言葉である。大人になると、子供よりも褒められたり励まされたり、という場面が減り、むしろ責任が重くなるために、注意され、怒られることの方が増えていく。そこで、大人の「褒められたい」という欲求に答え、楽しくプログラムを進行することを実現できたのではないだろうか。

 

 余暇のスポーツに置き換えてみても、集中した運動で得られるものは「疲労」や「達成感」だけでなく、体を動かすことや、ルール内での動きを考えることに集中するため、日常の悩みやストレスから離れることが可能である。更に、体が温まると気分が向上し、全身の血液の循環が改善されれば、脳内の老廃物を排出し、あたまをすっきりさせることから、精神的な疲労からの回復も望めるのだ。むしろ、スポーツをすることで得られるものは肉体的な効果よりも精神面に及ぼすものの方が大きいように思う。読書や映画やスポーツ観戦をして、自身の現実とは異なる世界を覗くのと同様に、スポーツをすることで、別人になったような感覚を味わう。剣道を例に見ても、竹刀で人を打つというのは通常許されないことであるが、身を守るための防具を身に着け、決められた箇所を打つというのは、ある制限区域内では通用するルールである。スポーツをすることで、日常から逸脱し、別人になることで、日頃のストレスを解消するというのは精神面でも身体面でも理想的な形だと考える。

 

まとめ

 運動や健康を題材にしたテレビ番組や本が多いことからも、それらに興味をもつ人が多いのはわかるが、実際は過程よりも結果重視で効率的な方法を探して、実践しきれていない人の方が多いのではないかと感じた。自分もそうであるが、空いた時間に普段使わない筋肉を動かしたりなどして、体や心を大事にする時間を作る必要があると思う。

 

 

 

参照

http://www.hirou.jp/

疲労の科学

http://salon.ispot.jp/doctor/sweat-effect/

ispotサロン

http://xn--ncktc6amh5e1b8d5cjc.gochak.com/

ビリーズブートキャンプの効果