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郡司 寿次「ファッションへの余暇−ショップにおける客とスタッフに注目して−」

 

1.はじめに

 服(ファッション)は人が生活をしていく上で気を払う必要があることの一部であると考える。ある程度のセンスを持ち合わせていなければ、他の人からの印象も悪くなってしまう。そのため、服をよくじっくりみて選んで買う人が多くいる。服屋を見て回るだけでも好きな人が少なからずいる。

そこでこのレポートでは、服屋においての一般客と販売スタッフに分けて二つの視点からそれぞれの余暇について考えていきたい。尚、このレポートではインターネット等の参考を用いず、一年以上アパレル(服屋)業でバイトをしいる中で得た自分の経験から文章を展開していきたい。

 

2.客から見た余暇追求

 ファッション(服屋)の店に行って、客はそこでどんな余暇を求めるのか、また期待をするのか。第一に挙げられるのは、安い服が豊富に揃っていることであると考える。ここで重要なのは、もとから安い商品ばかりがあることだけではない。普段は高めの服があるお店で、セール商品となり値段が下がった商品が豊富に揃っていることが重要である。客にとっては、比較し得るその安さと種類の豊富さがあることはお得感をよく感じる。客には高い(高く見える)商品を安く買おうという奥底の心理があるようだ。

 第二に、服そのものの品質が高いものが店にあるということである。ファッションにこだわりがある(オシャレな)人は、全国チェーンで出店している安いお店であまり買おうとしない。なぜならばそういった店の商品は薄利多売的に作られており、服自体の形(細身か、丈は長めか等)はそこまでこだわったものではなく、他の人とかぶってしまう可能性が高い。一方全国的にも比較的店舗数が少ない、いわゆるセレクトショップでは服自体の形にも細かく創りが施されており生産数もそれほど多くないため、他の人とかぶることがあまりない。彼らは服自体を値段ではなく、そのものの形やデザインで勝負してくる。そのため、こういった店は服の値段が高いのが現状である。しかし、こういった店の商品は前者の店のモノにはない独特のデザインや生地を使っている。

 

3.スタッフから見た余暇戦略

 アパレル(服屋)業で働くスタッフは、いかに客にそのお店に長くいて服を選んでもらうか、買ってもらえるか…じっくりそこで楽しんで余暇をすごしてもらうかを考える。次から、その店作りのために具体的にどんな戦略がとられているのかを箇条書きで具体例を示したい。以下はどのアパレルの店にも通用する基本的なことである。

 @目立つディスプレイ作り

  まず、客に服屋において余暇を楽しんでもらうには彼らを店内に入れる必要がある。そのためには、客に目を留めてもらえるモノがなくてはならない。それがディスプレイである。ディスプレイなしでただ商品が陳列されているだけでは店の印象が弱くなり、客数も減る。

  ディスプレイを作るうえでの注意点は基本的に次の3つである。a.目立たせるためにできるだけ明るい色の服を使う b.ディスプレイ派客が入ってくる方向を向いている c.ディスプレイは実際に人が着ている・帰宅なるようなコーディネートにする。てきとうに作らない。・・・である。

 

 A同類商品の集約陳列

  次に、客に長くいて服を見るという余暇を楽しんでもらうには、同類商品が別の場所にあってはならない。バラバラに陳列すると、客にとっては同類商品を見比べてどのモノがよいか選びづらくなる。そうすると、客は長く店にいなくなってしまい、それと同時に売り上げも下がってしまうことがある。

そのため、同類商品は同じ棚などに集約陳列する。例えば、ジーンズ,Tシャツ,ジャケットなどによって分ける。またその中でもTシャツであったら、サーフ系のTシャツ,スポーツ(ナイキ、アディダス)系のTシャツ,自社ブランドのTシャツというように系統によっても細かく分けて陳列する。こうすることによって客は同類商品を比較見定めすることができ、売り上げも上がりやすくなる。

 

 Bフル・コーディネートハンガーがけ

  客の中には、もし気に入ったジーンズが見つかったとしても上着は何をあわせればいいのかよくわからないという人が多くいる。そんな客のために店作りの一環として、その店が提案する一つの上から下までのフルコーディネートした服をハンガーがけする店がよくある。このハンガーがけは客の購買力を高める一つにもなっている。

  このハンガーがけをする上での注意点は、客が入ってくる側から上に着る服を先にして下に着るものを後にすることである。靴など履物はその真下に置く。というのも、人は他人の服装を見るときは上から下に目線がいくからである。客はこれを参考にし、自分の好きな色の服に替えたりして服を選ぶ、それを楽しむ、そしてよければ買う。

 

4.最後に

 以上のことから考察できることは、ファッションへの余暇戦略は店のスタッフ側から注目すれば基本的にどの店であっても大きな差は見られない。しかし、それがファッションへの余暇追求を客側から注目して捉えると、大きく二つに分けることができると思われる。一つは服自体の細かな質にこだわらない安さ重視の人、もう一つが値段はそれほど気にしない服そのものの形や質にこだわる人である。