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青木恵理香「学生の余暇―アルバイトは余暇に含まれるのか」

 

 大学生はどんな余暇を送っているのだろう。みんなにとって余暇とは一体何なのだろう。こんなことを「余暇政策論」の講義を受講するうちに考えるようになった。そこで私は様々な人たちからアンケートを取って、「余暇」について自分なりの見解をまとめてみた。

 

1.              余暇とは何か

 

 そもそも「余暇」という言葉の定義とは何か。「休暇」とはどう違うのか。「余暇」とは、その人の生活時間のうち、生活維持に不可欠な事柄以外に充当される自由時間。レジャー。(新明解国語辞典第五版)または、自分の自由に使える、あまった時間。ひま。いとま。(広辞苑第五版)となっている。一方、「休暇」とは、〔勤め人・学生の〕休日以外の休みで、制度として公認されたもの。(新明解国語辞典第五版)学校・官庁・会社などのやすみ。多く、日曜・祝日などの休日以外のやすみをいう。(広辞苑第五版)とある。つまり、余暇とは形式的にとる休みではなく、空き時間を指すということだ。大学生であれば、空きコマと呼んでいる時間も余暇になるのである。

 

2.              私にとっての余暇

 

 私にとっての余暇とは、自分のやりたいことができる時間であり、課題などをまとめる時間でもあり、何もせずにボーっとしたりTVをみたりする時間でもある。特に読書・映画鑑賞のように時間がかかってしまうことをするには、余暇という時間は欠かせないと思っている。また日々の生活の中で溜まったストレスを発散させるためにも必要不可欠である。そういう時間が私にとっての余暇なので、講義中に「アルバイトは余暇に含まれるか否か」という話が出たときに、私は「余暇=アルバイト」という考え方もあるのだなと驚いた。なぜならば、私にとってアルバイトというものは「社会的な責任も大きく、ストレスも溜まる」ので、ストレス発散や気分転換が目的の余暇にアルバイトを含めて考えるというようなことは考えてもいなかったからである。今回そのように感じている学生が他にもいるのか気になり、アンケートをとり以下のように簡単にまとめてみた。

 

3.              学生にとっての余暇

 

 アンケートでは約100名の学生に、主に以下の内容について質問した。余暇とは何か(余暇に何を求めているのか)。どのように余暇を過ごしているのか。誰と余暇を過ごしているのか。この3つである。まず、初めに余暇とは何かという質問に対しては、やはり「気分転換」と答えた人が圧倒的に多かった。「熱中・没頭したい」、「家族または友人とのコミュニケーション」、「自己実現・達成感」と答えた人も数多くいた。やはり、余暇の時間には自分の好きなことをやりたい・好きなことをして充足を得たいという学生が多いということが分かった。しかし意外だったのは、「余暇=アルバイト」と答える学生が予想よりも多くいたことだ。私には、なぜ責任もかかるし、時には精神的にも肉体的にも辛いアルバイトが余暇だといえるのか不思議だった。だがよくよく考えて見れば、余暇にはやりたいことをするという学生が多いので、余暇はアルバイトだといった彼らにとってみれば、アルバイトはやりたいことでありそれによってお金を得るという、ある意味で一石二鳥のことだから余暇はアルバイトをする時間と言えるのかもしれない。

 

次に、どんなふうに余暇を過ごしているか聞いてみたところ、「テレビ・雑誌などを見る」、「掃除・洗濯をする」、「趣味を楽しむ」、「買い物をする」という人たちが多く、「部活動・サークル活動」や「アルバイト」をするという人たちもいた。一人暮らしの学生も多かったので生活する上で「掃除・洗濯・買い物」は必要なので、こう答えた人が多かったのではないかと思う。やはり、趣味を満喫したり買い物やスポーツ・クラブ活動をしたりして、余暇を楽しもうという人は多いということも分かった。ただ、一つ目の質問で「余暇=アルバイト」と答えた人でなくとも、余暇の時間の過ごし方としては「アルバイトをする」と答えた人がいたので、余暇にもアルバイトをすることが学生には求められているのだろう。

 

 三つ目の質問は余暇を誰と過ごしているのかを聞いた。その結果、「一人もしくは友達」、「一人もしくは家族」という人がほとんどであり、一人で過ごすだけではなく誰かしらとコミュニケーションをとっていることが分かる。また、友達と一緒に買い物に出かけたり遊んだりすることも多い。そうやって、コミュニケーションをとることで各々が気分転換を図れ、さらに余暇を楽しめるようである。つまり学生にとっての余暇とは、自分の好きなこと・やりたいことを通して、または誰かと一緒に過ごすことで、日常生活で疲れた体や心を回復する時間であろう。

 

4.              社会人にとっての余暇

 

そして、社会人は学生と違い12名と少ないが、ほぼ同じ内容のアンケートをとった。社会人が余暇に求めているものは、やはり「気分転換」だった。12名全員がこれを選んでいた。次に、「家族または友人とのコミュニケーション」が余暇と答えた人が多かった。この質問に関して、社会人と学生に大きな違いはなかった。次に何をして余暇を過ごしているかという問いには、「自分の趣味を楽しんでいる」と答える人が一番多く、「掃除・洗濯をする」、「テレビ・雑誌などを見る」、「買い物をする」、このような順で回答が並んだ。この質問も大して学生との差はなかった。三つ目の質問に関しても、同様な結果だった。つまり、社会人も学生も余暇に対する考え方や過ごし方は大して変わらないということである。

 

しかし、アルバイトに対する考え方も同じような結果になるのか。社会人が学生のアルバイトについてどのような見解を持っているのか、学生にとっての余暇にアルバイトは含まれると思いますかという質問をした。この質問に対して、社会人の三分の一は「はい」を選んだ。やはり講義の時に教授が述べていたように、学生にとってみればアルバイトが余暇に含まれなくても、社会人からしてみればアルバイトは余暇に含まれるということである。

 

5.              アルバイトに余暇は含まれるのか

 

私は余暇にアルバイトは含まれないと思っていた。しかし、アンケートをとって学生や社会人の余暇に対する考えを知り、余暇にアルバイトも含まれるのではないかというように考えが変わった。確かにアルバイトは社会的な責任もあり気軽に出来るものではない。だが逆にそういうものだからこそ、自分を磨く方法になり社会人になるためのステップアップにもなるのではないか。料理や接客のように、出来なかったことがアルバイトの経験によって出来るようになるということもあるだろう。そう考えると、アルバイトは自己実現や達成感を満たすものであるともいえる。広い目で見れば、余暇にアルバイトは含まれるのである。

 

そして、アルバイトを余暇に含むと答えた社会人がいるということは、「学生のうちからアルバイトをして、社会経験をしておけ。」というメッセージなのではないか。学生は社会人よりも自由な時間が多く何をするのにも向いている。「やりたいことをやれるだけ、もしくはやりたいだけやる」というのは、学生にしかできないことである。では、余暇を有意義に使えている学生はどのくらいいるのだろうか。有意義な余暇を過ごしている学生は少ないのではないか。たった一時間でも予定がなければその一時間が余暇になる。その一時間ずつの積み重ねが大切であり、少しでも有意義な余暇を過ごすことが、より張りのある生活を送ることにつながるだろう。

 

参考サイト (※アンケート作りに参照した)

 

http://homepage3.nifty.com/syakyo-chigasaki/yokanet180628.pdf#search='%E4%BD%99%E6%9A%87%20%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88 (茅ヶ崎市社会福祉協議会・余暇支援ネットワークより「余暇活動調査アンケート集計結果」)

 

http://www.jade.dti.ne.jp/~leep/ (武庫川女子大学文学部人間科学科 茅野宏明研究室「余暇アンケートとワークシート希望」)

 

https://www.nri.co.jp/opinion/r_report/survey/05.html (野村総合研究所 調査レポート「生活者1万人アンケート調査」)

 

http://www.opi-net.com/opienq/vacation.html (オピネット「衣食住+αに関するアンケートC余暇」)