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「83年に通産官僚初の大使としてクウェートに赴任。海外勤務は計5回、13年になる。その間、英語、フランス語、中国語など9カ国語の日常会話に通じるようになった。だが、海外の要人と話す時には、語学力より日本文化や仏教の話を出せば身を乗り出すことを知る。『外で暮らすと日本の伝統や豊かな言語文化を再認識する。日本語の奥深い歴史を知ることこそ大切です』という」(元駐クウェート大使 愛甲次郎氏。サイト「文語の苑」を4年前に開設。2007年4月30日付朝日新聞「ひと 文語文の復活に取り組む元駐クウェート大使」)
「どんな仕事でもそうだと思うが、その世界に飛び込むことより、その世界で続けることの方がはるかに難しい気がする。キャリアを積むほどに要求されるハードルは高くなるし、失敗も許されなくなる。ステージが上がるほど、逃げ出したくなる場面は増える。踏みとどまるには才能がいる。『才能』は、努力の別名だ」(ライター・磯村完氏。2007年4月30日付朝日新聞「TV このセリフ」)
「汚職の一斉摘発に揺れた90年代以降、イタリアでは財界や学界から政治家への転向組が幅をきかせている。『でも、政治で最終的に必要なのは実務知識の蓄積だと言いたいね』」(フランチェスコ・ルテッリ氏。2007年3月20日付朝日新聞「ひと ダ・ヴィンチ展で奔走したイタリア副首相兼文化相」)
「18日正午、快晴のパリを出発した。前途には東京までの1万9300`が横たわる。マラソンを毎日2回近く走ってもゴールは9カ月後だ。『私はエゴイストで、自分の喜び以外に走る理由はありません。ワンクリックで何でも届く時代に、肉体的な努力の味は格別。道が長く険しいほど、到達地は美しい』・・・・・40歳で『より長く』に転じ、北米、豪州、南米、アフリカの4大陸を世界記録で駆け抜けた。今回は5大陸制覇と、休息日なしの最長走破記録(276日で1万9030`)が目標だ」(セルジュ・ジラール氏。2005年12月21日付朝日新聞「ひと ユーラシア大陸走破に出発したフランスの鉄人」)
「90年、学術専門の出版社として創業。1冊1万円以上はざら、3万円近い本もある。本を出したい研究者は多いが、『いくらで出せますか』という相談が後を絶たないのが悩みだ。『印刷会社ではなく出版社。お金を出して買ってもらえる本を作るのが仕事です。そうして初めて、研究の社会的な価値が出る』。95年、自力でウェブサイトを立ち上げたインターネット界の先駆け。掲載する『房主の日誌』は、小さな出版社に冷たい流通制度に苦言を述べ、時評の切れもいい。・・・・・・ネットや携帯メールに没頭する人たちは本を読むのか。『本という知と電子社会は別物と考えても進歩がない。すみ分けではなく、すみ合わせを考えていきたい』」(松本功氏。2005年12月24日付朝日新聞「ひと 広辞苑の編者の名を冠した新村出賞の受賞本を3年連続で出した『ひつじ書房』社長」)
「インターネット調査会社『マクロミル』が三月に行った団塊世代アンケートはそんな見方を否定する。『定年後も働く予定』が85%に達し、その理由の第一位は『経済的理由』(70%)だった。自分の退職金・預貯金の額には『どちらかといえば』を含め65%が不安を感じている。▼団塊世代のリッチな旅行には『将来の安泰は期待できない。ならば多少なりとも余裕のある今のうちに』という“決断”がほの見える。列島が浮かれるGWも一歩裏側に回ってみれば、先行き不安と隣り合わせの日常がある」(2007年4月25日付下野新聞「雷鳴抄」)