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河野恵利「大きく変わる空港の役割」

 

2006年6月2日、成田国際空港・第1旅客ターミナルがリニューアルオープンし、話題となった。最新のテクノロジーが採用され、国内航空最大規模となる免税ブランドモール「narita nakamise」も加わるなど、利用者へのサービスが大幅にアップした。成田国際空港の国内線・国際線利用客数は2005年度には3,155万3068人と発表された。(成田国際空港発表)景気の回復とともに空港の利用客数は年々増加傾向にあり、もはや空港は旅行者の玄関口としてだけの存在ではないようだ。飲食店やショッピング施設も充実し、空港を訪れる人が増加している今、空港はとても魅力的な“観光スポット”と転換した。[]

 

大型ショッピングセンターやアウトレットモールが各地に建設され人々の注目を集めているが、成田空港もそのなかのひとつである。利用者にとって快適でスムーズに搭乗手続きが行われるようになっただけではなく、近年の多様化するニーズに対応した楽しさとくつろぎを提供する場所となった。私たちにとって、今まで空港とは飛行機を利用する人ためだけの施設というイメージがあり、単なる通過点でしかなかった。しかし、これも時代の流れからなのだろうか、現在ではそのようには考えられないほど多くの人がそれぞれの目的で空港に足を運ぶようになり、従来のようなイメージは覆されている。さらに空港側もターゲットを変え、今まで空港を利用したことがなかった人に来てもらえるような空間づくりを目指している。これまで空港と縁がなかった人々にとって、新たにパワーアップした空港で過ごす「余暇」は新鮮で刺激的な時間になるのではないだろうか。

 

近年では、非日常型・屋外型のレジャーが需要を取り戻しつつあるようだ。[] 多くの人は余暇を家の外、つまりは日常生活とは離れた、新鮮さを余暇の時間に求めているように思われる。余暇を過ごすにあたって、「新鮮さ」は重要なポイントになってくるのではないだろうか。だからこそ、この成田国際空港のリニューアルオープンは注目を集め、多くの人を惹きつけているのであろう。新しい観光スポットとしての空港の存在は、今後様々な分野に影響を与え、今までになかった役割を担っていくことになる。

 

実際、私たちの「余暇」の過ごし方は人それぞれである。読書をしたり、映画を観たり、ショッピングをしたり、食事をしたり・・・。余暇の過ごし方が多種多様化する今、誰の目的にでも合うような何でもできる場所というのはとても魅力的である。そしてその場は近年どんどん増えてきている。その中でいかに多くの人を惹きつけるか、リピーターを増やすかということが課題となってくるであろう。「余暇」を過ごす場所として、今後空港が求められる役割とは何であろうか。楽しさ、くつろぎ、癒しなど、私たちは多くのことを求め、期待している。その期待に応えるために、空港だけでなく旅行業界、ホテル業界、レジャー産業などの人々の余暇を過ごす場所を提供している業界は進歩し続ける必要がある。「余暇」に対する考え方は様々であり、それは長年変わらないものもあるだろうが、時代の流れに大きく左右される場合もあるのではないかと思う。景気、社会情勢、気候などその要因は数多くある。その「時」に適した余暇の場を提供し、人々を満足させることが重要なのではないだろうか。利用者だけでなく、幅広い層の人々の多様化するニーズに対応し、より便利でより快適な空間の創造を目指して、空港は今後もどんどん新しく魅力的なものに変化し続けていくだろう。

 



[] http://www.asahitravel.jp/special/ana/index4.html(朝日新聞「特集 生まれ変わった 成田空港第1ターミナル・南ウイング」)

[] http://www.crs.or.jp/5291.htm(中央調査報NO.529 柳田尚也「余暇活動、余暇産業の動向と、今後の展望〜レジャー白書2001より〜」)