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片桐 梓「新潟県の復興活動にみる余暇活動」

 

1、はじめに

 

新潟県といえば、20041023日に起こった中越地震を思い浮かべる人も多いだろう。中越地震は、阪神淡路大震災と並ぶ震度7を記録し、また度重なる大規模な余震が起こり大きな被害となった。2004年は中越地震以外にも713日の三条市、見附市を襲った集中豪雨、そして翌年2005年の冬の豪雪も併せて起こり、新潟県はわずか半年の間に立て続けに自然災害にあったことになる。そのような不幸に見舞われたが、新潟県は県全体で「頑張ろう新潟!」「元気出していこー!新潟」を合言葉に様々なイベントやキャンペーンが行われ、復興に励んできた。このレポートでは、新潟県においての余暇に関わる復興に向けた活動について、代表例として長岡まつりを紹介し、その活動の成果から余暇と復興の関係を考察していきたい。

 

2、長岡まつり大花火大会について

 

新潟県は花火が盛んな県であり、町内会単位で花火大会を行うところもある。そのなかでも最も盛大で有名なものが、長岡まつりで行われる大花火大会である。長岡まつり大花火大会は、長岡まつりの夜の部として毎年823日の二日間にわたり、信濃川河川敷で開催されるもので、秋田の大曲、茨城の土浦と並ぶ日本三大花火大会として、毎年県内外から多数の来場者を集める大イベントである。この花火大会の目玉は、二日間計4発打ち上げられる三尺玉と信濃川に架かる長生橋からのナイアガラ、ワイドスターマインである。また長岡まつりは、第二次世界大戦時の大空襲の追悼、復興という目的で長岡市戦時復興祭として始まったということもあり、元々復興とのつながりがあるものである。

 

3、2005年長岡まつり大花火大会での取り組みとその成果

 

この花火大会で昨年から行われるようになったのが、総額3000万円をかけた復興花火フェニックスの打ち上げである。フェニックスつまり不死鳥は長岡の市章のモチーフとなっており、復興花火フェニックスはそれに由来する。花火の規模は、全長1.5キロメートルの6箇所から同時に打ち上げるワイドスターマインで、ギネスに申請するほどスケールの大きい花火である。

また、花火大会2日目のオープニングとして、歌手の平原綾香さんによるフェニックスのイメージソング「Jupiter」の熱唱が行われたり、長岡まつり昼の部においても、長岡駅前大通りでミッキーマウスなどのディズニーキャラクターのパレードが行われたりした。このような出張パレードはとても異例で、前例のないことであったようだ。なお、花火大会の模様はNHKハイビジョンでライブ中継された。

このように昨年の長岡まつりは例年以上に魅力的なイベントが行われ、全国放送で中継されるなど、例年に勝る注目であった。人出は予想していた80万人に及ばなかったが、2日間で75万人が訪れた。また昨年の長岡まつり大花火大会からはじまったフェニックスは、長岡まつりだけに留まらず、長岡市の国営越後丘陵公園、中ノ島、寺泊、南魚沼市など長岡近辺の地域の花火大会やイベントにも広がり、NPO 復興支援ネットワーク・フェニックスも設立された。そして、今年も引き続き長岡まつり大花火大会で復興花火フェニックスが打ち上げられることが決まり、市制100周年を記念してさらに大規模な花火になるといわれている。

 

4、考察

 

長岡まつり、またその中で行われた大花火大会においての復興活動は、今年も継続的に行われていること、ほかの地域や運営規模がさらに拡大していること、テレビ中継などメディアによって全国的な注目を集めたことを考えると成功していると感じる。また他の新潟県で行われた余暇に関係する復興活動をみると、チャリティーオークション、チャリティーライブやコンサートが多数催され、野球、サッカー、ラグビーなどスポーツのチャリティーマッチが開催されるなど、活動は多方面にわたっている。特に、新潟中越地震復興支援チャリティーマッチ・ジーコジャパンドリームチームメンバーvsアルビレックス新潟はメディアでの扱われ方も大きく、注目度は高かったといえるだろう。また活動の目的も、義援金を募ることであったり、被災者の精神的側面からのケアであったり、被災者を様々な角度から支援している。さらに、これらの活動は被災者が積極的に関わっており、自分たちで復興していこうという気持ちが現れている。

それは、長岡まつりやジーコジャパンチームと地元のサッカーチームといった、元々全国的に知名度が高く、人気のあるものを活用したからであるだろう。知名度や人気が高ければメディアで取り上げられやすいため、被災者だけでなくその他の人々の関心を惹く。さらにもう一つ理由をあげると、余暇に関連したイベントであったという点が関係していると思う。余暇に関連したイベントは誰もが参加しやすく、被災者自身がイベントに参加することで積極的に復興していこうという気持ちが高められるのではないか。復興に関して大事であるのは、被災者である住民自らが災害に負けず頑張ろうという気持ちであると思う。

以上により余暇による復興は、金銭面でのケアというより、精神的側面からのケアで被災者自らの復興意識を高める、有効な取り組みであると感じた。

 

 

参考

長岡市 http://www.city.nagaoka.niigata.jp/ 

長岡フェニックス花火 http://www.soiga.com/maturi/ 

長岡花火ブログ・新潟中越地域活性化プロジェクト http://hanabi-chuetsu.blogzine.jp/nagaoka/ 

復興祈願花火フェニックス http://phoenix-hanabi.jp/web/index.php 

チャリティードリームゲーム http://www.npb.or.jp/charity/ 

新潟中越地震復興支援チャリティーマッチ http://kick.or.tv/nippon/member.php?cate=a&id=041124 

関東ラグビーフットボール協会 http://www.rugby.or.jp/topics/2005/20050612niigata.shtml