060426yoka

 

―休暇の在り方―

(ゴールデンウイークは)「日本の名所やレジャー施設は人でごった返し、新幹線は120%の乗車率、高速道路も大渋滞。お父さん、お母さんにとっては、黄金どころか地獄の週間だろう。・・・・・・ドイツでは、・・・長い夏休み期間中に一つの場所(観光地)に人間が集中しない配慮がなされている・・・・・州と州との間に休暇期間のずれを設けることで、一カ所に人間が群がらないような政策が取られている。・・・・ドイツでは職種、年齢によって長さに違いはあるが、平均すると年間約3週間の有給休暇が取れる。・・・・」

「戦後、日本は先進国に追いつけ追い越せと、必死になって働いた結果、素晴らしい繁栄を手に入れた。だが、その幸せには、どこか忘れ物というか欠けた部分があるように思えてならない」

060411日経。祖母井秀隆「ドイツ人 休暇の知恵」)

 

―携帯電話の利用の在り方―

40代ぐらいの女性の携帯電話が鳴った。電話で熱を込めて話し始めた彼女は空いた右手で入り口のドアを押し、後ろを振り向かないままドアを強く投げ出すようにした。▽そのドアがバンとこちらの顔と眼鏡を直撃した」

「電車内でケータイに夢中になっていて殴られたとか、車を運転中にひどい交通事故を起こしたとか、ケータイが引き起こす事件・事故は引きも切らない。▽自動車据え付けや、いまの基準でいえば特大の移動式電話がケータイとなってブレークしたのは90年代半ば。普及率(人口に占める契約数の割合)はいまや742PHSを含む。200512月現在、総務省調べ)。もはやケータイは「国民の必需品」といえるだろう。▽99年にはインターネット接続機能、翌00年にはカメラ機能の付いたケータイが相次いで市場に登場する。両方とも、わずか5,6年の間に契約数の約85%を占めるという急成長を遂げた。」

「電車の中で電話はもちろんピコピコとメールの文字を打ち込む乗客の姿や、空港に現れた著名人の出迎えに集まった大勢のファンがケータイを一斉に高く掲げ、撮影に狂奔するする様子は、いまやありふれた日常風景になっている」

「日本人の生活のありようは『ケータイ以前、ケータイ以降』で大きく変わった。▽皮肉をいえば、ケータイがなければ夜も日も明けない『ケータイ奴隷』『1億総デバカメ時代』が到来した」ともいえる」

あまりに便利すぎるのだ。ケータイは我々の個人・社会生活に深く浸透し、もはや後戻り不可能な『空気』の域に達した

「ケータイが怖いのは、被害者だと思っていた自分がいざケータイを手に取って話し始めると、無意識のうちに大声でくっちゃべりまくる『加害者』に転じていることだ」

Ashahi Shimbun Weekly AERA 2006.4.17.「『ケータイ殺人』」起きる日)

 

―ネット社会の根底―

「ネット社会の根底にある共通項とは、このようにすべてを「リアリティー喪失の情報化」してしまうところにある。この数年、爆発的に進展したIT革命は、仕事と生活を激変させ、パソコンなしでは夜も日も明けないようになってしまったが、『リアリティー喪失の情報化』は人としての倫理意識を喪失させた。子どもの人格形成にも影響を及ぼしている」

060321下野。柳田邦男「ネット社会の現実感喪失―情報倫理 確立が急務―」)

 

―お金と幸福―

「・・・個人に関する単純な前提(合理性、利己性、物質的利益の追求、その満足度最大化の追及)・・・人々の幸福感は所得が増えるにつれ高くなる。しかし、世帯所得が1500万円(米国では2200万円)以上になると、幸福感はほとんど上昇しない。人間が幸福になるのにはお金は必要かもしれないが、人間はお金だけで幸福になれるわけではない」

060412日経。筒井義郎「人間の心と行動―合理性と利己性を問う―」)