050622 uwano
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「小さな余暇と携帯電話」
上野 理(宇都宮大学国際学部2年)
1、はじめに
よ−か【余暇】自分の自由に使える、余った時間。ひま。いとま。(広辞苑第五版より)
余暇には大きく分けて三種類あると思う。一つは、老後など長い人生の中で大きく時間を裂ける大きな余暇。二つ目は日曜日などの日常生活の中でできる中くらいの余暇。三つ目は、やるべきことが沢山ある忙しい中でふとした時にできる小さな余暇。今回はこの三つ目の小さな余暇に注目しようと思う。
ちょっとした時間が出来たとき、例えば電車の中、授業と授業の合い間、学校や会社の昼休み、バイトや仕事のあいまの休憩中など、時間にしてみればほんの数時間または数分、時によっては数十秒の「暇」ができたとき、現代人は携帯電話をいじっていないだろうか?おそらく、現代人にとって携帯電話は生活必需品と言えるだろう。
2、携帯電話の歴史
携帯電話機が日本で初めて多くの人々の前に現れたのは意外に古く、1970年に大阪で開かれた日本万国博覧会であった。入館者は受付で携帯電話機を借り、会場内のブースから全国に電話をすることができた。そのときの携帯電話機は長さ21p、幅6,6p、重さ600gであった。しかし、この携帯電話機は日本万国博覧会が終了すると人々の前から消えてしまった。日本で移動可能な電話機が初めて実用化されたのは、1979年の自動車電話である。自動車電話はその後、小型化、軽量化されて行き、1987年にNTTが日本で始めて携帯電話のサービスを開始した。この時の携帯電話機は750gほどあったが、1991年NTTより重さ230gの「ムーバー」が実用化され、1996年には重さ100gの「デジタルムーバ」が販売されて小型軽量化が進んでいった。現在はカメラ機能搭載機など様々な機能が新たに加わり、また、携帯電話同士で国際電話をかけることも可能となってきている。
3、携帯電話の所有率
総務省の行った、平成15年度通信利用動向調査によると個人における世代別情報通信機器の利用率「個人の携帯電話の利用率」は以下の通りである。
6−12歳 |
12.7% |
40−49歳 |
78.0% |
13−19歳 |
67.4% |
50−59歳 |
60.9% |
20−29歳 |
84.7% |
60−64歳 |
45.3% |
30−39歳 |
82.5% |
65−69歳 |
24.9% |
高校生の90%以上が携帯電話を持っていると言われている近年、日本国民全体で見ても国民の半数以上が確実に携帯電話を所有していることは間違いない。携帯電話利用者の低年齢化、高齢化により携帯電話各社は様々な対応・対策をとり、使いやすく便利な新機種がどんどん市場へでてきている。
4、携帯電話の機能
株式会社アイシェアは2005年5月27日、「携帯の利用機能」に関する調査を行い、その結果を発表した。
・携帯電話で一番利用している機能
第1位…メール (63.8%)
第2位…通話 (16.4%)
第3位…ネット (14.5%)
・携帯電話で一番使っていない機能
第1位…TV電話 (25.4%)
第2位…RQコード(19.9%)
第3位…ゲーム
(16.8%)
・携帯電話でたまに使って便利だなぁと思う機能
第1位…カメラ (63.8%)
第2位…RQコード
(18.9%)
第3位…ネット
(15.0%)
この結果から、携帯電話で一番使うのは圧倒的にメールであることがわかる。たしかに、暇さえあれば携帯電話を開きメールチェックをしている。携帯電話でのメールのやり取りは今や日常生活の一部となっている。また、たまに使って便利だと思う機能はどれも遊べる機能である。メールや電話の通信をしていない時間、何らかの形で携帯電話で時間をつぶせる機能が入っているのだ。ネット機能は接続することにより様々ゲームがDLできたり、音楽が聴けたりと「遊び」の要素がたくさんある。携帯電話で使わない機能も遊べる機能の部分が多いが、使わない人が多いからといって全く使われていないわけではない。TV電話は通信料が高いなど問題点があるが、中には使って楽しんでいる人もいる。RQコードは使わない機能とたまに使うと便利な機能、両方の2位にランクインしている。つまり、あまり使われない機能だが使ったときに初めてその便利さを感じるのだろう。また、携帯電話の機種変更を決めるとき、最も参考にされるのはインターネットで、キャリア別に見ると、ドコモユーザーのうち26.5%は雑誌の特集を参考にしており、au(18.5%)やVodafone(24.2%)ではショップの説明を参考にしている人が多かった。
5、最新携帯電話
日々進化を遂げる携帯電話。様々な機能を売りに、各社がどんどん新しい携帯電話を史上に登場させている。NTT docomo、au byKDDI、の大手二社の最新機種に注目してみた。
・NTT docomo
docomoはFOMA900シリーズに続き、900isシリーズを6月3日のSH900isの発売を皮切りにF901is、P901is、D901is、N901isを発売する。900isシリーズからの新機能は、コンビニや自動販売機での買い物、空港の搭乗手続きも備え付けの読み取り機に携帯をかざすだけで支払いや各種手続きを行うことの出来る「おサイフケータイ」機能。地図や時刻表、カタログなどのPDFコンテンツを、Iモードサイトからダウンロードし、好きな時に閲覧できる「PDF対応ビューア」機能など様々な機能が加えられた。フルブラウザの搭載に注目が集まるN901isだが、届いたメールの内容を解析し、22種類のアイコンで表示する「感情お知らせメール」機能も注目されている。また、900iシリーズからの共通機能として「音楽再生機能」、「セキュリティスキャン」機能などがある。
・au
byKDDI
auの最新機種、TOSHIBAのA5511Tはau初、無料で地上波のテレビ試聴が可能だ。それに加え、ケータイの画面でテレビとウェブが融合し、試聴中の番組の情報の検索、番組サーチなど「インタラクティブTV」機能が搭載されている。また、電子辞書「辞スパ」収録miniSDメモリーカードが附属されている。
6、進化する携帯電話
およそ6ヶ月サイクルでどんどん新しい機能を搭載した携帯電話が市場に登場する今日、私たちの生活に携帯電話は欠かせないものになっていることは事実だ。私たちが携帯電話に求めることはなんだろうか。携帯電話の歴史をみてみると、今現在私たちが「こんな機能がほしい!」と思ったことが実際、携帯電話に搭載される日はそう遠くないだろう。たとえば、今やお出かけ三点セットと言っても過言ではない財布、ケータイ、鍵が全て携帯電話を持つだけで解決してしまうというのはどうだろうか。Docomoはオサイフケータイ機能の搭載を始めた。今はまだお金で直接という感覚が強いが、いずれIC機能がついた携帯電話での買い物があたりまえになる次代が来るのかもしれない。また、一人に一台携帯電話の時代がくれば、鍵としての機能をつけることも可能になるだろう。家の鍵、車の鍵、会社の鍵…セキュリティ機能が整えばこれも可能となるだろう。細かい部分では、スイカ機能やカメラ機能の画質の向上、テレビ試聴機能の一般化など沢山あげられると思う。しかし、携帯電話に時間を支配されるというのはあまりよいとは言えないと思う。携帯電話と上手く付き合ってゆくことがこれからのデジタル・情報化社会で私たちが求められていることだ。生活に密着し、さらに便利になってゆく携帯電話と上手く付き合うことで小さな余暇を楽しむことができたら素晴らしいと思う。
<参照サイト>
中村祐司「大学講義・レポート作成におけるインターネット情報利用の功罪」
http://gyosei.mine.utsunomiya-u.ac.jp/since2001koki/shoki03/shokikanseireport/030709nakamuray.htm
総務省
携帯電話機とその利用
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/denki05/1/1-2.htm
アイシェア
NTTドコモ
au byKDDI