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「旅の多様化と旅行会社」

 

三田地綾子 (宇都宮大学国際学部国際社会学科2年)

 

1.旅行会社の意義

 

あと一ヶ月ほどで夏休みがやってくる。この休みを利用して、旅行に行こうと考えている人も多いのではないだろうか。旅行は、最も一般的で、人気な余暇時間の過ごし方の一つである。しかし、旅行に行きたい、行くという人はたくさんいても、その人達が行きたい場所や目的は様々である。そしてその人たち誰もが自分の希望にあった、満足のいく旅を実現したいと思っているだろう。

 

旅をする際、旅行者の大半は旅行会社のサポートを受ける。乗り物の手配や旅行日程などを全部自分で決めるという人も中にはいるし、その準備の段階から旅行を始める戸いうのも一つの考え方としてよいと思う。しかし、時間のない人や、あまり旅慣れしていない人いとっては、旅行会社からアドバイスを受けながら旅行プランを立てたほうが効率もよいし安全である。特に海外旅行の場合、個人ではプランをたてきれない、知っておかなければならない現地の情報を入手できない、という危険な可能性もあるため、多くの人は旅行するときは旅行会社に世話になっている。

 

 

2.可能になった様々な旅の形

 

旅行といったら、皆さんはどのようなものを想像するだろうか。南国リゾートでバカンス、ゆったりと温泉旅行・・・。多くの人がこれらを想像したのではないだろうか。少し前までは旅行の形態は限られていたため、「旅行」という単語から想像されるものも限られていた。しかし、現在、またはこれから先は、「旅行」から想像されるものは人によって全く異なってくると思う。つまりそれくらい、旅のかたちの多様化は進んでいるということである。

 

旅行が多様化してきた背景には、乗り物の発達、とそれに伴う運賃の値下げや時間の短縮、また海外旅行に限って言えば国際交流の活発化とその重要性の認識などが挙げられる。そのおかげで、旅行者は旅行に対して多種多様な要望を持つようになり、また同時に旅行会社は多様なプランを作ることが可能になった。

 

そこで、最近よく目にするようになった旅の形の例をいくつか挙げてみたいと思う。

 

(1)グルメツアー、ショッピングツアー

 

旅の一環としての食事や買い物ではなく、それ自体を目的とした旅である。よく、旅目的で、仕事や家事などの日常生活から離れて、非日常的な環境で過ごすため。というのを聞くが、これらの食事や買い物ツアーが盛んに行われるようになった背景として、必ずしも旅が非日常のものというわけではなくなったということがある。日常に行うことの行動範囲が乗り物の発達などのおかげで地域から国内、外へと広がり、それを一つの旅として成立したものである。

 

(2)学ぶ・体験する旅  

 

手作り体験ツアー、語学研修、農業体験など。普段は触れることのできない文化を体験できる。学ぶ対象は民芸品であったり外国語であったりと様々であるが、「見る」ことが中心だった今までの旅行から「体験する」という新しい形が増えてきている。

(*語学研修等、研修を扱う会社も分類的には旅行会社ということで、旅行の1つとして考えた。) 

 

(3)シニア向けプラン

定年退職を迎えた方々を対象としたプラン。時間にもお金にも余裕がある人たち向けのプランのため、多少の費用がかかってもじっくりと旅の目的を達成できるようなものになっている。また、朝食ととる習慣が無い国への旅行でも朝食をしっかり取ることができるよう手配が行われたりもする。

 

(4)個人旅行

 

最近一番増えてきている形である。費用や効率面で考えると団体旅行、パッケージツアーに比べやや劣る部分もあるが、個人の希望どおりのプランが組めるというのが、人気の理由である。また、需要はどんどん増えているということで、価格も下がる見込みの十分ある。

 

 

3.変化に対応できる旅行会社

 

2にあったように、旅行の形態は時代によって変化していて、旅行会社はそれにあったプランの旅行を作らなければならない。どんどん増えてゆく新しい旅の傾向に対して、旅行会社はどうやって対応しているのだろうか。

 

対応の一つ目として、旅行会社の部門別化があり、これは大手の旅行会社に見られる傾向である。その例としてJTBの場合をみてみようと思う。JTBグループ内には約80の会社がある。80社の中には旅行ガイドブック「るるぶ」関連のものなど、旅行自体ではなく旅行関連の会社もたくさんあるが、「JTB北海道」、「JTBツアーズ(関東地区での旅行業)」など日本国内、「JTB中国」や「JTBディスカバワールド(グアム、サイパン、ミクロネシア方面の旅行開発)」など国外にその地域を専門とした会社も多くある。また、スキー、マリンスポーツ等のスポーツ旅行専門会社「JTBサン&サン」や個人、小グループの旅行を扱う「トラベルプラザインターナショナル」など、目的別の旅の専門会社もある。

 

もう一つは、旅行会社自体のある旅行形態への特化である。前者と違い大規模な会社ではないが、得意分野を絞り込み、客のニーズに細やかな対応ができるようになっている。旅日本国内専門やアジア専門などある地域を専門にした旅行代理店、また留学専門、個人旅行専門の旅行会社などがある。

 

どちらのタイプも、ある種類の旅に専門化して利用者の要望によりたくさん対応できるようになっている、という点では同じといえる。

 

 

4.余暇活動としての旅とは

 

旅の形や意義は時代とともに変化してきているとはいえ、私たち人間にとって、旅が魅力的なものであるということには変わりない。なぜ旅が魅力的なのか、説明するのは難しいが、私は、旅行は人間誰もが持っている好奇心を満たすことができる存在なのだと思う。一つ例をあげると、多額の費用を払っても宇宙旅行に行きたいと思う人がいるとして(世の中には実際にいる)、その人がそう思う理由は、宇宙に行ってみたいという好奇心そのものであると思う。以上の考え方から、人間が生きている限り、旅はなくなることは無い。そして、その旅を支える旅行会社は、旅行者のニーズを満たすサポートをし続けるために変化してゆく重要な役割を担っている。

 

 

<参考サイト>

JTB http://www.jtb.co.jp/

立教大学観光学部 http://www.rikkyo.ne.jp/grp/king/sato/pon.htm