tatenom040630

 

「フリーマーケットから環境を考える」

 

舘野恵(宇都宮大学国際学部国際文化学科3年)

 

1.はじめに

 

古着屋やフリーマーケット、リサイクルショップなど最近「リサイクル」がキーワードとなるショップや催し物が増え、広まっている。その中でも休日になると、あちこちの広場で開催されているフリーマーケットが興味深い。私自身も買う側として、また売る側として参加したことがあるのだが、これほど両者にとってよいことはないだろう。楽しくリサイクルができて、環境を考えたうえで一般市民が簡単に参加できるフリーマーケットについて調べてみたい。

 

 

2.フリーマーケットの歴史とメリット

 

フリーマーケットといえば家にある不要品をリサイクルすることを目的として、誰でも参加できるイベントとして現在主流のものとなっているが、そのルーツは数千年前の紀元前、ユーラシア大陸横断路(シルクロード)の街々で開かれていた「蚤の市」が発端と言われている。現在のような一般市民が出店するようなスタイルのフリーマーケットは1970年代アメリカから始まったとされる。http://webnet.cside.com/mall/topix2.html

 

フリーマーケットにはいくつかのメリットがある。一つ目に、家の不要品を処分できるということだ。自分にとってはいらない物でも他人にとっては掘り出し物になり得る。二つ目に、ゴミが減らせるので、環境に良いということである。これは完璧なリサイクル運動の一環かつ、大きな儲けにはならないが、おこづかい程度にはなるというすばらしいものだ。また、ものが安く買えたり、売買そのもののやり取りが楽しかったり、人とのコミュニケーションを楽しむこともできる。

 

 

3.フリーマーケットの主催者

 

フリーマーケットは実にさまざまな場所で開催されている。会場によって時間も出店数の規模もだいぶ違っている。また主催者にも色々な団体がある。主に明治公園で開催している「環境を考える市民の会」は、環境問題の一環としてフリーマーケットを主催している市民グループ団体である。彼らは1997年の設立以来毎月2回「明治公園フリーマーケット」を開催してきた。「リサイクルめぐろ推進協会」は『限りある地域資源とかけがえのない地球環境を保全していくために、住民・事業者・行政のそれぞれが役割を分担し、“協働”し合える関係を広げながら、環境と人間が調和したリサイクル型社会を作ろう』という基本理念を掲げて活動している団体である。目標はReduce, Reuse, Recycleの「3つのR」である。その中のひとつとして年に数回、公園などでフリーマーケットを開催している。その他に、ごみやリサイクルについての講座や講演会なども行っている。沖縄リサイクル運動市民の会は、1983年『物を大切にするところから心の豊かさを取り戻そう!』の呼びかけをもとに市民団体として設立した。現在フリーマーケットなどのリサイクル、環境教育、市民運動等をテーマとした市民参加型の催しや事業を多数開催している。これらの団体の他にもたくさんの団体がある。

 

 

4.グリーンマーケット

 

ニューヨークでの週末の楽しみ方のひとつにフリーマーケットがある。駐車場や公園、学校の校庭など、マンハッタン中のいたる所で開催されている。その中でも緑化関連の「グリーンマーケット」というものが、ニューヨークでは盛んに開催されている。ニューヨーク市内では、約30ヶ所でグリーンマーケットが開かれているが、ユニオンスクエアの市場が最大規模で、歴史も長い。グリーンマーケットはニューヨーク市の環境局が運営している。グリーンマーケットに並ぶ食材は、不ぞろいで泥がついていても、質はとても良いものばかりである。加えて、その種類の豊富さは驚くほどだ。野菜や果物を中心に、近海でとれた魚や卵、花、パン、ミルクやチーズなどを隣の州のニュージャージーの農家の人たちが販売しに来ている。週に何回か定期的に行われているが、土曜日には4万人もが訪れる。とれたものを運んできて並べて売るという原始的な小売りのありかたがグリーンマーケットの最大の魅力といえるだろう。

 

 

5.おわりに

 

フリーマーケットはリサイクル運動の一環として一般市民が簡単に参加できるイベントのひとつとなっている。初めてでも気兼ねなく参加でき、メリットも多い。また、フリーマーケットを主催している団体には、いろいろな団体があることがわかったが、どれも営利を目的とした団体ではないことは知っておく必要があるだろう。長い歴史を経て、現在のフリーマーケットの形になったわけだが、これからもリサイクルや環境を考えるうえで重要な役割を果たすことは間違いないだろう。宇都宮でも駅周辺などで週末に開催されているので、ぜひともみんなにも参加してもらいたいと思う。