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「地方テーマパークの生き残りをかけた戦略〜レオマワールドの再生〜」

長嶺優子(国際学部国際文化学科3年)

 

1.テーマパークの状況

 

 現代の日本人にとって欠かすことのできない余暇の一つにテーマパークが挙げられるだろう。テーマパークというと大方の人はディズニーリゾートを思い浮かべる。もともと、テーマパークの出現の先駆けとなったのはディズニーであるし、人気もダントツである。ディズニー以外にも、日本全国には現在さまざまなテーマパークが存在するが、これらの多くが経営不振に陥っている。バブル崩壊後の不況が長期化しているために来園者が減っているという理由もあるが、テーマパークに要求されるものが大きいことも理由の一つである。帝国データバンク(http://www.tdb.co.jp/watching/press/p001001.pdfから要約)によると、そもそも、テーマパークには初期設備投資の負担が大きい。さらには、リピーターの確保と客離れを防ぐために、常に新しい設備や遊具の導入と既存設備のメンテナンスが要求される。これを可能にする、豊富な資金力と、周辺の相当な人口規模という二つの条件を満たすことが、地方テーマパークには難しいために経営が困難を極めているのであろう。

 

そのような状況において、地方テーマパークが生き残るための新しい戦略として注目したいテーマパークが存在する。香川県綾歌町にある「ニューレオマワールド」である。名前からも分かるように、ニューレオマワールドは20044月に再オープンしたテーマパークである。旧レオマワールドは、経営不振のために2000年に休園を余儀なくされた。そのレオマワールドがどのようにして再開されることになったのだろうか。休園に追い込まれるまでの流れと、ニューレオマワールドがオープンされることになった運びは次章で明らかにしたい。

 

 

2.旧レオマワールドからニューレオマワールドへ

 

 旧レオマワールドは、香川県綾歌町が日本ゴルフ振興にゴルフ場建設を打診した昭和59年にさかのぼる。当時、日本ゴルフ振興社長だった大西社長の名前を用いて「レジャーは大西に任せろ」の頭文字からレオマワールドと名づけられた。総事業費700億円をかけ、幅広い年齢層をターゲットに年間500万人の入園者を見込んで19914月にオープンしたレオマワールドは、最初の年こそ中国四国関西方面から290万人を集めたが年々入場者を減らし、累積赤字と債務超過額が膨らむ結果となったために2000年に休園という形をとらざるを得ない状況になった。(http://www.gyutto.net/com/comm/clm_contents.php?ID=21

 http://www.tdb.co.jp/watching/press/p001001.pdfから抜粋、要約)他にも、リピーターを確保できなかったことが休園の要因の一つに挙げられる。Gyutto Kagawahttp://www.gyutto.net/com/comm/clm_contents.php?ID=23から引用)によると、例えば開園後3年間の月間入場者数を月別に比較しても、どの月もきれいな右肩下がりのグラフになっている。また年間売上額の推移をみても中間のテコ入れがあったにもかかわらず、前年を上回る売上を記録した年は一度もなかった。このように、まさに前章で示したテーマパークに必要な条件を満たせなかったことが休園の原因となっていることがわかる。やはり、地方テーマパークには資金と客の確保が非常に難しいのである。

 

 さて、今年4月にレオマワールドはニューレオマワールドとして再開されることとなった。冷凍食品会社の大手である「加ト吉」が香川県観光開発を設立し、そこを筆頭に4社が総額12億円を投資した。旧レオマが700億円を投じられたのと比べるとその差は明らかである。「加ト吉」の会長兼社長である加藤義和氏は『700億円だったら運営は到底無理だけど12億円なら必ず成功するよ。http://www.iw-jp.com/modules.php?name=News&file=article&sid=31より引用)と述べている。ニューレオマは69平方メートルの敷地を@遊園地Aショッピング・飲食Bホテル・温泉Cアジア各国の建築物を再現した「オリエンタルトリップ」の4つのテーマゾーンに分けて、4つの会社が独自に経営するという「分割独立経営」という異例の手法をとっている。これによって資金力という問題をカバーしようというのである。また、4つのゾーンにはそれぞれ個性的な特徴があり、遊園地ゾーンには新たに観覧車を造り、ホテル「レオマの森」には天然温泉をひいた。ショッピングゾーンには約28もの飲食店や物品店が並んでいる。子供から大人まで幅広い年齢層をターゲットにし、集客を試みているようである。入園料も、駐車場とショッピングゾーンを無料、遊園地ゾーンには大人1000円、子供700円、ホテルの温泉施設も平日1400円とし、各ゾーンに行く場合には手にスタンプを押せば再入園が可能になるなどリーズナブルである。ニューレオマの、リピーターの確保というテーマパーク運営における最大の問題を解決しようとする努力がうかがえる。

 

 

3.おわりに

 

 長引く不況の中、莫大な資金を必要とするテーマパークの運営を維持していくことは非常に困難なことといえるであろう。特に、地方テーマパークの場合客集めが何よりも大変である。リピーターを確保するためには他との差をつけ来園者を満足させなければならない。今回取り上げたニューレオマワールドは、休園に追い込まれたテーマパークが再開されることになった初めてのケースであり、かなり注目を浴びている。ニューレオマが成功させるためにとった新たな手法はどれもテーマパークとしては珍しく、そういった意味で、今後地方テーマパークが生き残るためのヒントが隠されているのではないだろうか。もちろんテーマパーク本来の非日常的な雰囲気を壊してはいけないが、運営にあたってはテーマパークという概念を取り払うことも必要なのかもしれない。今後も、ニューレオマワールドから地方テーマパークの意地を見せつけてもらいたい。

 

 

参照サイト

 

http://www.net-ric.com/advocacy/datums/91_5tanaka.html

 

http://www.geocities.jp/kagawaschool/reoma1.htm

 

http://kyoto-np.jp/news/flash/2003dec/02/CN2003120201000294D1Z10.html

 

http://hiro.dea.jp/C712727602/E1512497953/

 

http://www.iw-jp.com/modules.php?name=News&file=article&sid=3