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「退職後のロングステイにみる高齢者の余暇活動」
三浦優子(宇都宮大学国際学部国際文化学科3年)
1.人気の増加するロングステイ
最近、老後の楽しみとして日本でもらう年金を資金に海外に長期滞在する人が増えてきている。1964年の「海外旅行の自由化」によって、海外旅行は自由時間活動としても一般的に定着した。自由化から約40年たとうとしている現在においては、海外旅行のスタイルも従来の短期周遊型の旅行から比較的長く一定地域に滞在し、現地で生活をしながら自由時間の活動を行うという幅広いものになりつつあり、個人が望む旅行のスタイルはさまざまなものが生まれている。そこで今注目されているのがロングステイである。ロングステイとは「長期滞在」と直訳されるが、一定場所に2週間以上滞在することを意味し、移住でも永住でもない「海外滞在型余暇」のことを指す。
ロングステイは、一般的な海外旅行とは性質が異なる。ロングステイは、自由時間(余暇)の活用を目的とする。海外でより豊かな自由時間を過ごし、現地の人々との草の根交流などの余暇活動を行うのである。また、「旅」よりも「生活」を目指す滞在である。海外旅行が短期間の観光・ショッピングのような非日常的体験を目的とするのと異なり、ロングステイは海外における日常的生活の体験を目的とする。そして、海外に「居住施設」を保有、または賃借する。短期旅行者向けの宿泊施設ではなく、多くの場合生活に必要な施設が整っている宿泊施設や適切な住まいを保有、または賃貸するのである。ロングステイの生活資金の源泉は日本にあり、現地での労働や収入を必要としない。また、「移住」「永住」ではなく、日本への帰国を前提とする海外滞在で、比較的長期にわたるたいざいである。比較的長期にわたる滞在である。
2.財団法人ロングステイ財団の与える影響
財団法人ロングステイ財団は、1992(平成4)年2月に通商産業省(現;経済産業省)の認可を受けて設立された公益法人である。
このような社会的背景を受けて、ロングステイ財団では「生活の源泉を日本に置きながら海外の1か所に「比較的長く滞在し、その国の文化や生活に触れ、現地社会に貢献を通じて国際親善に寄与する海外滞在型スタイル」を総称してロングステイと名づけ、ロングステイの普及・啓発活動に取り組んでいる。また、今後のロングステイマーケットについての基礎資料の作成・整備などや、人々の生きがいの開発のための国際的人材交流の支援、滞在型余暇拠点作りの支援などを行っている。
3.ロングステイの魅力と高齢者の求めるもの
ロングステイの魅力は、年金の範囲で贅沢な暮らしが出来るという経済的な面と異文化環境で生活するという非日常性の2点に整理できる。そのうち、異文化環境で生活するという非日常性は、ロングステイをする人々にとって特に重要な要素である。海外長期滞在者が滞在先でやりたいことにあげた項目の一番目は現地の生活や習慣にふれること、ついで自然の中でのんびりする、三番目は現地の人々との交流であった。一番目と三番目には「人とのふれあい」という共通点があるが、この三つの共通点は、自国とは違った環境で暮らしたいという人々の希望が反映されている。つまり、海外におけるロングステイは自国のありきたりの環境に疲れた高齢者が、全く別の環境に身をおき、それまでの暮らし方とは全く別の方法で人生を振り返るために行うものなのである。