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「余暇とソフトバレー」

鮎ヶ瀬琢子(宇都宮大学国際学部国際社会学科3年)

 

1.テーマ決定の動機

 

私は大学のサークル活動で毎週水曜と土曜にバレーボールをしているが、その他にも去年の春から毎週日曜に栃木市でソフトバレーをするようになった。その練習に集まっている人々は、私と友人の二人以外はみんな仕事や家庭を持つ40歳代、50歳代の男性と女性で、大体いつも15人ほどである。みんなとても親切で練習熱心で、バレー経験者も未経験者も一緒になって本当にソフトバレーを楽しんでいた。たったの1度の練習で私はソフトバレーにはまってしまった。ある時、私は友人の母に質問をした。「自営業で月曜日から土曜日まで働いていて、日曜日にソフトバレーをしていたら休む時間がなくて大変じゃないですか?日曜くらい休みたいと思わないのですか?」と。すると、「日曜のソフトバレーがなかったら、毎日の仕事を頑張れないのよ。」と答えてくれた。その時の友人の母の言葉が、私がこの余暇政策論のレポートにソフトバレーを取り上げるきっかけとなった。余暇の時間にするソフトバレーは、仕事や家庭を持つ大人にとってどのようなものなのか。余暇と、普段の生活や仕事との関わりについて、さらに、今後ソフトバレーをより多くの人々に知ってもらうためには何が必要なのか、一緒にソフトバレーをさせてもらっている12人の人たちに答えてもらったアンケートを参考に調べていきたい。

 

 

2.ソフトバレーとは

 

(1)ソフトバレーとは

 ソフトバレーは、より多くの人々がバレーボールの素晴らしさに触れ、生涯を通じてバレーボールを楽しむことができることを願って考案されたものである。基本的なルールは普通の6人制・9人制のバレーと同じであるが、ソフトバレーのボールは重さ約200g、円周78cmのやわらかいボールで、コートはバドミントンのコートを使い、ネットの高さは2m、1チーム4人で構成されている。その他、現在6人制バレーは、サーブがネットに触れてコートに入っても良いが、ソフトバレーは相手の得点になる等、いくつか違いはある。

 

特徴としては、ボールをソフト化し、基礎技術であるパスが安全で容易にでき、誰でも、いつでも、どこでもできるバレーボールであることや、既存の施設、用具(バドミントンコート・支柱・ネット)の活用で手軽に遊べること、男女別、年齢、体力、経験、技術等のレベルに応じたゲームができること、そして、ゲーム中すべての競技者に対して等しくプレーするチャンスがあることなどが挙げられる。アンケートにおいても、ソフトバレーの長所として、「突き指をすることがない」、「年齢差があっても楽しめる」、「老若男女誰でもできる」、「手軽にできる」などという点が挙げられていた。短所は、「ミスをして返ってストレスを感じることがある」と答えた人2人、その他に「勝利にこだわってしまう」などという点が挙げられていたが、短所は「ない」と答えた人が12人中6人であった。

 

(2)ソフトバレーの種類・大会

種類はファミリーの部、トリムの部、一般の部の3つに分けることができる。ファミリーの部は、家族の老夫婦・夫婦・小学生以下の子供2人と大人の男女各1人でチームを構成する。子供の性別は問わない。トリムの部は、コート内の競技者を年齢によってブロンズ・クラス(30歳代の男女と40歳代の男女それぞれ1人)と、シルバー・クラス(40歳代の男女と50歳代の男女それぞれ1人)と、ゴールド・クラス(50歳代以上の男女各2人)に分類する。一般の部は、4人の年代、性別の組み合わせは自由であり、男2人、女2人の場合が多い。

 

現在、あまり知られていないソフトバレーではあるが、全国規模や各都道府県、各市町村規模など、多くの大会があり、私は去年1年間に10回近くも大会に参加している。三大大会として全国ソフトバレー・ファミリーフェスティバル、全国ソフトバレー・シルバーフェスティバル、全国ソフトバレー・レディースフェスティバルがあり、その他にもスポーツ・レクリエーション祭り(スポレク)がある。詳しくは日本ソフトバレーボール連盟公式ホームページ http://www.soft-volleyball.jp/rule/ を参照してもらいたい。

 

 

3.働く人にとっての余暇

 

(1)余暇とは

 アンケートの結果からわかったことは、人によって余暇だと捉えている時間に大きな差があるということだ。「あなたにとって余暇とはどういうものですか?」という問いに対しては、「ストレスを解消すること」、「自分の好きに使える時間」、「休むこと」というように大きな差は見られないにも関わらず、「余暇の時間は週に何時間ありますか」という質問には、週5日、1日6時間労働の人が「7時間」と答え、同じ週5日で1日11時間労働の人が「40時間」と答えている。これは、「余暇」という言葉がまだ馴染みにくいものであることを表しているのではないか。

 

(2)余暇と仕事や普段の生活との関わり

 学生の私は、まだ「働く」ということの大変さを実感していない。アンケートの結果では、週5日労働が4人、週6日労働が5人で、一日の労働時間の平均は8.2時間であった。「仕事は大変ですか?どのような所が大変ですか?」という質問にも、「人間関係」、「長時間労働」、「日によって忙しさが違う」などの回答があった。私は、仕事のない日にソフトバレーをすると、疲れてしまって仕事がさらに大変なのではないかと思っていた。しかし、「余暇の時間をソフトバレーをして過ごすことが、仕事や生活に何か影響を与えると思いますか?」という質問に対しては、「ストレスが解消できる」、「生活に張りが出る」、「新たな気分で仕事ができる」など、良い影響についての解答ばかりであった。筋肉痛になることや、怪我をすることもあるはずなのに、それよりもソフトバレーが仕事や普段の生活に与える良い影響の方が、やっている人からすれば印象的なようである。さらに、「ソフトバレーとはあなたにとってどのようなものですか?」との問いに対しては、「生活の一部」という回答が最も多く、その他に「ストレス解消」、「いきがい」、「生活のリズム」などがあった。この結果からも、ソフトバレーが仕事や普段の生活に良い影響を与えていることがわかる。 

 

 

4.ソフトバレーの発展のために

 

「ソフトバレーをしていて良かったことは?」という質問に対する回答で最も多かったのが、「人との出会い」であった。この点は私も大変実感している。ソフトバレーをしていなければ知り合うことはなかった人がたくさんいる。さらに、ソフトバレーは生涯スポーツであると思う。アンケートでの「ソフトバレーは何歳までできるスポーツだと思いますか?何歳までやりたいですか?」という質問では、「70歳」との回答が5人、「体が動く限り」が4人であった。実際に大会などでは、自分と3倍近くも年齢の離れた人と勝負することもあるのだ。ソフトバレー以外でこんなことがあるだろうか。老若男女、バレーの経験・未経験を問わず、みんなが楽しめるスポーツである。

 

そんなソフトバレーが今よりももっと普及し、愛好家が増えるためには何が必要なのか。アンケートでの「ソフトバレーをしていて良くなかったことは?」という質問に対して、「子供と過ごす時間が減った」という回答があった。これは、子供も一緒に来てソフトバレーを楽しむことができれば解消できる問題ではないか。そのためには子供がまだ幼い時からソフトバレーを認識し、親しむことが必要だ。2002年度から小学校体育科新学習指導要領にソフトバレーが新たに加わった。これにより、今よりもソフトバレー愛好家が増え、ファミリーでの参加も増え、家族での共通の楽しみによって家族の絆が深まるという良い影響も期待できるのではないか。

 

 アンケートで、「施設の利用に関することで不満はありますか?どのようなことですか?」と質問したところ、「使用料が高すぎる」という回答が最も多く、次いで「使用時間が短い」、「施設が少ない」などがあった。使用料に関しては、地域によっての差も大きく、現在私たちが最も多く利用する栃木市勤労者体育センターでは半日1200円、都賀町木コミュニティーセンターは半日400円、栃木市総合体育館では2時間2000円となっている。施設が少なく、料金が高く、利用時間も短いため、思うように利用できていないのが現状である。施設を増やすなど、より市民が利用しやすい環境を整えることが行政に求められている。