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CD・ビデオ利用の移り変わり

国際学部 国際社会学科 3年 阿部真弓 

 

現代において、映画や音楽は必要不可欠なものとなっている。もちろん、かなり昔からこれらは娯楽として人々に愛されてきた。しかし、現代ほど普及しているのはテレビやラジオなどのメディアの存在、コンパクトディスクの普及、またインターネットの普及が大きな要因となっているだろう。そして、映画や音楽のこれほどまでの普及に一役かったのがビデオ・CDレンタルショップの存在である。これらのおかげで、人々はより安価で映画や音楽を楽しめるようになった。しかし最近では、ビデオ・CDレンタルショップに代わる映画や音楽の購入方法が普及し始めている。それがインターネットコンテンツによる利用である。ビデオや音楽の利用が便利になる一方で、著作権などの問題も複雑になってきているのが現状である。今回は、音楽におけるビデオ・CDレンタルショップの利用からインターネットコンテンツの利用へと移り変わる中で、特に著作権への対応がどう変わってゆくのかをまとめてみる。

 

1.ビデオ・CDレンタルショップの現状

 

 レンタルショップのシステムは借りる→聞く→返す→並べるという循環が基本である。その中で顧客情報・在庫情報など様々な情報が管理され、その情報は本社で一括管理される。このシステムはチェーンのレンタル店の多くで利用されている。

 具体的な数値としては、1154店舗・会員数1864万人(T社)、342店舗(G社)などが挙げられる。T社について、より詳しい数値を調べてみると、全体の会員数は決して減少してはいない。(図1)しかし、この会社はオンラインでの営業も始めており、インターネットコンテンツとして購入してすぐ聞くこともできるし、CDを購入して郵送してもらうこともできる。こちらのオンライン会員は増え続けているので、(図2)全体で見て実際に店まで行ってレンタルする会員数は多少なりとも減少していることになるだろう。

 

図1                                      図2

 

2.インターネットによる音楽のダウンロードの利用状況

 

インターネット上のコンテンツの総データ量は平成10年8月からの3年間で6.7倍になり、急激に増加している。利用状況としては、携帯電話からの利用は比較的進んでいるが、パソコンからの利用は一部に限られており、多いとはいえない。しかし、今後、携帯電話同様にパソコン利用者向けに魅力的なコンテンツの充実や簡便な料金回収システム等の条件整備が進めば、ブロードバンドの普及に伴い、パソコンから有料コンテンツを利用する者も増加していく可能性がある。なぜなら、パソコンから有料コンテンツを利用したことのない者において、有料コンテンツを利用しない理由は、「価格が高い」が47.1%と最も高く、「魅力あるコンテンツがない」が26.1%、「通信の安定性がよくない」が24.7%と続いている(図3)。有料コンテンツの未利用者も、価格面を最重視している。しかし、「インターネット上のコンテンツにお金を払いたくない」が17.8%であり、無料でなければ利用しないという者は一部に限られている。価格次第によって一定の需要はあると考えられる。

 

図3

図表7)

 

3.インターネットによる音楽のダウンロード普及による問題

 

・著作権の問題

インターネットの普及により、複製が容易なデジタルデータが広範に流通しているため、著作権侵害等の問題がより複雑になる。

 ・レンタルショップに与える問題

   現状ではインターネット上のコンテンツを利用するよりもレンタルショップを利用する人数が圧倒的に多いが、インターネット利用者は、インターネット上での高品質なコンテンツを用いたエンターテインメント性の高いサービスに対して大きな期待を持っている。レンタルビデオやCD程度の価格以下ならば利用したいという意見が多いので、今後の改善により利用人数は増加する可能性も高い。そうなった場合、レンタルショップの需要は大幅に減少するだろう。現在の店舗数を見ると、そうなった場合のレンタルショップに与える打撃は大きいと考えられる。ただ、現時点ではコンテンツ不足に対する不満よりも、課金システムに対する不信感や個人情報保護に対する不安感のほうが強い。

・個人情報保護の問題

ネット上で個人の情報が飛び交うので、個人情報の流出が問題となる。実際、yahoo JAPANにおいて契約者の個人情報が流出していた事件もある。個人情報流出の問題は住基ネット運用の際も議論された。結局、個人情報流出の危険よりも有便性をとった形となったわけである。あれだけ議論されても完璧な解決法が発見されないこの問題は、解決が非常に難しい。

 

4.著作権への対応

 

 ・レンタルショップの著作権への対応

  レコード(CD)レンタル業界の歴史は、音楽著作権の歴史といっても過言ではない。レコードレンタルの事業という新しい業態は、それ自体の認知を含め、一方では録音機器による「家庭内録音」といった、ニューメディア時代における著作権のあり方を問うものとなった。国会等での討議を踏まえ、1984年(昭和59年)の著作権法の改正によって「貸与権」が新設され、レンタル業界は市民権を獲得する同時に、一定の規制を受けるようになった。現在の対応は以下の通りである。

レンタル事業者は、音楽著作権を各権利者(著作権保持者)に使用料を払って「貸与権」を購入し、組合(JASRAC)を窓口として使用料を定め、1回あたり又は1枚当たりの使用料を支払っている。その後、著作権使用料はレンタル店から直接的、間接的に著作権者や著作隣接権者に支払われており、CDレンタルについては作詞・作曲家、実演家、レコード制作者に著作権使用料が年間約100億円が印税等の形で支払われている。

詞やメロディなど音楽そのものを作る作詞家・作曲家が、著作権を持っているのに対し、CDをつくるレコード会社やミュージシャン(歌手・バンド)は、著作権に隣り合わせの権利として「著作隣接権」という権利を持っている。(放送事業者、有線放送事業者も「著作隣接権」を持っている。)

・インターネットコンテンツの著作権への対応

著作権については、事業者と各権利者との間のやりとりはレンタルショップと同様である。しかし、インターネット上で取引をするため、問題はより複雑化する。インターネット上での不正なファイル交換等の不正使用防止のため重要と考える対策として、「DRM(デジタル著作権管理)等の不正使用防止技術」や「不正使用に対する取り締まりの強化」が重視されている。不正取り締まりに期待するとともに、事業者自らの対策としてはDRM等を採用することが重要と考えられている。DRMとは、ダウンロード再生を、改ざん防止機能を備えた環境下で、コンテンツ提供者が指定した使用ルールに基づいて実行する技術のことである。だが、最近もP2Ppeer to peer)ファイル共有ソフト「Winny」を開発した東京大学の助手が著作権法違反幇助の疑いで逮捕されるという事件がおこった。まだまだインターネットコンテンツの著作権への対応は不十分だといえるだろう。

 

5.今後、インターネットによる音楽のダウンロードを使用していくにあたり

 

 インターネットによる音楽のダウンロードは非常に便利である。わざわざ家を出なくてもすぐに音楽を聴くことができ、数多くあるインディーズグループなどもすぐに検索できる。しかし、それに伴う弊害も数多く存在する。個人情報流出の可能性があるという問題については、住基ネットとは違い、個人の判断で選択するわけだからこの問題を消費者が満足する程度に解決しないことには利用者は増加しない。それでも便利なインターネットによる音楽のダウンロードを選択するならば、その可能性を覚悟しておかなければならない。また、著作権への対策も不十分であることから、利用者は直接には感じないだろうが、11人が著作権を意識するべきである。乱用が続くようであるならば、規制が厳しくなり利用が困難となってしまうだろう。(料金の上昇など)インターネットがあっという間に普及してしまったことをみても、インターネットによる音楽のダウンロードは今後どんどん普及していくと考えられる。作品を世に送り出す側も、「貸与権」を購入して受け取る側も、気持ちよく利用できるものになることが理想である。

今回は、インターネットによる音楽のダウンロードの著作権について詳しく調べてみたが、レンタルショップに与える問題や個人情報保護の問題についても今後、ぜひ調べてみたい。

 

 

http://www.cdv-j.or.jp/cdvj/  日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合

http://www.jasrac.or.jp/park/  JASRAC PARKホームページ

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/06/10/3441.html  ニュース“internet watch

http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h15/html/F1402300.html  特集「日本発の新IT社会を目指して」

http://www.ccc.co.jp/ir/index.html  カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社ホームページ

http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0425/pial.htm  ニュース“internet watch

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20040520/144504/  ニュース“winnyが突きつけたもう一つの問題”