科目:余暇政策論

道の駅についての洞察

-より利用者にやさしい道の駅-010123佐藤友樹

 

要約

 平成五年に道の駅ができてから10年が経つ。この道の駅というのは設立当初から、「女性、年少者、高齢者、身障者など様々な人の使いやすさに配慮」され、施設はその方針にのっとり、作られている(「道の駅」登録・案内要綱より)。が、果たして実際はどうなのか。実際に二つの道の駅に訪れ、そこで気になった二つの点、道の駅の地図上の表記と身障者用のトイレの設置について、考えた。

 1.はじめに

 実際にこれらの問題を考えるにあたり、二つの道の駅を見学した。ここではこれらの駅について掻い摘んで触れておく。

道の駅かつら 

 道の駅かつらは国道50号から国道123号に入ったところにある。まわりを山に囲まれ、那珂川が隣を走っている。キャンプ場が併設し、そのためか、休日にはテントを張り、バーベキューを楽しむ家族連れが多く見られる。直売センターではバーベキュー用の食材、特産の赤ねぎなどを販売している。道の駅というと一般的に言えば、休憩のために立ち寄るというイメージが強いが、ここはそのようなタイプではない。前述のように、川原で遊ぶために、つまり、そこを目的として行く人が多い。屋内の休憩施設は特にないため、休憩目的で行く場合、適していないといえる。

道の駅もてぎ  

 宇都宮から水戸方面に向かって国道123号沿いを西に行き、茂木市街に入ると道の駅もてぎは見えてくる。ツインリンク茂木はそこから車で10分くらい走ったところにある。

 ここの駅の特徴としてあげられるのはその施設の大きさである。複数のレストランを持つほかに、農産物の直売店、花木類の展示販売を行う手作り館、もてぎ周辺の案内が見られる情報館、十石河川公園などがある。公園内の水遊び場などがあるため、小さい子供を連れた家族が多い。

 2.道の駅の表記について

 ここでは道の駅の地図上の表記について触れていく。 

2-1道の駅の階層化について『「道の駅」のあり方について考える研究会検討報告』より

この同報告において、「道の駅」の階層・タイプの明確化を行うべきだとしている。それについてここでは説明していく。

同報告によると、まず、階層タイプの一つとして、基本的機能のみの「道の駅」があり、これに加わる発展的機能の内容により、さらなる階層・タイプの区分が成立することとなる。つまり

支援を行う道の駅(以後支援型と呼ぶ)・・・地域に訪れる旅行者や地域住民が立ち寄って休み、様々な情報を入手する、地域のゲート、交流の場

目的地となる「道の駅」(以後目的地型と呼ぶ)・・・本格的な飲食施設や娯楽施設などにより駅自体が目的地となる

と区分する。 

ここで留意しておく点として、「このような階層・タイプは「道の駅」自体の質的な上下を示すものではなく、あくまで地域特性や立地特性応じた役割分担として実現する」ものであるということだ。

そして、「このような階層は利用者にとってわかりやすい情報として提供されることが必要であり、案内板の表示について、わかりやすい記号化、色分けをするなど明確な表示方法を導入する必要がある」としている。次に、なぜ、階層化が、そしてそれによる区分をわかりやすい記号化、色分けをするなど明確な表示方法を導入する必要がある」のか具体的に私が訪れた二つの駅から、考察していくこととする。

2-2二つの道の駅から表記について考える

 まず、この二つの駅を上記の階層化からすると、どれに分類されるのかを見ていく。

 道の駅かつらは目的型と分類される。上記のように休憩のために訪れるというよりは、そこで楽しむために行く人が多いためだ。また、店の構造、屋内での休憩場所がないこと、からも支援型といいずらい。だが完全に支援型としての機能がないわけではなく、例えば様々な情報を入手する、地域のゲート、交流の場としての役割もある。が、ここではそれはたいした問題にはなりえないので目的地型としておく。

 道の駅もてぎは支援型と分類されるだろう。確かに施設の充実度からそこを目的として行かないひとが多いわけではない。が、近くにツインリンクもてぎがあるということ、施設内でそれへのアクセスのサポート、チケットの販売が行われていることを考えれば支援型と分類して差し障りがないといえる。

 では、なぜ、これらの分類と、その明確な表示が必要なのかについて見ていく。

 一口に道の駅といっても、その土地の地方色を出すためだけではなく、その交通的立地条件から千差万別である。それはこの二つの駅について見ていっただけでもいえる。そして、道の駅に訪れる人の目的も様々に分かれることになる。だが、訪れる側にとっては今のところ、地図や、道の駅にある案内板からは、その道の駅の実態を窺い知ることができない。そこにはいわゆる道の駅が、ただあるだけだ。つまり、例えば運転に疲れ、仮眠を取ろうと、道の駅かつらに行った場合、そのニーズは満たされない。確かにインターネット、ハンドブックなどによりユーザーがそれらの情報について調べることはできる。だが現実で考えた場合、地図などで簡単にそれらがわかるほうが、便利である。

 3.身障者用トイレについて

 ここでは身障者用のためのトイレの数について、道の駅もてぎで思ったことを書いてゆく。

 道の駅もてぎでトイレを少なくとも二ヶ所あるのを確認した。もしかすると一ヶ所もうほどあったかもしれない。その中で身障者用トイレがあったのは一ヶ所であった。それは道の駅の施設のちょうど中央にあった。身障者用トイレがないトイレがないは情報館にあった。二つは50メートルほど離れている。そしてその二つは屋根などでつながっているわけではなく、完全に別個の建物である。雨の日、情報館で彼らが便意を催した場合,車椅子の人はずぶ濡れになりながら50メートル先のトイレに行くことになる。実際は彼らは普段からそのような状況になれてしまっているので(社会の構造的に)、できるうちに済ましておくだろうから、そのようなことは、恐らく、あまりないだろう。だが、我々トイレに不自由しない人が生理的にただ漫然とすることを、彼らは、いち早くそれを見つけ済ましておかなくてはならない。そのことを考えた場合、やはり、道の駅というのは「様々な人の使いやすさに配慮され」ているとは言い難い。

 トイレの数も「19、女14、身体障害者用1、母子用2」と表記されているが(この中で身体障害者が男にも女にも分類されていないというおかしさ、男女が共用せざることを得ないことなどいくつかの問題点が伺えるが)足りているのか。実際はどうなのか。また、アリバイ的に作ったのではないかと、邪推できる。

 確かにスペース、予算の問題などもあり増設するということは、よほどのことがない限り難しいだろう。ただ、使用者はどう思っているのか、そこが気にかかる。

 4.終わりに 調査について、今後について

 道の駅の表記について書くにあたり、『「道の駅」のあり方について考える研究会検討報告』を参考にし。この報告は平成十三年九月に出されたものだが、依然としてこのことについての動きはない。予算の関係のせいかわからないが、是非とも実施すべきだ。また、この実施できない理由などについて深く調べる必要があった。そこから予算の編成などで面白い一面、例えばその表記を変えるために必要なものは何か、『「道の駅」を考える会』の位置付けなど、が見られるのかもしれない。

 車椅子利用者のためのトイレについてはただの雑感となってしまっている。これについても掘り下げていけば面白いのかもしれない。今思いつくものとしてはそのトイレの数、設置箇所について、だ。

 全体として浅いものになってしまったことは否めない。が、新しい視点を得るきっかけにはなったのかもしれない。

 

 参考

 「道の駅」登録・案内要綱

 『「道の駅」のあり方について考える研究会検討報告』

以上二つ国土交通省道路局ホームページ内道の駅よりhttp://www.mlit.go.jp/road/ 

 ホームページ道の駅をたずねて何千キロ 「もてぎ」の案内 http://www.road-star.jp/michieki/kanto/tochigi/motegi.htm 

  同ホームページ 「かつら」の案内 http://www.road-star.jp/michieki/kanto/ibaraki/katura.htm