Oomiya030702 「余暇政策論」レポート
「グリーンツーリズムの現状と課題−(財)農山漁村都市交流活性化機構の事例から−」 013309 大宮 裕樹
1.グリーンツーリズムとは
日本のグリーンツーリズムは今から9年前、1994年に国内農村の危機を救うため「農村漁村滞在余暇活動促進法」が施行され、グリーンツーリズムの組織が各市町村にできました。主に行政主導型と農家自立型、第三セクター型、農協主導型、法人経営型などのタイプがある。一方、西ヨーロッパでは1970年代からバカンスを地方の村で過ごすということが行われていました。新しいレジャーとして日本ではまだまだ認知度は低いグリーンツーリズム(以下GTとする)ですが、Green(緑)の中でTourism(観光)をするという多様化する余暇のニーズに答えられる今後も注目のレジャーといえます。
人々が余暇をどのようにどこで過ごすかということは、人生をどのように捉え過ごすかという人の豊かさにつながると私は考えます。都市と農村の共生にも大きな役割を持つGTの現状と課題について検討していく。
GTは長期滞在ができて低料金自然活用型余暇であり交流ふれあい型接客などを特徴としていて、リゾート型レクレーション短期滞在・高料金・施設集約利用型余暇・ビジネス型接客とは異なっている。
2.都市農山漁村交流活性化機構について
目的
この機構は都市住民の自然・故郷志向に対応するために豊かな村づくりを進めようとする農山漁村の意向を踏まえ、都市と農山漁村の交流促進のために国民的規模の運動を展開して、農山漁村の活性化を図り国土の均衡ある発展及び自然と調和の取れた豊かで潤いのある社会の実現に資することを目的としている。 (平成15年度事業計画より)
事業内容
@美しい故郷・国づくり推進事業Aグリーンツーリズムの総合的推進B農林漁業体験民宿登録制度の普及推進C経営構造対策推進事業D食品の安全性の確保と地域食品の流通促進D畜産地域の振興E地域活性化支援事業F交流事業G広報・出版事業
理事 (都市農山漁村交流活性化機構寄附行為より)
日本生命保険代表取締役会長伊藤助成氏を名誉顧問、全国農業会議所顧問檜垣徳太郎氏(元農林水産省、天下り先?)を理事長として村長や町長、大学教授、企業の社長などを中心とし非常勤の理事が74名ほどいる。 (理事名簿より)
機構組織及び各組織事業内容
総理部、調査企画部、広報部、体験農業推進部(農林漁業体験民宿業者の登録やその施設の運営、情報提供、農山村側の相談、民宿業に関する調査などを行う)、都市交流推進部(全国GT協議会の運営その他の都市との連携や協力に関すること、都市住民の交流や農山漁村地域の活性化に関する人材の育成などを行う)、情報交流推進部(農山漁村のふるさと情報や交流に関する都市への情報提供、都市のニーズ情報の農山漁村側への提供、情報ネットワークの管理を行う)、地域活性化支援推進部(都市との交流、農山漁村の活性化による構想・計画の策定、事業評価などの支援業務、など村づくりの推進の関する業務を行う)、ふるさとプラザ東京(都市と情報の提供、相談業務の直接の窓口としてコーディネート活動を行う)。これらの組織で月に三度以上は研修会やシンポジウム、講習会が開かれて都市と農山漁村の交流を全国的に促進している。出版物は三十冊以上も出ていて毎月発行の雑誌「びれっじ」というのもある。7月からは農山漁村に「ふるさと応援隊員」を募集している。都市住民が農山漁村地域に滞在し、農村振興に関する構想や各種プロジェクトの計画作りへの参画を通じて地元住民との交流を深め、普段の生活の中では情勢されにくい農林水産業や農山漁村地域への理解を促進することを目標とする。また10月からは国際化に対応したわが国の農業と農山村地域の基盤強化のために「ヨーロッパの農山村振興対策事情及びグリーンツーリズム調査団」を派遣する。 (当機構各種組織の案内、平成15年事業計画より)
予算
収入合計が15年度は9億6千万円で昨年度予算より2億3千5百万円減収した。これは国庫補助金が大幅に削減され、農林漁業体験民宿特定事業などの減収が響いた。支出はもちろんちょうど9億6千万円なのだが人件費や都市農村交流対策事業や農産漁村振興対策費事業などの予算を去年よりも大きく減らしている。全体的に事業費予算を減らしていた。
4.都市と農山漁村の現状
昨今の厳しい景気の状況で農山村住民ニーズについて調べた。と生活文化と産業の保存、活用、また生きがい・雇用の場の確保・地域経済の活性化、女性の自立できるような社会システム作り、子供への地域ぐるみの教育、都市との交流による人間関係の拡大、市町村間の広域的つながりを高めたいなどがあげられる。都市住民のニーズも多様化しているゆとり・やすらぎが欲しい、安全で健康的な食事、農業など地域産業体験、地域文化・人とのふれあい、農山漁村地域資源の活用、農山村との連携、行政と共働などがあげられる。 (農林水産省の食料・農業白・農村白書による)
GTの課題 農村住民の積極的な参加、観光客のニーズへの対応、観光のためのリーダーつまりは農村での人材の育成、農村での基盤整備不足なところの整備(例えば情報利用推進)、一度限りの観光にしないで持続的な交流にすること、環境への配慮、地域格差を無くすこと。
5.グリーンツーリズムの課題
農村での新たな産業創出が期待されるなか、いっそうのGT推進が求められており、農家民宿などに関する規制の緩和などによる活性化が期待され、関係規則法の緩和、省認可などの手続きなどの情報提供などによる農家民宿の開業への手続きなどの情報提供などの条件整備が必要となっている。別な話題になるが、全国の農村で女性が起業するケースが急増している。その数はおよそ8千人で10年前の6倍以上に増えている。業種は直売所、加工品販売、農家レストラン等が多いが、新鮮で安全な食べ物を求める声が高まる中で、売り上げは右肩上がり。女性労働力の活用は、地域経済に大きな影響を与えている。
愛媛県の内子町では、情報センターを作って、在庫管理をしながら直売所で農作物を売り始めたところ、年間4億円近い売り上げを記録、生産者と消費者との関係までが変わり始めている。また静岡県天竜市の熊地区では、加工品の売り上げを女性たちが地域の高齢者福祉に使い始め、集落の新たな結びつきを生み出す事になった。具体的な事例は、ホームページを見ただけでも何千という種類がありそのことだけで今回の発表は終わってしまう。今後のグリーンツーリズムのあり方としては交流体験ばかりだけでなく、都市と農山漁村というお互いの立場の違いをたちが持続的に主体的に参加していくこと。これは新しい町村のあり方を探っていくことである。昨今の情勢でそれが許される時代になったですから、今までの旧体制以前の農林水産省を頭とする縦割り社会が崩壊して新しい住民が主的になって、地域を発展させることが求められている。
<参考資料・サイト>
「食料・農業・農村白書」 農林水産省
「農業を考える時代−生活と生産の文化を探る」 渡辺 忠世 著 農山漁村文化協会
「グリーンツーリズムと日本の農村」 宮崎 猛 編集 農林統計協会
「ばかの壁」 養老 孟司 著 新潮新書
「日本人はお米をどれくらい食べていたか」 本間 俊朗 著 山海堂
「生命を支える農業−日本の食糧問題への提言−」 石塚 喜明 著 北海道大学図書刊行会
「アメリカはなぜ嫌われるのか」 桜井 哲夫 著 ちくま新書
(財)都市農山漁村交流活性化機構のホームページ http://www.kyosei-tairyu.jp/
NHKクローズアップ現代6月24日付け http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku2001/0110-5.html