ohkubo030702 「余暇政策論」レポート

「宇都宮市の市営プール運営について〜スポーツ・福祉・教育・余暇の4つの観点から」 k010505 大久保

 

はじめに

  今年も夏がもうすぐそこまでやってきた。暑い夏ならではの、余暇の過ごし方として、海やプールで泳ぐことが好きな人は多い。とりわけ栃木県には海がないため、夏に屋外で泳ごうと思ったらプールに行くのが一番手軽な方法である。私が宇都宮市で暮らすようになって既に17年が経つが、私は夏の余暇の過ごし方のひとつとして市営プールを長く利用してきた。朝一番に水上公園プールの前を通った時に、あのカルキの匂いがすると私は「ああ、夏が来たのだな」と毎年思うのである。本稿ではスポーツ、教育、福祉、そして余暇という4つの観点から宇都宮市の市営プール運営について考察する。

 

 宇都宮市には水上公園プール、宇都宮駅東公園プール、市陽南プールの3つの市営プールがある。財団法人宇都宮市体育文化振興公社と宇都宮市教育委員会のスポーツ振興課よって運営されており、開設期間は71日から831日(準備等のため、職員と従業員は630日から現地で勤務がある)、利用時間は午前9時から午後5時までとなっている。利用時間については、平成13年までは午後5時から8時のナイター利用(高校生以上)もできたが、平成14年から廃止されている。運営期間のひとつである財団法人宇都宮市体育文化振興公社とは昭和56227日に宇都宮市によって、体育・文化施設の管理運営を行うとともに、体育文化の向上のための各種事業を実施し、宇都宮市の体育文化の振興および市民福祉の向上に寄与することを目的として設立された。(http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kyoiku/suposin/bs_ss/bs_ss_003.htm

市営プール以外でも、市体育館や弓道場、サッカー場、野球場、サイクリングターミナル、スケートセンター、緑地や運動公園の運営を行っている。

 

1 スポーツ・健康政策としてのプール運営

 水の中で泳ぐことは娯楽のひとつであるのと同時に、水泳というスポーツでもある。健康を追い求める近年の健康ブームの中で、健康増進のために水泳に取り組む人が増加した。水泳は水の浮力のお陰でジョギングなどの陸上のスポーツに比べ、足・膝・腰などの関節への負担が少ない。そのため運動の経験が浅い人や運動する習慣が途切れている、もしく運動の習慣そのものがない人でも関節を痛めるなど故障の危険性が低い。また、泳ぐことは全身運動であるため、必然的に全身の筋肉をバランス良く使うことになる。これにより特定の部位が筋肉痛になってしまう恐れも少ない。こういった理由から水泳は健康増進のためのスポーツとして適しているのである。

 

 そのための場所として、市は市営プールを提供しており、市民は安価な入場料でプールが利用できる。水上公園プールと市陽南プールでは、「遊ぶ」ためのプールと「泳ぐ」ためのプールがそれぞれ用意されており、各々が目的に応じたプールを利用できるようになっている。また、安全対策として監視員を置くだけでなく、2時間ごとに安全点検(1015分程度、利用者はプールサイドに上がらなければならない)を実施している。この安全点検は水質の管理やプール内の安全確保だけでなく、利用者に休憩を(半ば強制的に)とらせることによって、疲労による事故をも防いでいる。この安全対策により、市営プールでの事故は非常に少ないものになっている。

 

2 福祉政策としてのプール運営

 プール運営を実際に行うスタッフ(監視員、出札など)は数名の市の職員の他は、一般公募(毎年56月の広報「宇都宮」に公募の旨が掲載される)によって毎年集められている。この一般公募において注目すべき点として、60歳以上のいわゆる「シルバー人材」も採用の対象になっている点が挙げられる。限られた期間(7月〜8)とは言え、高齢者を対象とした雇用の創出に一役買っているのは見逃せない。しかしその半面で、プール利用者としての高齢者、障害者に対しては、建物自体が古い、専門のスタッフがいないなど、万全であるとは言えないのも事実ではある。この点に関して、2002311日の市議会の一般質問で、荒川つねお議員は「陽南地区のまちづくりの核となれそうな特徴ある社会資源は?とみてみますと、老朽化し、利用者も減少の一途をたどる市営陽南プールが泣いています。地域コミュニティの核、南公民館陽南分館も老朽化し、バリアフリーもなく、改築を今か、今かと待っています。そこで、両施設ともごく近い将来、改修計画等が俎上にのぼってきているのですから、タテ割を廃し、まず二つの施設の一体整備を行政と住民「協働」で進めたらどうかということです。陽南プールは温水プールとして整備し、あわせて地域コミセンも併設する。陽南プールは敷地面積が他の市営プールより小さいので、主たる競技用は他の二つに譲り、赤ちゃんから障害者、お年寄りまで、幅広い市民が利用できる今迄にないユニークなものにする。地域コミセンづくりも国の「わがまちづくり支援事業」が適用できるような世代間の交流機能や地域福祉やスポーツ文化の拠点の役割も持たせてゆくなど、複合施設づくりをめざしたらと思うものです。(氏の発言から抜粋)」 という発言をしている。(http://www.thinkjapan.gr.jp/~omoigawa/rsch/arakawa200203.pdf )これは、プールという公共施設が、福祉の場(資源)としてもっと積極的に活用できないかという興味深い意見である。

 

3 教育政策としてのプール運営

 学校教育(とりわけ小・中学校)における体育の授業で、欠かせないものの一つとして水泳の授業がある。平成14年までは中学生以下の利用者は大人利用者の約半額の入場料で利用が出来、第2、第4土曜日、日曜日は入場料が無料になっていた。また平成15年は中学生以下は原則として(いつでも)入場料が無料になった。市営プールは平成16年に料金体系を改定する予定であり、今回の中学生以下の入場料を無料とした措置は、それに備えた実験(管理費と入場料からの収益のバランスなどのデータ収集)であると思われる。しかしながら、もし料金体系の改定で、完全に無料で利用できるのではなく、利用料金の値下げという形になった場合、一旦は無料になったものに対して再び料金が課されるとなった場合の混乱が大きくはならないだろうか?その点については疑問が残るところである。 

 

 利用者にはあまり知られていない事だが、市営プールは貸し切り使用もすることが出来る。特に予約などの必要もなく、簡単な手続きで済み、且つ料金も安価なので、これを利用して、小中学生を対象としたスイミングスクールが開講されることもある。また、装置の故障や水質の異常など何らかの理由で学校のプールが利用できなくなった場合に代替のプールとして利用されることもあるなど、教育施設としての一面も持ち合わせている(この点は、運営団体の一つが宇都宮市教育委員会のスポーツ振興課であることが大きな要因であることは間違いないだろう)

 

4 余暇政策としてのプール運営

 ここまではスポーツ・福祉・教育などやや堅いの話題を扱ってきたが、人がプールに行く最大の原因はやはり娯楽であると思う。水の中に入って、重力や閉塞からの開放感は陸上では味わえないものである。人間もまたヒトという動物である以上、その根源は水である。動物ははじめ水の中に生まれ出るのである。太古の昔、生物というものが誕生したとき、やはりその場所は水の中であった。多くの人は(泳げる・泳げないは全く別にして)水に触れたいという欲求を持っているのだ。水に触れることそのものが人の欲求を満たす娯楽になり得るのである。

 

 市営プールは何回か料金体系の変更を行っているが、平成6年までは入場料を払って2時間が経過すると、その後30分ごとに(安価ではあるが)延長料金を払わなければならなかった。このため利用者はプールの中で時間を気にしなければならなかった。しかし平成7年からはフリータイム制が導入されたため、はじめに入場料を払えば、プールの利用時間(当時はナイター営業もあったため午後8時。現在は午後5)一杯まで利用が出来るようになった。利用者自身の時間が許す限りプールに入っていることが出来るようになったのである。それに伴って、従来は禁止されていたプールへの飲食物の持ち込みも許可されるようになった。また、前述(スポーツ政策)の通り、水上公園プールと宇都宮駅東公園プールでは「泳ぐ」人のためのプールと「遊ぶ」人のためのプールではっきりと区別されているため、自分の利用目的にあった利用ができる。こういったことよって、市営プールは娯楽の場としての機能を持ちえたのである。

 

おわりに

 以上のことから市営プールは、ただ「泳ぐ」ためだけの場所ではなく、スポーツ、福祉、教育、余暇といった様々な機能を持った、もしくは持ちうる施設であることがわかった。

 

 

<参照サイト>

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/index.htm

宇都宮市のホームページ。

 

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/menu/menu14_sporttairyoku.htm

上記ページの「スポーツ・体力づくり」のコーナー。各種スポーツ施設へのリンクなど

 

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kyoiku/suposin/suposin_14_sujyokouenpu-ru.htm

宇都宮市水上公園プール。所在地、利用時間・料金など

 

http://member.nifty.ne.jp/sakichi/pools.html

「河童っ子ホームページ 全国プール情報」公営のプールも含め、全国のプール情報が参

照できる。

 

http://www.thinkjapan.gr.jp/~omoigawa/index.html

「思川開発事業を考える流域の会」荒川つねお議員の発言資料はここを参照にしました。