早稲田大学 共通班 資料編

 

T.ガウ

 

(1)理念

 ボランティア事業と商店街の活性化をより円滑に有効的に結びつけるため。

 

(2)運営主体・流通開始

 NPO北町大家族(東京都練馬区ニュー北町商店街) 200110月〜

 

(3)方式・入手方法・使用方法

 紙幣方式・ポイントカードの併用。商店街イベントへの参加やボランティア事業への謝礼などで入手できて、ガウ=1円のレートで100ガウ札と500ガウ札がある。商店街の40店舗で金券として使用することができる。

 

(4)NPOとして実際に行っている事業

 @子育てのひろば かるがも親子の家

  「子育て中の母親の不安をなくす為の集いの場所」、「子育ての情報交換の場所」、「楽しい子育てを行う為の勉強を行う場所」の運営。

 

A高齢者の生き生きディサービス 北町いこいの家

  65歳以上の高齢者を対象。内容は手打ちうどんを作って食べる会、太極拳、習字教室、カラオケ教室、民謡と唱歌、健康相談、などバラエティに富んだ内容。

 

 B練馬区からの委託事業 生きがいディサービス

 いきがいづくりや介護予防を図るため、週1回、趣味活動・健康保持活動や昼食の提供などを行う事業。

 

 C相談情報ひろば 和みの家

 お子様づれから、お年寄り迄、気軽に集える場所。午後からは趣味の会を開催。

 

 D地域通貨「ガウ」発行事業

 上記4つのボランティア事業と商店街の活性化をより円滑に有機的に結びつけるために地域通貨「ガウ」(「かるがも親子の家」にちなんでかるがもの鳴き声から名付た)を発行。これは、「かるがも親子の家」「いこいの家」をはじめとしたボランティアの方々への謝礼として、また商店街の事業に活用している。

 

(5)経緯

   大型店の進出に伴い危機感を持った商店街の主婦たちが中心となり、地域への恩返しを始めた。高齢者へのデイサービスなど。その後、主婦4人でいこいの家を設立。高齢者に向けて、「集まれる場」の提供。徐々にその取り組みが注目を浴び、人が集まるようになり外部の識者・専門家からのアドバイスなども。結果、商店街の人達を巻き込み当時では珍しいNPO団体へ。登録の際の苦労も多々あったらしいが、法人化したことにより助成金なども貰えるようになり、信用度が増した。

 

(6)現地取材

・花屋

 客の利用頻度:低い。紙幣の方を単体で利用する客はほとんど見ない。ポイントカードを利用する客はそれなりにいる。

 利用者層:やはり地域の主婦や高齢者といったイメージ。ポイントカード客が多いので固定ユーザーばかり。

効果:月一回のまんてん市で溜まったポイントカードと商品(お米や蜂蜜)を交換できるので、人との交流は生まれている。

・書道用品店

 客の利用頻度:ほぼゼロ。(商品柄商店街の人があまり来ない)

 逆に利用者として:たまに手に入ったら団子屋で利用するくらい。

地域通貨が出来たことによる効果を感じるか:無い。

 ボランティア事業に関して:目的が不明瞭だし、行っている人も限られている。外から見るとイマイチ理解し難い部分も。

・コンビニ

 客の利用頻度:カードも紙幣も高い。

 利用者層:地域の主婦とかだけでなく中学生などの若い人も。上でやっている子育て事業などのアートプラザの影響ではないか。

・ハチミツ屋

 客の利用頻度:紙幣は月に若干。ポイントカードはそれなりにいる。

 利用者層:地元の人たちがほとんど。

 効果:商店街の人同士の繋がりには役立っている感じ。ボランティアとセットで効果あり。

 課題点:利用できる店の少なさ。運営者側の巻き込む大変さ。

 範囲:狭く感じる。

・団子、おにぎり屋

 客の利用頻度:単価が低いため頻度は高い。紙幣でも一日一枚以上は来る。

 利用者層:子供連れの主婦が多い。

 課題:商店街に生鮮食品を取り扱っている店が少ない為利用できる店が少ない。

    運営者側の人数の少なさ。巻き込むのが大変。

 効果:集計の人が全店と顔見知りになれる。

    ガウが出来る前と後とで売上の部分ではわかりかねるが、商店街の人の繋がりは感じる。また、地域通貨なら子供にも安心して買い物を任せられるのではないか。

    イベントとも関連して効果が出ていると思う。

   お客さんも喜んで、商店の人達にも役立っている。

 

                                              

 

U.ピーナッツ

 

(1)理念

人口が増え続け、開発さえしていれば経済が成長していた競争第一主義だったバブル時代から人口が減り、モノが余るような時代へと変化すると予想された1998年にピーナッツは始まった。ピーナッツはそのような競争でなく人々が助け合わなければいけない時代の中で経済的な余裕のある人だけでなく、ない人も楽しく幸せに暮せることが理念になっている

 

(2)運営主体

 ピーナッツクラブ(千葉県千葉市ゆりの木商店街)

 

(3)方式

ピーナッツは通帳方式をとっている。定義と同じようにサービスを受けたらマイナス、サービスしたらプラスを各自の通帳に書き込んでいく仕組み。通帳方式ということで最初にマイナスで始まっても良いというシステムをとっているので、ピーナッツクラブに加入したらその場ですぐに店で使うことができる。

このままだとマイナスがどんどん増えて、店側が損してしまうという意見があるかもしれないが、村山さんいわく「ピーナッツは助け合いではなく助けっぱなしのシステム。それで店が多少損したとしても、またこの店を利用してもらいたいと思って店とお客さんが顔馴染みになってもらうことが重要なんだ。」とおっしゃっていた。その言葉どおり、ピーナッツには決まり事がある。それは店でピーナッツを使ったら必ず店を出て行く前に店の人と「アミーゴ」と言いながら握手をするというものだ。これは何にも言わずに出て行くよりもはるかに店の人と客の人の気持ちを通じ合わせることができる。こうしてピーナッツは利益追求よりも人と人とのつながりを作ることに重点を置いている。

(4)経緯

創始者村山和彦さんは会社を定年退職後、都市計画のノウハウを活かした町づくりをしたいと考え、イギリス・マンチェスターで行なわれていた地域通貨に目をつけ、まずは村山さんの地元である習志野市の商店街で提案するもののそれまで前例があまりなく、認知度も低かったことから受け入れられなかった。そこで村山さんをはじめ、千葉大学教授などの町づくりの専門家で作られたNPO千葉町づくりサポートセンターの事業の一つとして西千葉にあるゆりの木商店街で試験的に行われることになった。しかし、ゆりの木商店街でも当初は美容院を営んでいる海保眞さんしか取りいれてくれなかったが、海保さんは「小さな商店街は何もしなければチェーン店に飲み込まれてしまう。」と考え一人導入した。

当初は試験的で頻繁には利用されなかったが、NHKで地域通貨についての番組が放送されたことを契機に、マスコミの取材などがゆりの木商店街にも来るようになりこのまま一応あるような状態ではいけないと考え、本格的に取り組みが始まり、海保さんの考え方が周りの店にも理解されるようになって現在は32軒でピーナッツを使えるようになっている。現在は千葉町づくりサポートセンターからは独立し()みんなのまちの中の事業としてピーナッツクラブが運営している。

 

(5)現地取材

・美容院

 客の利用頻度 正確な数字はわからないがおよそ3割程度

 利用する客層 学生は少なく一般の方中心

 

 海保さんの考えるピーナッツとは・・・

   人間関係を作るもの、例えばピーナッツを知って勉強しに来ることだってつながりのひとつ。本当にピーナッツで作りたいのは使いやすい店・使いにくい店・加入してない店であろうといつでも挨拶ができるような関係を作ることだ。アミーゴとピーナッツを使った後、握手するのはスキンシップがコミュニケーションをとるのに最も有効だから。

   しかし店がピーナッツに頼ってばかりいるのは一番いけない。店は店ができる限りの努力をしてそれでピーナッツを頼ればよい。

 

・イタリア料理店 

 客の利用頻度 およそ1

 利用する客層 一般の方が中心

※ピーナッツをデザイナーの方にメニューを書いてもらった代金代わりに使った。

 

木村さんの考えるピーナッツとは・・・

   ピーナッツは個人と商店、商店と商店において互いの能力を補えるもの。「人のために役に立ちたい、そして感謝したい」という気持ちでピーナッツを店で使えるようにした。住民にとってあたたかい地域を作る手伝いをピーナッツでしている。

 

(6)その他

@第三土曜市

   文字通り第三土曜日に商店街の小さな広場で行なわれる市のこと。この取引にもピーナッツが使えるが、ピーナッツを使わないで取引をすることも可能なので、地域の人たちの交流の場になっている。ピーナッツを使い方が分からない高齢者の方も参加しているそうだ。

 

A千葉大学生との接点

   ゆりの木商店街のすぐ横にある千葉大学とも交流がある。大学自体とは特に協力しあっているわけではないが、大学のサークルとの交流にピーナッツが使われる。例えば学内の放置自転車を学生たちが集めて商店街の自転車屋が直して貸しだしたりしている。

 

 

 

 

                                              

 

V.C−リング

 

(1)C−リングが生まれた経緯・目的・理念

   助け合いの気持ちの交流を促進し、住みよいまちづくりに貢献する仕組み・ツールを提供する。助け合いの気持ちの輪を広げ、事業者も参加する事などを通じ地域振興に寄与する。

 

(2)運営主体・流通開始・範囲

    ちがさきC-リングクラブ。200441日に地域通貨の運用を開始。使用範囲は市内商店街。利用可能店舗数は18店舗。

 

(3)方式・入手方法

    通貨の方式は通帳と紙券の併用方式。年会費を払えばだれでも会員になることができ、年会費と同等の額のC-リングをもらえる。

 

(3)うまくいっている点

  @熱心な賛同店があり、継続して協賛して戴けている。

  A地域通貨配布は、各種イベント、海岸、川の清掃や、商店街の落書き消しなどで組織的に行なっている。

  B少数ではあるが、地域通貨を受け入れて、ボランティア活動に感謝して地域通貨サービスを提供してくれる事業者がいる。

 

 (4)課題

  @賛同店のひろがりが弱い  A助け合いのコーディネーション機能殆どない

  B事務局無償スタッフ不足  C行政の仕組との接点が弱い

 

(5)経営面(資金はどのように調達し利用しているか)

  @熱心な協賛店からの協賛金

  A会員店からの年会費、会員の年会費  現在は黒字体質。

 

(6)サービス内容

  店での支払い時に5%分通貨利用可能、傘の貸し出しなど。申込書に、連絡先、助け合いメニュー(「助け合いで出来る事」、「してほしい事」)を記入し、この要望に一致する人との話し合いによって提供するサービスとそれに対して支払う額を決める。

 

(7)現地取材

・旬菜料理店

利用頻度:そんなに多くない。

利用者層:地元の40代から60代の方が主。

 

・衣料品店

   利用頻度:まったくいない。

   効果:感じられない。

 

・茅ヶ崎オリジナル商品、お祭り用品店

   利用頻度:今までで二人しかいない。

   利用客層:3,40代の方

   効果:あまり感じられない。

   課題:扱う店が少ない。

   問題点:10050など使える数字(額)が限られているから、使いにくい。店の商品の価格が高いので使う人がいない。

 

2008/11/28 早稲田大学 共通班 資料編

 

 

・酒店

  「地域通貨は普通のお金とは違う。私はボランティア主体と考えていて商業的な視点では見ていない。あるべき姿は通貨を通じた助け合いやサービスの向上であり、人と人とのつながりを通貨でバックアップすること。しかし、現状は一部の役員が地域通貨を割引券のように配っている。」

 

                                            

 

W.アトム通貨

 

(1)運営主体・流通開始

  アトム通貨実行委員会・アトム通貨事務局(学生主体)

20044月〜(第1期) 20084月〜9月までが第5

 

(2)設立

  20039

 

(3)方式・入手方法・使用方法

紙幣方式。アトム通貨が配布されるイベントへの協力や事務局主催のイベントに参加する、

加盟店へのマイ箸・マイバックの持込みなどで入手できる。

1馬力=1円で、加盟店で現金と同様に使用できる。

 

(4)流通範囲

早稲田・高田馬場の加盟店180店舗

 

(5)経緯

  早稲田大学ボランティアセンターのスタッフが地域通貨に目をつけたのが始まり。

地域通貨によって、早稲田という学生街で学生を巻き込んだ地域活性を狙った。

 

(6)現地取材

大学生協の店員

利用者数:1日に多くて10人くらい。利用者は学生が中心

問題点:試みとしては良いが、知名度に比べ、どこで使えるかわからないなど浸透しきってない。

 

三和クリーニング(大学近くのクリーニング店)

解答者=おじさん(早稲田大学周辺商店連合会の会長らしき人)

 

利用者数:かさの貸し出しの利用は70本中63本、ハンガーリユースは640本、通貨としての利用は10%。クリーニング店ということで、ハンガーリユースが多く、土曜になると地方の人がくる。利用者は学生や団塊の世代の人。

良い点お客さんじゃない人がお客さんになるところ。

  悪い点お店同士での循環がない(これが地域通貨としての本来の形じゃないか?と言っていた)。自身も、地球感謝祭というイベントでまとめて使った。学生主体ということで主催者が毎年変わってしまうため、毎年1からつくりあげなきゃいけない。

 

 

 

 

 

 

 キッチンミキ(大学近くの定食屋さん)

昨シーズンの利用数 100馬力×20枚・10馬力×60枚くらい使われた。

利用者は主に学生。

悪い点:アトム通貨が出回ってなすぎで扱いづらい

使用される店が限られて来る(つまりアトム通貨が特定の複数か所に集まってしまう)例えば弁当の袋をキャンセルしてもらえば10馬力あげているのだが、それをもらった人が10馬力を別のお店で使う、かつアトム通貨は使われる店に集中するので、結局アトム通貨を配付した店に通貨が戻ってこない

  

アトム通貨事務局の学生

良い点:知名度も上がり、昨今のエコブームなどで着実に流通量を増やしている。180店舗という母体数が正当性につながると思う。入手方法が多岐にわたっているため入手しやすい。学生が主催のイベントでもやろうと思えば配布できる。アトム通貨がボランティアなどの活動のインセンティブになれば良いと思う。

   課題:まだまだ使いにくいという声をいただくのでさらにもらいやすい、使いやすい企画を考えること。

 

                                            

 

X.アースデイマネー

 

(1) 理念

  「地球環境について考え、行動する日」としている毎年422日のアースデイを、一時的なイベントに終わらせないため、「毎日がアースデイ」というコンセプトの基、街路の清掃、NPOへの寄付などの支援を行う。

 

(2) 運営主体

 アースデイマネー・アソシエーション

 

(3)流通開始

200110

 

(4)入手方法

 @ボランティアやイベントで手に入れる  Aアースデイガチャで手に入れる

 

(5)使用方法 

1円=1rとして、約100店舗で様々なサービスが受けられる。(商品の割引など)

 

(6)方式

 紙幣方式&口座方式

 

(7)経緯

NPOが必要とする資源を供給し、社会のさまざまなセクターがNPOを育てていく仕組みが必要だと思い、アースデイマネーが生まれた。

 

(8)現地取材

heart  leaf  cafe(カフェ)」にて

サービス内容:アースデイマネーカードの提示または100rで10off

利用頻度は?:あまり使われない。最近は特に見ない。

利用者層は?:(青学が近いため)学生が多い。でも、学生だけということはない。

効果を感じるか?:正直効果はわからない。効果があるなと感じたことはないし、使う目的やシブカサの返却によってもらう目的で来た客はほとんどいない。

 

地域通貨をどう思うか?:効果はあまりないかもしれないが、自分の店を知ってもらえるきっかけになるからいい。

課題点は?:店をやっている自分たちが利用する機会があまりないこと。

 

 

WIRED CAFE 360°(レストラン兼カフェ)

サービス内容1会計につき50rまで利用可能。

利用頻度は?:近くのショップの店員さんが、ボランティアでもらったものをよく使う。

利用者層は?:主にショップ店員なので、わりと若い人が多い。

地域通貨をどう思うか?:ボランティアをやって得たものだから、使うときにボランティアをやったんだという証になるし、他の店で使うことで人とのつながりができてすごくいいと思う。

 

おまけ 青山学院大学の人に聞きました!

アースデイマネーを知っていたか?:知らなかった。

地域通貨をどう思うか?:何かしらのサービスが受けられるのなら使ってみたい。

ボランティアに参加してみたいか?:街の掃除とかは街のためにもなるし、その対価として地域通貨ももらえて、双方的に得になるので、機会があればやってみたい。

 

                                             

 

Y.てこな

 

(1)理念(『市川市における地域通貨利用モデル事業報告書』より)

@安全なまちをつくる

→自治会での防犯パトロールの推進

→新しい住民や自治会員以外の住民への参加促進

Aボランティア活動の活性化

NPO団体の活動への支援と新規会員の獲得促進

B住民の顔の見える関係作り

→既存住民と新しい住民との関係作り

    →地域活動の主導者と若い世代との関係作り

C地域通貨をきっかけとした地元商店への来店促進

    →地元商店街での積極的な購買促進及び衰退防止

 

(2)運営主体

 千葉県市川市

 

(3)流通開始

 200412

 

(4)方式・入手方法

住基ネットの普及も兼ねていたので、清掃活動や市のイベントに参加した人の住基カードの口座にポイントが配布されるという仕組みをとっていた。

 

 

(5)使用方法

 受け取ったてこなは市の中心にあるショッピングセンターでの買い物や市の博物館や動植物園で使用することが可能

 

 

 

(6)経緯

  てこなは政府の地域再生推進プログラムの一環で住民基本台帳カードを使った地域通貨の実証実験モデルとして選ばれ200412月から翌20051月まで市が主体となって行なわれた。期間が短いのは予算も実験期間分しか交付されなかったためだと思われる。その結果、実験終了直後は今後も継続していくと事業報告書で述べたにもかかわらず、地域通貨検討委員会も昨年解散になってしまった。(今は担当の方も異動になって話も聞けなかった。)

 

(7)現地取材

・鬼高自治会 

@市の姿勢 

地域通貨の本来の目的である地域交流には重点は置かずに住基カードの普及に力を注いでいたそうだ。

A他自治会との交流

市がそのような姿勢だったので、交流もなかった。

B大型店で利用可能

  市の中心部にあり鬼高自治化の近くにある大型ショッピングセンターの店舗の一部でも利用可能であったため商店街で使おうとはしなかった。

 

                                         

 

Z.LOVES

 

大和市/LOVES(大和市役所・NPO法人ラブスサポートセンター)
 20024月から経済産業省IT装備都市研究事業の指定を受けICカードにより開始。会員数は国内最大だったが2007年に終了。

 

大和市ICカードを導入したのは20024月。当初、ICカードリーダーを市役所をはじめとした公共施設95か所に約1000台設置した。ICカード配布枚数は約9万枚。ICカードの用途は住民情報系サービスと、独自の地域電子通貨「LOVES(ラブス)」系サービスに分かれている。

 住民情報系サービスは、ICカードを導入している自治体が通常行っている住民票・印鑑登録証明書の発行をカードで手軽にできるサービスのほかに、大和市役所に隣接する大和市立病院で発行した資格情報により、同病院で国民健康保険証に代用できたり、災害時は避難した場所のICカードリーダーに読み込ませれば、その場所が登録され安否確認に使用できるなどの機能がある。

ICカード利用の一環として、大和市が地域コミュニティの活性化のために普及を進めていたのが、「LOVES」系サービスだ。LOVESとは、「ローカル・バリュー・エクスチェンジ・システム」の頭文字からつけた名称。「してほしいこと」や「やってほしいこと」をラブを単位とする電子通貨でやり取りする地域価値交換システム。カード配布時にはあらかじめ1万ラブが入っている。ボランティア活動のお礼や不用品の交換、地元商店街でのサービスなどに使用できる。また、市の施設を予約すると、ラブがもらえる。