後期高齢者医療制度について考えよう

                    1H060150−8 小野智史

 

 

はじめに

 

ある日、私はいつものように携帯で「ゲンダイネット」を見ていました。すると「平成の姥捨て山!!」だとか「悪名高い医療制度開始」などといった見出しがトップ項目で出てきたのです。それを見て私はこの医療制度についてはじめて知りました。

そこでこの制度は実際はどのような制度なのだろうか、そしてこれまでの制度はどうであったのだろうかという事に興味を持ったので調べて見ました。なお、先日制度の名前が長寿医療制度に変わりましたが、今回の発表では後期高齢者医療保険で通していきたいと思います。

 

 

@制度が変わった経緯

 

では、本題に入ります。

現在、日本は着々と少子高齢化社会へと歩みを進めています。平成元年の時点では国民全体の4%ほどであった75歳以上の老人は増え続け平成29年には14%ほどになるのではないかと推測されています。そうなると、それに比例するように国民医療費における老人医療費の割合も増大していきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで国は考えました。

 

   このままでは、国民皆保険制度が破綻する恐れがある

                  

        いかに持続可能な制度にするか・・・

                    

       後期高齢者医療制度の創設が必要だ!!

 

ということで平成15年3月、小泉内閣は『高齢者にも現役世代との均衡を考慮した適切な保険料負担を求める』と閣議決定をし、18年の通常国会で提出された医療制度改革関連法案に盛り込まれ、20年の4月1日から後期高齢者医療制度をはじめました。

 

 

A後期高齢者医療制度の違い

 

さて、そんな後期高齢者医療制度ですが、いったいこれまでとはどこが変わり、どのようなところが変わっていないのでしょうか?これまで行われていた老人保健制度とも比べてみていきます。

 

 

   ○後期高齢者医療制度            ○老人保健制度

 ・運営は都道府県単位の広域連合      ・運営は各市町村

 

 

     ○広域連合と市町村の役割

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


・75歳以上の人すべてが強制加入      ・加入している医療保険はそのまま

                              残る

・証明証は後期高齢者医療被保険      ・証明証は保険証と医療受給者証、

者証                          健康手帳の3つ

・保険料は年金年額18万以上の人       ・加入している医療保険の収める

は年金から天引き、未満の人は個別

に市町村へ収める

・医療費の負担は1割、現役並み所得      ・同じ

のある人は3割

 

               

 

 

 ※医療費の割合

 

 

 

 

 

 

では制度を変えることによって一体何が変わってくるのでしょうか?

細かくメリットとデメリットをBで考えていきたいと思います。

 

 

Bメリットとデメリット

 

メリット

・担当医を決める。自分の症状や薬をすぐに把握してもらえる。

厚生労働省の担当の方に聞いたのですが、この担当医というものは強制ではなく、一度決めるとその医師にしか診察をしてもらえないというわけではないそうです。

 

・保険証1枚で治療が受けられる。

 

 

デメリット

・診療報酬。慢性疾患(糖尿病、脂質異常症、高血圧性疾患、認知証など)の治療をするときには1ヶ月600点の包括診療です。これは国が医者に払う報酬のことで1点10円で計算されています。1ヶ月600点の包括診療ということは国は1ヶ月に6000円までしか医師に報酬を払わないということです。これだと6000円以上は医師のほうの自己負担になってしまいます。これまでの老人保健制度では報酬に際限はありませんでした。

先日、八王子市役所に行き健康福祉部高齢者支援課の方から話を聞いてきたのですが、そのときに担当の方は、「600点までしか払われないということで医師の方々が治療をやめてしまうという可能性もある。医師協会はそのようなことは絶対にしないといっているが、最終的には医師個人のモラルの問題になってしまうと思う。600点は確かに少ない気もするけど。」とおっしゃっていました。

 

        保険料の個人単位保険料は個人単位で計算されます。家族の扶養家族であっても個人単位なので本人が払わなければならないということです。(扶養家族からの徴収は現在は免除をされており、実際の徴収は10月からになっています。)

 

・滞納。1年間、保険料滞納すると保険証が取り上げられ「資格証明書」が発行され、医療費が全額自己負担となってしまいます。そうなると病院に行かない(お金がないので行けない)重病死亡というふうに進んでいきかねません。今まで70歳以上の人には保険料滞納あっても保険証を取り上げることはありませんでした。

 

 

 

 C現在の状況

 現時点では、多くの人々がこの制度に対し、反感を持っているようです。民主党は頻繁にヒアリングを開き、共産党は街角で制度撤廃を訴えています。

 そんな中、自民党は差別ではないかと言われていた制度の名前をかえてこれからも続けていくつもりです。

 

 

まとめ

今日29日の読売新聞の一面に後期高齢者医療制度に移行したことで負担はどうなったのかという調査結果を発表していました。結果は7割の世帯の負担が減ったという結果でした。これは私としても多少驚きでした。同時にある地域では保険料が49%増というところもあったそうです。前制度の老人保健制度のときよりも半額ほどになった地域もあったとのことでしたからこの地域差にもびっくりです。これから先には今のところ徴収を免除されている被扶養者にも徴収が始まります。今の段階では未だに問題はあると思います。経済的に不安定であり、病気にもかかりやすい老人を切り離すような制度なのではないかと私は思いました。まだまだ改正が必要です。しかしながら、少子化も一向に改善に向かうこともなく、若者は国民保険も余り払っていない状況です。そんな中でもこれからもますます高齢化社会になっていくである日本では老人の医療費がどんどん増えていくことは明白なことでしょう。もし仮に後期高齢者医療制度がなくなったとすれば、私たち成人の保険料は大幅に上がっていくのではないでしょうか。そのとき今度は私たち払っていけるでしょうか。それはそれで問題になっていくだろうなと思いました。

 

現在、日本の患者負担は一般の人が3割、高齢者の人が通常1割と世界でも高い負担額となっています。諸外国と比べてみますとEUの国であるスウエーデンでは高齢者と18歳までは無料です。それ以外の国でも高齢者は無料という国が多いです。

日本はこれらの国に近づくためにも医療費を削減したりせず、増やしていくべきであると思いました。

 

 

 

 

参考・資料

八王子市健康福祉部高齢者支援課

厚生労働省ホームページ

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d.html

後期高齢者医療制度の仕組み

医療ハンドブック

国民健康保険の仕組み