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1H070115-5 有働潤一 「商店街からみる茅ヶ崎市の地域活性化」

 

 

1.研究動機

 

産業や人口、交通網などの東京への一極集中が進展している一方で地方の活力の低下が目に見える形で進んでいる。このままでは東京と地方との差は広がり続け、一極集中も限度をむかえてしまう。そうなる前に地域では何かできることはないか、また、現在はどのような取り組みをしているのかを調べてみようと思いこのテーマを選んだ。その中でも自分にいちばん身近な茅ヶ崎市の取り組みを見ていきたい。中間発表では地域通貨に焦点をしぼっていたが題名のとおり調べる内容の幅をひろげた。地域活性化といってもその変化を確認するのは難しいと思うが今回の調査で地域での取り組みについて調べて考察していきたい。

 

2.茅ヶ崎について

 

 はじめに簡単に茅ヶ崎市の市街地の状況を説明するとJR東海道本線茅ヶ崎駅の周辺は商業地、公共公益施設が集中している。線路を挟んで北口には大型店が出店し買い物客も多いが商店街中心の南口まで買い物に行く人はあまり多くない。市内の移動は自転車が多いため線路を越えるには地下道を通る必要があるので回遊性の不足もあり南口の買い物客の減少は顕著で空き店舗も増えている。そこで市が考えているまちづくりは中心市街地においてバランスに配慮した商業環境の改善・向上である。

 

3.商店街での取り組み

 

 このような現状で商店街はどのような取り組みを行っているのか。はじめに取り上げたいのは茅ヶ崎商店会連合会(以下商連会)である。茅ヶ崎には1800の商店、30の商店街があり、そのうち24の商店街がこの商連会に加盟している。茅ヶ崎市では商連会と地域の消費者団体や市民団体とのつながりが強くなり、この連携による商店街振興事業が進められている。そのなかでも「エコ・シティ茅ヶ崎」事業は環境に配慮しながら地域のつながりを強めるということを実現した。これらの取り組みは持続可能な地域発展という意味で注目すべき活動であると思う。以下に「エコ・シティ茅ヶ崎」事業の取り組みを紹介していく。

 

 一つ目の取り組みはリターナブルびんの推進である。簡単に説明するとビールやワインの容器を缶からびんにすることで何回もリユースすることができ、ゴミの量を減らせるというもの。商連会の酒屋もこの活動に参加しており、びんを酒屋に持っていくと5円が戻ってくるデポジット制やびんビールは重いので配達するなどのサービスを行っている。また、この商連会は市内の酒屋でリターナブルびんを使った、独自の「茅ヶ崎リターナブルワイン」を発売している。このワインのびんを酒屋に持っていくと50円のデポジットがある。大型店では流通や人件費を考えるとできないような地道な取り組みを商店街は行っていることがわかる。

 

 二つ目の取り組みは放置自転車などの有効活用。茅ヶ崎は平坦な面積が多いため自転車での移動が多い。その反面主に古くなった自転車の放置が増えている。それまでは処分されてきた自転車を使い、環境にやさしいエコ・レンタサイクルが実施されている。内容は商連会と自転車組合がこの放置自転車をまちで貸し出すというもの。料金は一回100円で市外から来た人が利用している。自転車屋だけでなく駅周辺の商店でも借りることができる。点検・管理は自転車屋が行う。しかし駐輪場の不足を解消しないことには放置自転車は減らないし、このレンタサイクルを借りた人も一時的に自転車を置いておく場所がないという状態になってしまい、利用者は増えないだろう。それに加えて、安全な自転車道の整備がこれからの課題になりそうだ。

 

 三つ目はマイバッグ推進の運動を取り上げる。茅ケ崎市・商連会・茅ヶ崎市大型店連絡協議会・茅ヶ崎市消費者団体連絡会・茅ヶ崎商工会議所によって組織された会議で消費者にマイバッグの利用を推進した。活動内容は毎月5日・15日・25日をマイバッグデーに定めマイバッグの持参を呼び掛けている。商店街だけではなく大型店もこの取り組みに参加している。店によってはオリジナルのマイバッグを販売しており、それを持参するとサービスを受けられるというところもある。実際にまちを歩いてみてもマイバッグを持っている人は多く、マイバッグデー以外にも持参している人を見かける。

杉並区のようにレジ袋の有料化を行うと客は市外に流れてしまう可能性があるので、有料化に向けては慎重な検討を行っている。

 

 四つ目はマイバッグの取り組みに関係して、不要になった傘から買い物袋を作る「エコ傘マイバッグ」という運動をしているので見ていきたい。市内のいろんな店で、折れて使えなくなった傘を集めエコバッグを作り、ひとつ200円で販売している。普段は精神障害者作業所のボランティアの方が作っているのでその団体に利益が生まれる。エコにも福祉にも役立つ運動だ。また家族で参加できるようなバッグ作りの教室も開かれ地域交流の場にもなっている。

 

五つ目は生ごみを堆肥化する取り組みを行っているので見ていきたい。これは商店街の協力店から出た生ごみを回収し別の堆肥場に持って行き、そこで6か月ほどおいてできた堆肥に名前を付けて商店街で売り出すというもの。しかし市内の農家はほとんどなくなり家庭菜園での利用者が多い。また堆肥をおいておく場所もなく、環境に配慮したエコな取り組みだがなかなか現状では難しいのが残念だ。

 

4.地域通貨

 

次に取り上げたいのは地域通貨である。これはC-リングクラブという団体が行っている、地域通貨を媒体に地域活性化をはかるというものである。この団体は200441日に地域通貨の運用を開始している。以下にちがさき地域通貨C-リング(ちがりん)の仕組みを説明する。

 

年会費を払えばだれでも会員になることができ、年会費と同等の額のC-リングをもらえる。この通貨を使う内容としてはモノやサービスの交換。例えば申込書に、連絡先、助け合いメニュー(「助け合いで出来る事」、「してほしい事」)を記入し、この要望に一致する人との話し合いによって提供するサービスとそれに対して支払う額を決める。他には通貨加盟店で買い物をする時に会員なら商品の値段の数パーセントを通貨で支払うことができ、また小品などのサービスをもらうことができる。

 

これらの仕組みを見て、はじめは店側にメリットがあるのか不安になったが通貨会員にサービスをすることで顧客を得ることができ、市内のイベントの際にはC-リングクラブが加盟店を広告しイメージアップにつながるようだ。ここでこの仕組みが重要視しているのは、人と人とのふれあいである。通貨が地域内を循環することで、出会いが生まれ、人々の間につながりができ、環境や福祉などの活動を助け合うことができる。また店の参加により円も一緒にまわり、地域経済も活性化するというもの。この通貨を通じてよい関係を築き顧客を増やす狙いもありそうだ。

 

5.まとめ・考察

 

普段、商店街に行かないせいもあってか、今回の研究をするまでこれらの取り組みについてひとつも知らなかった。商店街では環境に配慮した活動や地域でのふれあいなど、広い視野を持って積極的に取り組んでいることがわかった。人とのふれあいや地域ぐるみでのサービスなどソフトな面で地域活性化にむけて様々な取り組みをしているが、どうしても土地や交通などのハードの面で問題があるのでそこを克服するのは簡単ではないだろう。

 大型店の客占有率は70パーセントにも及ぶが、その大型店との協力で実現したマイバッグ運動は大きな成果をあげたように思う。

占有率からみると、占有率の低い商店街では小さなコミュニティーだからこそできるサービスを考案している。地域での行事などには商店街のサポートは欠かせない。地域活性化の重要な役割を担う商店街にはさらなる活躍に期待したい。

 

 

参考文献

 茅ヶ崎タウンネット

http://www.chigasaki-town.net/

 タウンニュース(茅ヶ崎版)http://www.townnews.co.jp/020area_page/03_fri/02_chig/chig_index.html