080619inoueatsushi
井上惇「地域問題における住民と行政の利害関係 〜江戸川スーパー堤防〜」
私が住んでいる
私がこの問題に興味を持った動機としては二つの理由があげられる。まず一つ目は上記の通り、住んでいる地域で一番ホットな話題であるからである。私の家の近所の家々には「スーパー堤防建設反対」や「税金の無駄使い」という旗が並んでいる。二つ目は私の姉がこの問題に関連している国土交通省に勤務しているからである。もちろん、姉の勤務する山梨県の甲府の事務所はこの問題に関係してはいないが、他の人と比べて身近に感じていたからである。
まず、スーパー堤防について説明しなければならない。
次に、住民の立場からこの問題を考えてみようと思う。住民はこの問題に対してもちろん反対という立場にある。ここでいう住民とは昔から北小岩に住んでいる老人、地主、お寺の住職が多い。彼らはなぜ反対しているのだろうか?それにはいくつかの理由が考えられる。堤防の拡幅工事をすると1800棟、約6000人もの住民が移転しなければならないのである。移転の時期が長く続けば、老人にとっては精神的につらく、さらに、計画予定範囲外においても工事中の騒音・振動・ホコリの問題に悩まされる。また移転する場合、工事や区画整理に伴った宅地の減歩(げんぶ)が起こりうる。減歩とは、区画整理では新たに整備する公共用地(道路・公園など)として、各宅地から土地を少しずつ提供してもらうことになることをいう。例えば、これまでの
それでは、行政の立場から考えてみよう。「
では、私が反対の立場にあるので、この計画の矛盾点や疑問点を考えていきたい。1.計画があるにも関わらず、計画予定地内に分譲住宅や老人ホームが建設されていること、2.国土交通省の「高規格堤防整備を実施する地区」には北小岩地区は含まれていないこと、3.すでに完成している平井7丁目のスーパー堤防ですら、0,7ヘクタール、73戸の範囲で最初の声かけから建物を除去し仮移転していただくまでに5年、地盤改良や盛土工事などを行い、スーパー堤防上に建物を再建し戻って頂くまで4年の合計9年を要しているのに、その80倍近い北小岩では単純計算で720年という、ありえない程の時間がかかってしまうこと、4.今までスーパー堤防の建設が行われていた場所というのは、人があまり住んでない地域(工場や公園があるところなど)で行われていたのに対し、北小岩は6000人もの住民がいる地域であるということ、5.江戸川には流量を制限する関宿水門というものがあるが、この水門は現在、老朽化のため機能を停止しているおり、この水門を修理したほうが予算は安いのではないのではないかということ、6.国土交通省がほとんど絡んでいないことがあげられる。1について、実際、私の家の前に長年あった駐車場も今は分譲住宅になってしまっている。建設には区の許可などが必要になるはずである。これには都市計画などが定まっていないことから、建築を規制する等の私権の制限をすることはできず、建物を建てられるご相談を受けた場合や、不動産業者や仲介業者には、現時点での北小岩地区のスーパー堤防とまちづくりの計画状況を伝えていると
では、住民側には問題がないのだろうか。今回までで調べた範囲ではあまり見当たらないが、あげるとすれば、1.実際に見たことがない人が多いということ、2.直接関係する世代である若者はあまり興味がないことである。1について、実際に見て意見が変わるというものではないが、2年近く経つというのにやっと見に行くという計画ができたくらいである。2について、計画予定範囲には2つの自治会・町会がある。前者には地主が多く住むので反対する人も多いが、後者には若者や普通の老人が多く、そういう住民は補償が少ないにしろあるのなら引越しをしたほうがいいと思ったり、家よりすぐ使えるお金を優先したいといった、反対する人は前者に比べて少ないのである。反対の旗の数を比べてみても、後者の町会に入るとあまり見られない。
私は今回のレポートにあたって、平井7丁目のスーパー堤防を見てきた。かれこれ3月から調べているが、実際に見たことがなかったからである。まず川沿いだが、やはり川まで開けており開放感があった。ここで私が驚いたことは、ここが堤防の上とは思えなかったことである。私は反対の立場にあったが、この完成度の高さには驚いた。しかし境目には財務省の官舎があるため、そこには手をつけられなかったのか、途中で切れており、5〜6メートルの高さの絶壁になっていた。これではもし越水した場合、逆に危険なところになるのではないだろうか。これで完成されているといえるのだろうか。
この問題に別の解決方法はないのだろうか。私としては他の予算がかからない方法を使うべきなのではないかと思う。確かにまちづくりされたら便利になるとは思うが、例えば京成線の立体交差化に関しては私の親の代からすでに言われていることであるし、もはやまちづくりは必要ないとも思う。私は緑も住宅も適度にある今のまちに満足しているので、防災のためなら、前述の水門や、盛土だけではなく、コンクリート壁などとの複合的な堤防を建設したほうがいい。また、地域問題においてはお互いの相互理解が不可欠である。私が思うに、住民側がかたくなに否定しすぎである。たしかによく調査されているが、意見交換会というより、文句を言う会のように会報をみる限りは思ってしまう。今回、行政側のニュースを読んでみたが、住民側の批判に答えようとしていた。
今回、前回と同じテーマということでさらに詰めなくてはいけないのだが、とても中途半端なものになってしまった。また、文章にするということの難しさを知った。次回は、おそらくテーマを変えてしまうが、時間をしっかりとってやりたい。
参考文献
江戸川河川事務所 江戸川スーパー堤防
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/works/saigai/sonae/super/index.html
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/sec_ensen/index.html
スーパー堤防・街づくりを考える会ニュース
「スーパー堤防・街づくりを考える会」運営委員会作成