080702nakada
四川省大地震と国際協力〜救助・医療を通して生じたもの〜
「はじめに」
災害に対しての国際援助では日中関係、またはもっと広範囲な国際関係・信頼関係が浮き彫りになりやすいと考えられる。さらに、救助・援助を通して国内外の外交関係に変化があることがある可能性があると考えられる。よって、2008年5月12日午後2時半(日本時間3時半)四川省の省都、成都の北西約150`のアバチベット族、チャン族自治州汶川県にてM7.8の直下型地震が起こったが、この地震を通して中国・日本の関係を中心に、国際関係を見ていきたいと思う。
「地震発生から」
日本政府は地震発生の翌日13日に中国側の支援要請を受け、緊急無償資金協力と毛布などの物資援助として総額5億円相当の支援を実施することを決めた。そのほかにも外務省は
支援物資を送る準備、国際緊急援助隊医療チームの派遣に向け、国際協力機構(JICA)や消防庁など関係機関と調整を進めている。また資金は国際赤十字(IRC)など国際機関を通じても提供される。緊急無償資金協力とは、供与までの手続きを簡素化できるため、緊急性を要する災害や民主化支援などで実施される。しかし報道官によると、大統領の申し入れに対し主席は謝意を表したが具体的な支援要請はしなかった。14日の時点では中国側が受け入れ態勢の不備などを理由に派遣を要請してこなかったため、一時は派遣を見合わせたが、政府は15日中国側の救助要員受け入れ表明を受け、消防、警察、海上保安庁、国際協力機構(JICA)などで編成する国際緊急援助隊を現地に派遣することを決めた。外務省によると、今回の地震で外国の救援チームを受け入れるのは日本が初めて。この受け入れについて胡錦濤国家主席の訪日などを受け、日中関係に配慮したという見方もできる。日本政府の国際緊急援助隊は16日朝、被害が深刻な四川省の青川県関荘鎮に入ったが、その後同県青川に変更し、ビル倒壊現場で捜索を開始した。団長の外務省国際緊急援助室の小泉崇室長によると当初活動を予定していた関荘鎮の現場は、土砂崩れにより深さ10−80メートル埋もれており、ビル倒壊など都市型の現場を専門とする日本の援助隊とはミスマッチだったという。17日新華社によると、日本のほかロシア、韓国などから計237人の国際緊急援助隊が各地で展開。中国四川省政府は18日、四川大地震の国際援助状況について報道資料を発表し「特に日本とロシアの援助隊の活躍が突出している」と賞賛した。19日、日本町村官房長官は中国・四川大地震で派遣した国際緊急援助隊の救援チームを日本に撤収させるとともに、中国側の要請を受け、新たに医療チームを20日中に派遣させる方針を明らかにした。中国国営通信の新華社は、四川大地震の被災地で救援活動に当たる日本の国際救援援助隊の動向を紹介、仕事ぶりを賞賛した。24日、温家宝首相は、日本の国際緊急援助隊医療チームに対し直接謝意を表明した。日本の国際緊急援助隊医療チームは6月1日、帰国を2日に控え、日本から持ってきた一部医療器材などを現地病院側に寄贈した。
(共同新聞5月13日〜6月30日参照)
「国際援助が与えた影響の考察」
日本の医療チームのモラル・レベルの高さは、中国国民に対しても好印象を残したと、現地の人のコメントで感じることができる。日本は地震など災害が多い国で災害に対する医療が他国に比べ確立しているといってもよい経験を生かせた国際援助だったのではないか。今回の援助では、救援物資を自衛隊のヘリを使っての輸送の予定のところを、中国国民の反発を懸念し、中国政府が難色を示し、チャーター機での輸送になった。この出来事も日本の真摯な国際援助を通して、中国国民も少しずつでも日本に好感を持ってもらえるようになれば、日本の自衛隊も中国国民に受け入れてもらえる日が来るのではないか。今回の四川大地震では温家宝首相の来日も影響してか、全体的に日中両国が歩み寄りながら災害を通して友好を深めた印象がある。特に、今回外国の援助を日本を最初に受け入れたということに中国の歩み寄りを感じることができた。日本も、地震発生翌日には援助の準備を進め、すばらしい対応だったと思う。これからも隣国として、もっと友好を深めていけるのではないかと感じた。
「最後に学習を通して」
ひとつの災害に対しての国際援助を調べていったが、国の対応などではさまざまなことが絡み合っての行動だったりと、新聞だけでは理解できないことが多かった。一つの外交を理解するには、それに至るまでの過程、周りの状況なども調べていかなければならないと感じた。今回は、新聞の文面上を追うだけでいっぱいになってしまったが、次回調べる機会があったら、それに至るまでの過程なども調べていきたい。また、どこの国民でも同じだとは思うが、もっと自分は日本人だという自覚を持って行動していく必要があると考えさせられた。自分が、海外に出たときはもちろん、日本国内にいるときも外国人にどのような印象を与えてしまうか分からないからだ。無理に良い印象を与えることはないが、良心をいつも忘れずに、今回の医療チームのように感謝されるような存在になりたいと思う。