080702miyamoto
「ホロコーストは実際にあったのか」
このテーマを選んだ理由
ナチスドイツによるユダヤ人の大量虐殺〜ホロコースト〜に興味を持ち、調べているうちにこの問題に行き着いた。ホロコーストが実際にあったのか、それともなかったのかという議論は今でもまだ繰り広げられている。私は当然あったと思っていたため、実際はなかったとする意見があるのを知り驚いた。それと同時に、なぜホロコーストが無かったといえるのかを知りたいと思い、調べることにした。また、逆になぜホロコーストがあったといえるのかも同時に調べ、両方の視点から、ホロコーストを見てみたいとも思った。
これらを紹介し最後に自分としての意見を述べる。
ホロコーストがなかったとする主張
ホロコーストがなかったと主張する人々は、ホロコーストの定説に疑問点や矛盾があるとしている。その一部を挙げる。
・「ガス室」と言われている部屋には、「毒ガス」を注入すべき穴が見当たらない。
・「ガス室」と言われている部屋には、処刑後、「毒ガス」を外部に換気排出する為の換気口が見当たらない。
・「焼却処分」後の「灰」が廃棄された場所が見当たらない。
・戦時中、連合軍機が上空から収容所敷地内を撮影した航空写真には、一枚も、遺体を焼却していたとされる「焼却炉」からの「煙」が写っていない。
などである。また、ヒトラー等当時のナチス指導部が、「ホロコースト」を決定し、各関係機関にその旨を指示通達した「公文書」が残っていてもいい筈なのに存在しないとし、ナチスドイツは大量虐殺という政策は持っていなかったともしている。
・「証言」では、「焼却炉」は24時間フル稼働していたのだということ。(焼却炉がもたない)
http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/html/history/honbun/holocaust.html(「ナチスはホロコースト等していない!!−−ユダヤ人600万人虐殺の真実」)
ホロコーストはあったとする主張
上記の疑問点に対する意見を挙げる。
・1944年8月25日に撮影された写真にはガス室が写っており、その屋根にチクロンBを投入するための穴があるのもはっきりとわかる。
・ナチスのガス室は、空っぽのコンクリート製の部屋であり、強制換気装置がついていたため、空気を入れ替えるには5分もあれば十分だった。強制換気システムが付いていないガス室もあったが、そこでは死体を運び出す者はガスマスクを着けていたし、そもそも運び出す役目をしていたのは囚人達であったため、残留ガスにより被害を被ることを倒して気にしていなかった。
・何百万人もの死体が焼却されたが、灰を始末するのはきわめて簡単だった。灰は野原や川に投げ捨てられた。灰に毒性はなく、むしろよい肥料となる。アウシュビッツの周囲の農民が人間の灰を畑に撒いたということが、詳しく記録されている。事実、戦時中撮影された航空写真には、絶滅収容所施設のすぐ外の沼沢地に捨てられた、大量の人間の灰とおぼしきものが写っている。
・アウシュビッツ上空の偵察飛行はごくわずか、きわめてまれにしか行われなかった。火葬施設が破壊されるまでの間に、1944年4月4日、5月31日、6月26日、8月25日、9月13日の5回しか飛行が行われていない。煙が写っていないというのは本当だが、それは飛行が行われた日に死体は焼かれていなかったということを意味するだけだ。
・焼却炉の規模は巨大だった。アウシュビッツには5つのクレマ(ガス室と焼却炉の複合施設)が存在した。それらの焼却炉は、特に、多くの死体を連続して焼く場合にすみやかに焼却可能なように設計されていた。焼却炉は三個の焼却室を備えるよう設計されていたが、ほとんど常に各焼却室に二体か三体の死体を入れることができた。犠牲者には多くの子どもがいたこと、極度の栄養不良状態に陥った収容者であったことも関係している。アウシュビッツ所長ルドルフ・ヘスは、それぞれの焼却室に二体か三体を入れるのが常だった、と証言している。
http://www.ss.iij4u.or.jp/~mitaka/nizkor/66qa_title.htm(三鷹板吉「三鷹食堂-66Q&Aもくじ-」)
これらを読んだ自分の考え
様々な両方の意見を見たが、やはり私はホロコーストはあったと考える。
ホロコーストの有無に関しては、様々な人物が白熱した議論を行っている。今回調べたことで、双方の意見を知ることが出来たが、やはり私はホロコーストはあったと思う。ホロコースト否定派は、ホロコーストには数々の疑問点や矛盾があるとしているが、論文を読んでいくとむしろ否定派の主張の方にこそ矛盾がある。また否定派の人物が著した本で、事実とまったく異なることが多く書いてあり、批判を受けているということもあった。
非人道的な行動をしてきたナチスドイツ。彼らがユダヤ人大量虐殺をしていた事は、ヒトラーを始め、彼の側近達の残した言葉、証言からも明らかである。それにも関わらず、なぜホロコーストを否定する人がいるのだろうか。数々の証拠が現物として残っているのにもかかわらず、矛盾のある主張を並べてまでホロコーストを否定する否定派の意図が私には理解できない。
また、否定派の意見として驚いたことがあった。それは「ヒトラーが考えていた事はユダヤ人を「毒ガス」で大量殺戮する事ではなく、ヨーロッパ域内に居住していたユダヤ人を、すべて東方(ソ連領内)に強制移住させることだった」というものだ。また「戦後、ユダヤ人たちは、パレスチナの土地に、『イスラエル』という自分たちの独立国家を樹立し、周辺アラブ諸国との間に、四次にも及ぶ中東戦争を戦った。その戦争と国家基盤の建設を支えた莫大な資金の多くは、『ホロコースト』によってユダヤ人を迫害・虐殺したとされたドイツからの賠償金だった。そう考えると、『ホロコースト』とは、『歴史的事実』等ではなく、多分に『政治的産物』・『宣伝材料』としての意味合いが強いと言えるのです。」とも言っている。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/html/history/honbun/holocaust.html(「ナチスはホロコースト等していない!!−−ユダヤ人600万人虐殺の真実」)
これは、実際にホロコーストの犠牲となった人々が聞いたらどう感じるのだろうかと思った。なぜこのような事が言えるのであろうか。否定派の人間はヒトラーを始めとするナチスドイツの高官たちのユダヤ人虐殺に関する証言や、現存する収容所を見て、それでもホロコーストはなかったと考えるのである。
毒ガスによる大量虐殺を否定し、そのためホロコーストはなかったとする主張もおかしい。虐殺の方法は毒ガスによるものだけではない。人体実験や強制重労働、銃殺、伝染病が蔓延するような劣悪な生活環境の問題などもあった。これらを虐殺と言わずして何と言うのか。これらもホロコーストの一環ではないのか。毒ガス問題にのみ焦点を当て、ホロコーストを否定するといった行動も理解しがたいものだ。
また、ナチス支持やホロコースト否定に関する話題はヨーロッパでは禁忌とされ、法律で取り締まる国もある。それほどまでに難しい問題なのだ。だがこの否定派の意見を受け入れようとしないかのような体制にも疑問点があると否定派の人間は訴えている。自分たちの主張が世の中に浸透しない理由はここにあると。
確かにこの問題は非常に難しい。否定派の主張に矛盾はあるが、それはホロコーストがあったとする主張にも全くないわけではない。しかし、今の状況から考えても、ホロコーストがなかったとする主張に行き着くとは少なくとも私には考えにくい。
それでなくてもホロコーストやアウシュビッツに関する文には事実と単なる推測とが入り混じっていることが多いのだ。これでは否定派が出てくるのも無理はない。
私はホロコーストはあったと考えるが、当時の過ちを繰り返さないためにも疑問点や矛盾は解決し、本当の真実を突き止めて実際に起こったことを知らせることが重要だと考える。
だがそれが難しいからこそこの議論は白熱しているのだろう。こういった問題を扱うのに一番怖いことは、無知な人間が勝手に語るということである。自分の主張を有利にする証拠だけを取り上げてホロコーストの有無を決めることなど出来るはずが無い。両方の立場の主張に耳をかたむけ、それらをしっかり吟味して判断するということが何より重要なのだと思う。