070504shoki準備 講義メモ

 

―憲法施行60年をめぐる社説の見解―(いずれも200753日付朝刊社説)

 

「この憲法が日本の民主主義や平和を支える基盤となってきたことは疑いの余地がない」

「地球温暖化や人口激増、グローバル化による弊害・・・・。さまざまに迫る地球上の困難に対し、省エネ、環境技術をはじめとする得意技で貢献する。・・・・・▽『戦争放棄』の第9条を持つ日本の憲法は、そのための貴重な資産だ。だから変えない。・・・・▽ただし、準憲法的な『平和安全保障基本法』を設けて自衛隊をきちんと位置づけ、『専守防衛』『非核』『文民統制』などの大原則を書き込んではどうか。憲法の条文から自衛隊が読み取れないという『溝』を埋めるための工夫である。▽国連主導の平和構築活動には、一般の軍隊とは異なる自衛隊の特性を守りながら、より積極的に加わっていくことも、基本法にうたうのがよい」

「テロとの対決も日米安保の重要さも分かる。だが、イラク戦争の誤りは語らずに『日米同盟強化』を強調するばかり。イラク派遣の自衛隊が一発の弾も撃たなかったことを喜びながら、集団的自衛権で血を流す覚悟を求め、軍隊を持とうという。実に分かりにくい話だ」

(朝日新聞「地球貢献国家をめざそう 9条生かし、平和安全基本法を」)

 

「憲法改正の具体的な論点は、既に明確になっている。憲法のどの部分が問題なのか。どう変えればよいのか。改正原案の要綱策定へ、論議を煮詰めることが憲法審査会の責務となる」「憲法制定時には想像もできなかった社会の変化に伴い、環境権、プライバシー権、犯罪被害者の権利など、新たな人権の規定が必要とする考えは、自民、民主両党に、ほぼ共通している。あいまいな『公共の福祉』の再定義や知的財産権の明記なども同様だ」

「しかし、憲法改正の核心は、やはり9条にある。▽北朝鮮の核兵器開発や中国の軍事大国化による日本の安全保障環境の悪化や、イラク情勢など国際社会の不安定化に対し、現在の9条のままでは、万全の対応ができない。日本の国益にそぐわないことは明らかだ」

集団的自衛権については、『持っているが行使できない』という自己矛盾の政府解釈を変更すべきだ。▽日本を守るために活動している米軍が攻撃されているのに、憲法解釈の制約から、近くにいる自衛隊が助けることができないのでは、同盟など成り立たない」

(読売新聞「憲法施行60年 歴史に刻まれる節目の年だ」)

 

「国民投票法案が整い、憲法改正案を現実に発議できるようになる意義は計り知れない。明治憲法も現行憲法もその制定プロセスに、国民は直接、かかわれなかった。憲法改正案が発議されれば、私たちは国民投票で意思を示すことができる。日本の歴史上初めて国民が憲法をつくる作業に参加する道が開かれる」

「憲法9条に関しては、政府が憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使を認める場合に、どこまで踏み込むのか。安全保障基本法の検討作業などを通じて、自衛隊の国際貢献のあり方や活動範囲の議論を詰める必要がある」

(日本経済新聞「還暦の憲法を時代の変化に合う中身に」)

 

 

「この60年間、憲法が国や国民の生命、財産を守るという国家の基本的な務めを果たしてきたとは到底言い難い」

「戦時でなくても、日本の国民の人権や国家の主権が侵害されてきたことは明らかであるのに、政治や行政はどうしてこのような国家によるテロ、犯罪を防げなかったのか。無為に見過ごしてきたとしか言いようがない」

「憲法改正が新たな段階を迎えるわけだが、改正の核心は戦争放棄と戦力不保持、交戦権の否認を明記した9条である。国の防衛は何も考えるな、とさえ読めてしまう内容だ」

「集団的自衛権は行使を含めて認められると考えるべきである。日米安保体制も、それを前提に構築されている。憲法条文上、あいまいさがあるとするなら、まさに改正により明確にするべきポイントといえる。▽日本占領中の連合国側が、日本の弱体化を図った時代に、現憲法は生まれた。当時は、激しいインフレの中で労働争議が頻発し、社会は騒然としていた。悲惨な戦争の経験から、恒久平和を願う国民が、結果的にこの憲法を受け入れたのも事実だ」

(産経新聞「憲法施行60年 日本守る自前の規範を」)

 

「(*安部首相のいう)『戦後レジームからの脱却』とはあまりに観念過剰で書生論じみている。もっと落ち着いた言葉で憲法問題は語りたい」

「日本の進路は難しい。政府は日米同盟の強化しかないという。自衛隊のイラク派遣は国連決議に基づく建前ではあるが、実態は対米協力の意味合いが濃い。数年前には考えられないことが憲法の枠内で実行されている」

「だが、北朝鮮問題に対処するため、あわてて改憲する必要があるのだろうか。米国に向かうミサイルを日本周辺の自衛艦が撃ち落とせるかなど、集団的自衛権の行使にからむ問題が提起されている。▽危機感は常に持っていなければならないが、現行憲法の認める個別的自衛権の範囲はかなり広い。北朝鮮の脅威に対処するのに十分な柔軟性があるのではないか。そして、なにより、6カ国協議の枠組みによる外交努力の問題だ」

国連加盟国が安保理決議に基づき集団で武力行使する『集団安全保障』と、個々の国が同盟国を守るため武力行使する『集団的自衛権』とは、まったく別の概念だ。混同して議論されている」

(毎日新聞「平和主義を進化させよう 国連中心に国際協力拡大を」)