070502shoki 講義メモ
「ソーシャル・エンタープライズ・ロンドン」の代表:アリソン・オグデンニュートン氏
(英国を代表する社会的企業の支援組織)
「多くは社会から排除されやすい人々を雇い入れるために斬新なアイデアを形にする。たとえば貧困地域におしゃれなレストランを開業し、職業訓練センターを併設する。そこでは地域に暮らす失業者に優先的に門戸を開き、センターで接客法や調理法を伝授」
「ロンドン市全33区と協力関係を築き、行政と地域との仲介役を果たす。カムデン区では最近、移民の中でも最も就業率が低いとされるバングラデシュ系の女性に焦点をあてた雇用創出事業を始めた。・・・・・・ロンドンで息づく多文化社会の融和にもつながると信じる」
「社会的企業は事業であげた利益を地域のために再投資するので、街おこしの担い手として最適だ。典型例はロンドンのテムズ川南岸に広がるコインストリート一帯の再開発」
「行政主導だと、巨大な公共住宅ばかり並ぶ無味乾燥な街になりかねない。行政は暮らしに彩りを与える飲食店の経営や地元の祭りの企画ができない。一方、利益優先の一般企業に任せれば、荒廃地域への投資を手控えるか、巨大な事務所群を建設し、利益を地域外に吸い上げられる。社会的企業が開発主体となって初めて、街は活気を取り戻す。人々が暮らしたい環境が生まれれば、行政や一般企業の投資も呼び込みやすくなり、行政、企業、住民の間に有機的なつながりが生まれる」「最大の問題は資金の調達」(2007年4月21日付朝日新聞「貧困解消、具体策は」)
スリランカ非営利組織代表のナンダシリ・ガマゲ氏
「NGOは外からお金や物資を集め、支援が必要な人々に与える。われわれは支援する側が同時に支援を受ける側であり、地域共同体の助け合いに根ざす組織、CBO(Community Based Organization)と言うべきだ」(同)
「グローバル化は本来、互いにメリットがあるものだし、そうならないといけない」
「平時のグローバル経済では、貧しい国や購買力のない国を放置しておくと、ツケが豊かな国にまわって世界経済全体の発展を阻害する。アフリカなどの最貧国問題は先進国の無関心による失敗の最たるものだ。日本がいくらトヨタ車を売ろうとしても、その国がゾウやラクダに乗るだけの生活なら売れないのと同じ。グローバル化の果実を得たいなら、豊かな国は貧しい国を支援し、どう底上げするかを真剣に考えないといけない」
「ポーランドでは、昔から教会や家族が支え合いの核だった。それはそう変わらない。ただ政府は、魚そのものを与えるのでなく、釣りざおを与えてその人に釣ってもらうやり方をすべきだ。働きたい人にその手段、場所などの環境を用意することだ。規制や面倒な認可手続きで、政府がじゃましてはいけないし、政府の役割も人々の意識も変わる必要がある」(2007年4月7日付朝日新聞朝刊「分裂にっぽん インタビュー グローバル化とどう向き合うか」)