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横澤光祐「連合・共同体とグローバリゼーション」
国と国との交流が盛んになり、ボーダレス化、グローバル化といわれる今、EU(ヨーロッパ連合)やAU(African Union:アフリカ連合)に代表される、連合・共同体の目的、力、役割は世界の様々な問題の解決において重要なものだと思う。しかし、問題が簡単に解決するわけではない。ここではEU・AU・東アジア共同体を取り上げて、その問題や将来を考えたい。
まず、連合・共同体の目的には政治的、経済的統合があるといえる。機構と統一通貨をあげる。
EU(現在25ヶ国)
機構
欧州委員会、欧州議会、欧州理事会、欧州連合理事会(閣僚理事会)、欧州司法裁判所、欧州会計監査院、欧州経済社会評議会、欧州地域委員会、欧州投資銀行、欧州中央銀行
統一通貨
ユーロ
ユーロは広く知られているだろう。
AU(アフリカ53ヵ国・地域が加盟)
機構
総会(首脳会議)、閣僚執行理事会、委員会、全アフリカ議会(PAP)、平和・安全保障理事会、経済・社会・文化理事会、
アフリカ中央銀行、アフリカ通貨基金、裁判所(予定)。
統一通貨
2001年時点での情報だが、「アフロ」というアフリカ版の単一通貨が導入されるという話があった。しかし、最近の話にはなく、まだ実現はされていないようだ。
東アジア共同体(参加国の範囲や参加国は決まっていない。)
まだできていないので機構はないが、統一通貨の話はあるようで、アジア通貨単位というものがあり、英語で「Asian Currency Unit」と書くことから、略してACUとも呼ばれている。東アジア共同体の統一通貨の基礎となるものだ。また、統合通貨「アセアナ」というものも出てきている。
これをみると、どれもEUをモデルにしていると思う。目的は同じところだからなのだろうか。
問題や将来を考えるカギとして、グローバリゼーションの有利性と不利性をあげたい。国の体制や状況によって、有利になる国もあれば、不利になる国もある。そこから国家の利害が生まれ対立を生む。有利な点は貿易の発展や技術の発達がある。また情報の発達もあり、世界の様々な情報が簡単に手に入る。世界は広いが、狭いともいえるようになっている。そのなかでまたEUのような地域が生まれ、その中では、人、モノ、サービスが自由に移動できるようになるなど、ボーダレス化、グローバル化が進んでいるといえる。不利な点は、主にグローバリゼーションの発信源がアメリカといえることにあるだろう。そしてグローバル・スタンダードはアメリカン・スタンダードともいえるようになっているのだ。また、文化の同化やアメリカ化も問題といえる。
もちろんEUのトルコ加盟問題、EU憲法などのように、連合内にも問題はあるのだが、EUに代表される連合・共同体は上の問題に対抗できる力になれるのだと思う。現にEUはアメリカに負けない経済圏をつけている。欧米的価値も保持できる。AUも巨額債務や各国間の経済格差などの問題を解決できるようになれたらアメリカと欧州に負けない力ができると思う。これは南北問題や南南問題の解決にもつながるだろう。そして東アジア共同体。まだ成立もしていない。共同体の可能性そのものを疑問視する声も。中国、台湾の国としての承認の問題・領土問題・歴史問題・中国の台頭等がある。が、もしできたなら日本とアメリカの関係も変わるかもしれない。アメリカがそれを危険視して手を打ってくるかもしれないが。それに関係改善の足がかりにも成り得る。
EUやAUなどの連合・共同体は、その地域内の問題解決、連合によってできる新たな問題も解決しなければならない。連合同士の対立も出てくるかもわからない。また、アメリカのみが大きな力をもつ状況をなくせる可能性もある。そうなると国連や外交でも変化があらわれるかもしれない。これからどうなるかわからないが、良い方向に進んでいって欲しい。