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国際学部国際社会学科1年 郡司 寿次
「イラクへの日本の自衛隊派遣は意味があったか。」
日本の自衛隊がイラクに派遣されてはや2年がたつ。混乱するイラク情勢の中、日本ではサマワへの自衛隊派遣の是非が問われてきた。この機会に自衛隊に関することを5つの視点から調べ、考え、そして自衛隊派遣は意味があったのかについて考えたい。
1.自衛隊派遣の理由
混沌とするイラク国内の治安を安定化し、フセイン政権崩壊後のイラクを民主化するための後方支援を手助けするため、アメリカからの要望もあったことから日本の自衛隊が派遣された。他の国々も規模の差はあるものの軍を派遣したことからその影響も受けたのではないだろうか。日本の自衛隊の派遣先はイラクの中でも比較的治安が安定化しているというサマワ。サマワ市民への救援物資提供、医療面の補助、治安維持、職の提供、公共施設の復興を目的として派遣された。
(詳しくは→http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1064318)
2.自衛隊の活動内容
上記に記した通り、自衛隊の活動内容はサマワ市民への救援物資提供、医療面の補助、治安維持、職の提供、公共施設の復興(特に教育面の支援)である。しかし、本当にその任務がきちんと遂行されているかが疑問である。なぜならば、メディアを通じて自衛隊の活動内容が報道されることは少なく、具体的な活動内容が分からないのが現状だからである。また、実際活動していても、サマワ市民のためになっている活動はまんべんなく行き届いているとは言い切れず、局地的になっているのが現状である。
(詳しくは→http://www.jda.go.jp/j/iraq/leaf/report/pamph_j.html)
3.日本国民は自衛隊派遣をどう考えているか
自衛隊の実際の活動内容を知らず、それに無関心な国民がほとんどである。幾人かの日本人が拉致・拘束され、殺害される事件が多発したことから自衛隊撤退の要望の世論が高くなった。また、「卑屈なまでにブッシュ政権に追随し、平和憲法の指し示す方向に違えてまで自衛隊を派遣させたのでは」などと批判の声が多くなった。日本自らがサマワに自衛隊を派遣した訳ではない、小泉総理がアメリカ(ブッシュ大統領)の言いなりになっただけで、背景に日米関係を良好に保つための目的があったからなのではないかと言う声も挙がった。
しかし、一部の国民から賛成の意見が挙がっているのも事実である。例として「イラク等のならず者国家を放置すべきではない。」と言う様に自衛隊派遣を反対とする人達は、イラクを見捨てていると考え、自衛隊は少しでもイラク復興の力にはなれていると解釈する者もいれば「日本の繁栄は日米同盟が基本である。」と言う様に今回の自衛隊派遣がブッシュ政権に追随したものではなく、日米の友好的関係からすれば当然のことだという解釈をする者もいる。
(詳しくは→http://www.minsyu.net/iraq/index4.html
→http://yurayura.mine.nu/resource/20040409proposition.pdf)
4.サマワの実状
当初、サマワ市民は日本の自衛隊がサマワに来ることを嬉しく思っていた。自衛隊が来れば、日本の企業も来て自分達に職を提供してくれるだろうと考えていたからだ。しかし、実際は職を提供してくれることはほとんどなく、支援活動は局地的で根本的にサマワ復興に直接繋がっていないことが多いため、自衛隊の活動とは裏腹にサマワ市民の自衛隊に対する不満は高くなり、事件が多発する。サマワ市民の間で日本の自衛隊はイラクの敵国であるアメリカに追随し、共同で活動を行っているのではないかという憶測が広がった。そのせいか、武装勢力が日本人を殺したり、人質にとり自衛隊撤退を要求する事件が起きた。サマワの治安がさらに悪化したのではないかと思われる。
(詳しくは→http://www.asiapressnetwork.com/depths/library/20041228_01_02.html)
5.自衛隊派遣の問題点
支援される側のことを考えず支援する側の自己満足で終わっていないだろうか。国が考えたと思われる自衛隊の活動内容とサマワ市民のこうしてほしいという要望がかみ合っていないように思われる。サマワ市民を後ろにまわし、日本が活動内容を独断的に決めてしまっているのが現状だ。一見、サマワ市民のためになっていると思われることが現実的には無意味に、場合によっては事態を悪化させていることがある。だからイラクの武装勢力は人を拉致し、最悪の場合殺したりする事件が多発するのではないだろうか。彼らの行為は、我々支援者に自分たちの支援行為がイラクにとって無意味(または期待はずれ)になっているというシグナルを発しているといってもいいのではないだろうか。だから今こそ支援される側の立場に立って支援策を講じる必要があるのではないだろうか。
日本政府は今月6月20日に自衛隊撤退を決定した。決定理由はイラク人自身によるイラクの政府を立ち上げ、日本のサマワにおける陸上自衛隊の部隊の人道支援、復興支援活動は、一定の役割を果たしたためとされているが、小泉総理自らの政権で派遣した部隊を、自分の在任中に撤収させたいという思いがあったからなのではないかという憶測もあり、真実はいかに。
(詳しくは→http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2006/06/20kaiken.html)