フェアトレードについて

                                                 国際社会学科一年小島久直

 

1:フェアトレード概要

まずフェアトレードを簡単に言うと「製造・販売にかかわる業者が、生産者に対して適正な賃金を支払う」というものです。これは当然のことですが世界にはこんな当たり前のことさえ守られていないことがあるのです。一応フェアトレードの定義は次のようになっています。「途上国の最貧層にある生産者が、社会、経済、環境面において望ましい暮らしをおくれるように充分に配慮した交易を行う。つまり、公平な取引条件のもとで、公正な報酬や対価を保証する。貿易の構造、仕組み、実際の取引のあり方や態度について、不公平がないかを確認し、不公正な取引をなくしてゆく。」(TFATによる)また、フェアトレードを取り扱う会社には透明性や、環境に配慮することなどが規約として決まっています。

 

2:具体的には

途上国の多くの地域に、豊富な自然資源と伝統の技術を持ちながら、商品開発のノウハウや商品を販売する市場の情報を持たない人々がいます。フェアトレードが支援するのは、この中でもさらに立場の弱い、農村部の女性や小規模農家、都市のスラムに住む人々などで、このような人々に現地の伝統的な技術を使った商品作りを提案し、それによりできあがったものを適正な価格で買い上げ、適正な賃金を支払うというものです。そしてものをつくることを通じて自立を果たすことができるよう、NGOやフェアトレード商品を扱う会社が共同組合して、消費者との橋渡しをします。また、商品は基本的に環境に配慮したもので、その土地に負担をかけないものになっています。

3:フェアトレードによる効果

基本的に貧しい国の人々はあまり向上心がありません。というのも生活で精一杯だからです。彼らの関心は明日の暮らしや今日の食べ物です。しかしフェアトレードによって日々の暮らしに充分な賃金が確保できれば、人々は生活における向上心を取り戻すことができます。井戸を掘ったり、衛生設備を整えたり、学校を建てたりして生活の基盤を築き、子どもたちは学校で読み書きを覚えます。こうして、地域発展のためのさまざまな活動が展開し、人々は人としてそんげんある暮らしを送れるようになるのです。

 

4:フェアトレードの行われていない地域の実態1

まず最初にフェアトレードが行われていないということは、適正な賃金が生産者に払われていないということです。そして当然ながら適正な賃金をもらえない生産者の生活は苦しいものです。一日12時間以上働かされ、家族6人で6畳程度の家に暮らし、それでも食べるのに困っている。さらに彼らが一番恐れているのは病気です。なぜならお金がないから。もし誰かが病気をしたら借金をしなければならないのです。

 

5:フェアトレードの行われていない地域の実態2

違法に働かされているのは何も大人のみとは限りません。子供が働かされている例もあります。悪質な業者が彼らを使う理由は大まかに分けて1、細かい作業に向いている。2、だましやすい。この二つです。こうして雇われた子供たちは、賃金をだまされ、そして外部の目に触れないよう隠され暗く閉鎖的な環境での作業を強いられます。また、中には半ば犯罪的に(誘拐、詐欺など)つれてこられる例もあります。それでも彼らには何の保証もないのです。

 

6:フェアトレードの始まり

フェアトレードの動きを辿ると、1940年代にアメリカでオールタナティブ・トレード(もう一つの形の貿易)組織として、NGO活動の中から始まったと言われています。また、1960年代をフェアトレードの始まりの起源とする説もあります。1967年までは最初期段階で、開発援助活動が中心のころです。第三世界から物品を購入し、販売する活動が既にありましたが、自立には経済的問題の解決が重要とするのはその後です。

 

7:フェアトレードの問題点

フェアトレード雑貨は一般のアジア雑貨に比べて値段が高い傾向にあります。現地の団体は雇用を生み十分に賃金を払うことを目的としていますので、現地の一般の業者に比べて輸出値段は高めです。本当は中間業者を排除することによって、この問題を解消できることになっていますが、輸入を手がけるフェアトレード団体は他の商社に比べて資金力に乏しく、また商品の性質上からも大量輸入が出来ないため、輸入コストが割高になっています。こうしてフェアトレード雑貨は一般のアジア雑貨に比べてかなり高い値段になっています。そして根本的なことですが、『フェアトレード製品』として売られているものが、本当に現地のNGOや非営利生産者団体から輸入されているものなのか証拠がありません。実際、フェアトレード製品として販売されている商品でも、現地の生産者組織が明示されていないケースがたくさんあります。別の問題もあります。フェアトレード雑貨の品質が一般のアジア雑貨の品質と比べるとかなり劣ることが少なくありません。商社の技術指導のもと現地企業の工場で生産される雑貨と較べて、フェアトレード雑貨は現地の生産団体が小規模で、技術的に未熟であるため、あたたかさがあるものの、品質に問題がある場合があります。なかには縫製などの市場で受け入れられるための最低限の品質管理さえ出来ていないものもまだあり、大きな問題となっています。

 

8:私たちにもできるフェアトレード

これまでフェアトレードについて述べてきたわけですが、残念ながらフェアトレードというものはまだあまり知られていません。しかし日本でもフェアトレードの製品を扱う会社はいくつか存在していて、私たちはその会社を通じてフェアトレード製品を買うことができます。まずこれが最も手早く身近な方法です。そして他にもフェアトレード製品を扱う会社はNGOが母体になっているところも多く、フェアトレードなどに関する勉強会なども開いています。ちなみに5月の第二土曜は「世界フェアトレード・デー」となっていて、世界約60カ国260団体が世界各国でキャンペーンを開いています。

9:最後に

フェアトレードというものを調べていくうちに労働問題や貧困などのさまざまなことも見えてきました。そして平行して調べていく内に、この問題はフェアトレードとの関係性は非常に強く、フェアトレードの発展途上国における重要性を認識しました。しかしながら調べてみるとフェアトレードとはまだまだ問題を抱えており、前途多難な面もあります。しかしながら我々が生きていくうえでフェアトレードは決して無視できないはずです。なぜなら私たちもまた消費者だから。考えてみればものを買うということはつまり間に仲介が入るにせよそれは消費者と生産者の間の取引です。そしてそれは公平でなくてはならないはずです。つまり、我々は自分たちが買い物をするときに生産者のことを考えていない。そんな現実が浮き彫りになっているのではないでしょうか。