下水処理問題について

K050122a   小玉 麻衣子

 

私が下水処理問題について調べようと思ったのは、それが身近な問題として私の周りにあったからです。私は秋田県出身なのですが、家の近くに悪土川という川があります。通学路にあったその川は、よく友達と寄り道した美しい川でした。それが今では、白くにごり、数年前には800匹の魚が謎の大量死をする事件までがおこりました。その原因だとは限りませんが、私は、私の地域には下水道がなく、生活廃水が全て側溝を通じて直接川へ流れ込んでいることに疑問を感じていました。日本の下水道の実態はどのようなものなのでしょうか。

 

1.         WHAT’S IS下水処理

(1)下水道の役割

     トイレを水洗化し、衛生的にする。

     家庭、工場からの排水を浄化、川や海の水質を保全する。

     浸水から街を守る。

  都市には舗装面が多く、地面に染み込まず窪地に溜まった雨が一気に川に流れ込むと氾濫してしまう。下水道により、水を管から一部地面に染み込ませ、またはいったん地下の貯水槽に貯め少しずつ川に流すことができます。

(2)下水道の仕組み

下水管には、雨水管と汚水管の二つがあり、雨は雨水管を通り河川に、家庭汚水,工場排水は汚水管を通り下水処理場へと運ばれます。また、下水を運ぶ方法には、それらが別々になっている分流式と、一緒になっている合流式とがあります。古くから下水道が建設されていた大都市では合流式の場合が多く、大雨になると汚水が川に流れ出してしまいます。

(3)下水処理場の仕組み

   河川などでは、石などに付着した好気性の微生物が有機物を分解しきれいにしています。下水処理場では、この自然界の自浄作用に倣い下水処理に微生物を利用しており、その方法は以下の二通りあります。

(@)浮遊生物法・・・好気性微生物を水中に浮遊させた状態で用いる方法。

(A)生物膜法 ・・・好気性微生物を石や板などに付着させた状態で用いる方法。

現在日本では、浮遊生物法の1つの標準活性汚泥法(処理効率が高い)が多く用いられています。

下水道から下水処理場に運ばれてきた下水はまず、最初沈殿池へ流れ込み、沈殿し易い汚い物質を沈殿させます。次に、反応タンクで、空気を送り込むことにより繁殖させた好気性微生物により、下水中の有機物がフロック(細かい綿のようなもの。)へと変えられます。そして、最終沈殿池をゆっくりと流すことによりフロックを沈殿させ、最後に消毒設備で消毒されます。こうして得られた処理水は、二次処理水(汚れ90%除去)と呼ばれますが、近年では富栄養化防止のため、窒素やリンなどを除去する高度処理を行う処理場も増えてきています。このようにして下水はもとのきれいな状態へと戻り、川へ、海へ帰っていくのです。

 

2.         MY  THOUGHT  ABOUT  下水処理

私は本当に下水処理について無知であったので、下水処理場での下水処理の方法にも何か問題があるのでは・・・と考えていましたが、調べていくとそこには全くとは言えませんが問題はないように思えてきました。環境によくないと分かっていても、一度便利な生活を手に入れた私たちにとって、そこから抜け出すことは難しいでしょう。下水道とは古くは紀元前インド、モヘンジョダロに始まる、人類の、分明と地球、両方と共生していくための素晴らしい知恵だと思います。

となると、やはり問題は下水道の普及率でしょう。昨年、平成16年のデータによると、全国の下水道普及率は667%で、少しずつ増えてきてはいるし、一見それ程低いようには見えません。しかし、詳しく見てみると、都市部(東京、神奈川、大阪、京都、宮城、福岡etc…)79割と比較的高いですが、47都道府県中約半分は50 %を下回るという現実が見えてきます。人口規模が低い、地方では、下水道が徹底されていないのです。諸外国(イギリス97%、スウェーデン・ドイツ93%、アメリカ71)と比べると、全体の67%自体が低い事実も見えてきます。ちなみに、栃木県は524%で24位、秋田県は453%で33位です。何故このような低い数字が出てしまうのでしょうか。

私の市では、下水道普及率は高くないですが、代わりに道路工事がとても多いです。下水道の建設、管理を行うのは地方公共団体です。地方公共団体は、国から予算を与えられていますが、それをもし使い切らないと、翌年の予算が減ってしまいます。加えて、下水道工事には大変な手間がかかります。そこで地方公共団体は、手間のかからない道路工事をし、来年度の予算を死守しているのではないかと私は考えます。お金がないと来年度何も出来ない訳ですから・・・。だからといって、このままのんびり構えていると、環境破壊、河川の富栄養化は日々進行していくばかりです・・・。

いずれにしても、国、地方公共団体そして私たちは、もっと真剣に環境に対しての意識を高め、下水道の急激な必要性を認識していくべきです。そのためには、実情を知ることが重要だと、今回調べてみて改めて思い知らされました。少しでも知ることで、自然と意識は高まっていくと思います。そういう意味では、私たちに深く浸透しているマスメディア(特にテレビ)も大きな役割を果たすかもしれませんね。悪土川が昔の姿に戻ることを祈っています。