2004年度前期 初期セミナー「国際社会を見る眼を養おう」

 

―担当教員によるコメント―

2004年7月21日)

 

各テーマをクリックするとPDFファイルが立ち上がり、内容をみることができます。

 

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 ―イラクの地理―

高橋 龍範

 

イラクを理解する上での基本的なデーター資料をコンパクトにまとめている。情報の質も高い印象を受ける。ここに書いてある情報を手元に置きながら、イラク問題を考察することは確かに有効であろう。しかし、このテーマ設定で書くにしても、何とか文章でつなげてほしかったし、作成者の問題意識の部分を盛り込んでほしかった。

 

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―イラク戦争の大義―

相馬 敦

 

イラク攻撃に踏み切ったアメリカの理由付けそのものを疑問視する。読み進めると、複雑な国家間の利害対立の根底には、粗雑で乱暴な屁理屈に近いようなものが存在するのではないかとも思わされる。だからこそ、このように正論を前面に出して考察することの意味があるのであろう。大義についての疑問の提示は事あるごとにこれからも提示していかなければいけないのであろう。たとえ、可能性や推測のレベルであっても、イラク戦争でアメリカが国家利害の側面から意図したところについて、大胆に仮説を追求してもよかったのでは。

 

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 ―チャラビ氏関連記事から伺えるもの―

松野 友美

 

  INCの議長であった人物に対するアメリカ政府の行動に焦点を絞ったがゆえに、かえって事の本質が浮き彫りになった印象を受ける。個人に責任の所在を押し付けるのは組織防衛の常套手段となっている。不正疑惑にしてもこの事実そのものを風化させてはいけないのであろう。大きな議論への目配りをしつつも、こうした一点突破主義的なやり方での情報の獲得と考察は、極めて大切である。

 

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―ブッシュ大統領親子とフセイン大統領の確執―

友清 愛

 

石油利権を基軸に、イラクとアメリカとの確執を描いている。湾岸戦争の背景説明が無駄なく凝縮され、説得力がある。後半では、石油をめぐる関係諸国に対するフセイン政権の排除・非排除の支配戦略と、これを押さえ込もうとするアメリカ・イギリスの対抗戦略とのぶつかり合いの構図も理解できる。石油をキーワードに、それが一国にもたらす富と利害、市場の影響力や国家の依存性、ひいては国際関係に及ぼすインパクトなど、興味は尽きない。

 

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―イラク戦争と自衛隊―

三崎 貴士

 

イラク問題をめぐる基本的事項を年表にまとめ、自衛隊やイラク復興支援職員が行う作業の内容項目を羅列しておくことの意味はある。しかし、やはりここで整理した内容をもとに、自分なりの視点でイラク問題に切り込んでいく必要があろう。

 

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 “ The Handover in Iraq

大宅 宏幸

 

イラク暫定政府の中核となる人物についてまとめ、外国軍部隊をイラク国内から撤退させる権限を実質的には行使できない状況を描いた上で、ポイントを治安の回復(=国内最大の課題)に置く。しかし、その見通しも、イラク軍の解体がCPA最大の失政と位置づけられほどイラク情勢は混沌としているのである。情報源をいったん自分なりに咀嚼した上で問題意識に照らし合わせる姿勢が一貫しているので、記述にぶれがない。「イラクの未来は暗闇に包まれている」とあるように、今後とも「解」を見出すのがほとんど不可能と思われるこの難題を敢えて正面から見据え続けてほしい。

 

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―イラク主権移譲についての動静と課題―

常川 久幸

 

多国籍軍について掘り下げて記述し、イラク国民に対する多国籍軍の「実績開示」が必要だとする。続いて、主権移譲の中身を考察し、そこに天然資源の取扱いをめぐる米英と独仏中ロの見解の差異が見え隠れしている点も指摘する。国家が個々の人間の集合体とし構成されている点をとくに重視し、人間精神に対する真摯な考察がなされてはいる。イラクにおける対応で求められる現実的な次元は、ここで述べられたことを具体的に実現するための手段や方策であり、そのことについての提案があってもよかったのではないか。

 

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なぜ彼等は、活動の地を海外へ求めたのか

―イラク人質事件と今後の国際貢献―

矢部 昭仁

 

問題意識が明確であり、最初のたとえ話しも興味深い。ここから自己責任についての作成者の見解が導かれる。しかし、それは一方的なものではなく、日本人であるがゆえに認識において欠落している部分と思われる点にも敢えて目を向ける。問題の所在とその解釈を感情的な一言で片付けずに、多面的な視点から捉えようとしている。作成者が行ったこうした向き合い方こそ、広く認識されなければならない。最終節で紹介されたいくつかの事例は、この問題を考える上で後ろ向きでない生産的な議論につながる重要な契機を提供している。

 

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―第2次大戦後におけるアメリカの対イラク政策―

埜田 悠介

 

年表は事実の羅列ではあるものの、本テーマのように特定の視点から提示されると、アメリカがイラクやイランにどのような意図を持って介入してきたかが見えてくる。歴史的事実の積み重ねそのものが論拠となるのである。ここでの素材を仔細に観察して、考察の結果をぜひ示してほしかった。

 

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イラク暫定政府における省庁機能の課題

―「青年スポーツ省」に注目して―

中村 祐司(担当教員) 

 

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