040414shoki 講義メモ(中村祐司)

 

<イラク問題について>

 

アブデル・バリ・アトアン氏(アルクドウス・アルアラビ紙編集長)の発言

04318日付朝日新聞「イラク復興と世界」)

 

「イラクでの反米活動は、従来対立してきた『世俗的なアラブ急進派』と『イスラム原理主義』が史上初めて手を結んだ結果だ」

 

「フセイン(元大統領)は確かに独裁者だった。乱暴で残忍だったことに疑いはない。だが、イラクはややこしい国なのだ。統治するには強大な権力を必要とする。米国はフセインという一つの問題を解決しようとして10個の別の問題をつくった」

 

民主主義の実験場として、イラクは最悪の選択だ。内部が分裂しすぎて、民主化には最も向かない国だからだ」

 

「イラク戦争前、国際社会は極めて正しい道を歩んでいた。査察団を送り込み、その活動によってフセインの大量破壊兵器開発計画は解体された。国連の『石油と食糧の交換計画』のお陰で、彼はもはや、国内を自由自在に操る能力を失っていた。末期には外交圧力にさえ従うようになっていた。怪物はうまく封じ込められ、脅威といえなくなった。査察を続けていたら、フセインはさらに孤立し、改革と民主化、人権尊重を受け入れざるを得なくなっていた」

 

9611月、アフガニスタン東部でのインタビューで、オサマ・ビンラディンは私に『米国まで出かけて戦えないのが残念だ。もし米国をアラブの国まで引きずり込めたら勝利できるのに』と話した。彼の夢が今、実現している。米軍は彼が待ち構える中東のど真ん中にやってきた。米国と戦うため、世界中からイスラム戦士が続々集まっている」

 

(*制定されたイラク基本法をどうみるかという質問に対して、)

「イラク人がイラクのために行動するのではなく、イラク人が米国の目的に沿って行動するよう定めたものだ。米国は630日を主権移譲の締め切り日と設定した。そこで引き揚げるつもりだ。米軍ヘリが落とされた後のソマリアのように」

 

「米国人はその日がきたら、こう告げるだろう。『どうですか。ちゃんと暫定憲法ができたじゃないですか。統治評議会もありますよ。これで私たちの任務はおしまい。バイバイ』。そして残されたイラク人同士で内戦が始まる」

 

中東全体から発想すべきだ。まず、米国は中東政策を転換しなければならない。テロとの戦いを口実にイスラムを敵視するのをやめる。腐敗したアラブ諸国の政府でなく、市民と対話を進める。投資を促進して健全な経済を育成し、民主主義と人権意識を広め、パレスチナ紛争の解決を目指すのだ」

 

「米国は中東に関して石油とイスラエルにしか興味がない。/////米国が出ていくと一時内戦になるだろうが、それほど長くは続かないだろう。その後は国連が再建に当たり、雇用を創出し、民主化を進めればいい」