030709
rona「初期セミナー」レポート
「私的日中インターネットの比較」 k030161 呂娜
1.
情報のコントロール
最近、話題になっている新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)のニュースが三月の始めの頃に日本では全国的に放送された。しかし、中国からの留学生である私は国から日本に戻ってきた時そのことについて何も知らなかった。そしてインターネットで中国のホームページを調べてみると、そういう記事を見つけられなかった。一方日本では、テレビや新聞などは言うまでもなくインターネット上でも、それがほとんどトップ・ニュースになっていた。
一体なぜ、中国側は民間に伝えなかったのか。それは、中国では情報を隠していたからだ。「情報の隠蔽による影響は中国だけの問題ではなく、全世界の問題になってしまう」という指摘も各国からなされている。一方、日本側は情報が入り次第、素早く国民に伝えていると、約一年半日本に居る自分としては深く感じた。
中国で皆によく知られているホームページを覗いてみると、ページが開いた瞬間、携帯電話や相手探しなどの広告が目に飛び込んでくる。全体を見ても、占いや出会い系のことが多く、また自分が興味をもった事や知りたい事の情報があまりにも少ないという気がする。一方、日本のホームページを見てみると、まず最新のニュースが目に入り、そして各分野の内容が細かく調べやすいと感じた。なぜこのような違いがあるのか?やはり中国では自分の国の情報を簡単に流さずに、コントロールしているのではないかと私は思った。
ある調査によれば「中国のインターネット言論統制の厳しさは世界一」という実態が明らかになった。内容には政治、宗教、経済、医療、インターテイメントの分野、さらにはニュースサイトなど、実に広い範囲でインターネット利用に統制が敷かれている。つまり、反政府、反社会的な情報の流通は許されていない。法律という点では規制がほとんどないのだが、事実上政府のコントロール下に置かれているのだ。
さらに、国内の電話事業者は全て国営企業であり、誰がインターネットを使っているかを調べようと思えば調べることができる。中国政府はあくまで情報コントロール権を手放そうとしないようである。
2.
インーネットの普及
総務省は2002年末の時点で日本のインターネット利用者数が5593万人に達し、人口普及率が初めて50%を突破したと発表した。一方、中国のインターネット利用人口が5910万人に達した。最も多い米国は1億6000万人以上と見られ、日中で2位を争う状況となっている。
しかし、中国の家庭でインターネットを利用する人の数は日本に比べまだまだ少ないという現実になっている。なぜなら、現在中国の生活水準を見ると一般の家庭でパソコンを購入するのは難しいことではないが操作上の問題がある。その問題の幾つかの原因を見てみよう。一つ目は、せっかくパソコンを買ってきても、使えないと意味がない。両親がパソコンに弱いためお金を払い、使い方を子供に覚えさせる。また、分からない時や故障があったとき、お金を払わなければ解決をしてもらえない。そういうことを考えるだけでパソコンを買うのは大変だと思われ、やめてしまう人が居る。
もう一つ目は、子供たちがインターネット・ゲームに夢中になり、勉強を妨げるのではないかと心配をする両親も少なくない。一方日本では、家にパソコンがあるのはごく普通である。私的経験では、知り合ったばっかりの友達は電話番号だけではなく、メールアドレスも必ず教えてもらう。名刺に自分のホームページのアドレスを載せることもめずらしいことではないようである。また携帯電話を通し、インターネットを利用するのも日常生活に欠かせないものになっている人が多い。それはまさにインターネットができないと人間関係もうまく行かないし、ビジネスも成り立たないような気がする。
3.インターネットの影響力
インターネットに費やす時間が増えるほど他人とのコミュニケーションをとらなくなる。その結果、孤立してしまう。日本では学生たちが家に引きこもり、不登校ということが最近話題になっている。調査によると、その結果、半数以上が長時間インターネット・ゲームを行うことが分かった。原因を考えてみると現実世界でできなかったことを仮設世界で叶えられる。だからそこで安住してしまう。
しかしながら、最後には仮想した世界から戻らなければならないひとたちは現実世界を直面することができないため、インターネットを通し自殺サイトを作る。自分で死ぬのは寂しいから皆で一緒にこの「生き甲斐のない世界から離れていこう」という集団自殺事件が相次いでいる。また、児童売春・児童ポルノ法律違反事件の発生を抑えるため「出会い系サイト規制法案」が日本国により定められた。こういう同じような事件では、近年中国においても問題点として議論されている。今まで、想像もつかなかったことがインターネットの普及によって問題が絶えず発生している。
4.終わりに
ネットで役に立つ情報を手に入れられる一方、悪い影響をもたらす負の情報も共有してしまう。そもそもインターネットは世界中の人々と交流をする媒介だったが今では、もはや殺人の便利な工具になってしまった一面もあるように思われる。
人類はネットの世界で生きていくのはさまざまな点から言えるだが、今後日中両国の友好関係を深めるためのmp新たな姿勢でインターネットを見ていく必要があるだろう。
<参照サイト>
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/12/05/09.html
「中国のインターネット言論統制の厳しさは世界一」のページ。実地調査、実態が明らかにされている。
http://www.mainichi.co.jp/digital/netfile/index.html
「インターネット事件を追う」のページ。最新ネット情報ならここへ。