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木田綾香 「消費税増税について―それに伴った地方行政の動き」

 

 2012年現在、民主党の野田佳彦氏が日本の総理を務めている。その野田佳彦総理は、今後消費税率を上げることを推進している。2011年12月30日税制調査会において、

「消費税については2014 年4月1日より8%、2015 10 月1日より10%へ段階的に引き上げることとしております。」というように、増税の可能性が更に高くなった。3.11の震災によって更なる財政難が日本を襲っているのはわかっているが、苦学生である私も財政難なのである。そのような私にとって、日常生活に直結している消費税率が上がることはとてもつらく、更なる財政難が予想される。増税に批判的なのは私だけではなく、世論の意見もある。「毎日新聞が21、22両日実施した全国世論調査によると、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げるとした政府・与党の素 案について「反対」が60%に上り、「賛成」は37%にとどまった。」このような世論調査の結果がある中、増税分がどのように使うかという道筋をしっかりと示さないといけない。今年の新聞に、「政府は消費税率を5%引き上げた際の使い道を、全て社会保障に充てるという統一見解を示した。」というのがあった。昨年6月の社会保障と税の一体改革成案で、社会保障とは関係のない公共事業や防衛費にも、消費税収入の一部を回すと説明していた。増税分を年金や医療などの社会保障に回すという政府方針と矛盾するため、今回説明を変更したのであった。いかに国民を納得させることができるかが今後の大きな課題の一つである。

 

 では本当に消費税率が上がるとして、どのようなことが起きるか、少しここで日本の数字の現状に触れながら考えることにする。平成23年度当初予算において、一般会計歳入額内訳は、92兆4116億円である。割合として、租税及び印紙収入が40兆9270億円で44.3%、公債金収入が44兆2980億円で47.9%、その他収入7兆1866億円で7.8%ということになっている。消費税は租税及び印紙収入の部分に含められ、割合は11.0%で10兆1990億円となっている。現在日本の消費税率は5%で、先ほどの消費税の税収から計算すると、消費税1%は2兆円に相当する。消費税が5%から10%に上がると、単純計算で10兆円もの税収が増えるということになる。たった1%でもとても重みがあるのがわかる。今回「地方」がテーマでもあるため、国の財源が増えたとして、そこから地方にはどのような恩恵があるのか、増税した場合の地方配分に注目したい。朝日新聞では、「野田政権は29日、消費税率を10%まで引き上げた場合、増税分5%のうち、地方に1.54%を配分することを決めた。地方単独事業としている予防接種やがん検診、乳幼児検診なども消費税の配分対象に認めた。」という記事を出している。財務、厚生労働両省は当初、地方への配分を1%程度の意向であった。地方への配分が増えるとして、各地方の行政の増えた歳入の使い方に注目していきたい。

 

各地方の財源が増え、その財源の使い道の選択肢広がるであろう。その際、やはり市民が快適な生活を送れるような取り組みに財源をあてていただきたい。今でも各地方の行政が様々な取り組みを行っていて、財源が増える前の段階にいる現在において、どのような活動が行われているか知っておきたいと思う。ここで、今私が住んでいる宇都宮市に焦点を置くとする。

 

活動を行う前に予算を決めなければならない。宇都宮市の平成23年度当初予算のポイントとして次のものが挙げられる。「平成23 年度当初予算は,第5次総合計画を着実に推進し,魅力と活力あふれるまちを築いていくため,喫緊の行政課題である「子育て支援の充実」,「中心市街地の活性化」,「産業力の強化」の3つの分野に優先的・重点的に取り組むとともに,市民生活の安定化や企業活動の活発化に向け,「市内経済の活性化」に積極的に取り組みます。さらに,それらの取り組みを下支えする「行政経営基盤の強化」に取り組みます。」私が上記の中で、特に気になったのが「中心市街地の活性化」についての課題である。それぞれの課題の中に取り組みがあり、「ACTION 中心市街地の求心力の向上」、「ACTION 風格ある中心市街地の整備推進」、「ACTION 自転車を活用した中心市街地の活性化」といったものが、3つある。ここで私は、「ACTION 自転車を活用した中心市街地の活性化」について取り上げたい。

 

車を持っていない大学生の私は、宇都宮において、自転車は日常生活で必需品なのである。私だけではなく、多くの宇都宮大学の学生にとって、自転車は重要な交通手段になっている。また、間接的ではあるが、競技用の自転車に触れている身としても興味があるため、自転車を活用したこの取り組みに今回焦点をあてる。自転車を活用した中心市街地の活性化を目指し、その内容として「自転車のまち宇都宮」の推進、ジャパンカップサイクルロードレースの充実等が挙げられる。

 

まず、「自転車のまち宇都宮」のコンセプトとしては、「だれもが安全に便利に楽しく自転車が利用できるとともに,ひとや環境にやさしい自転車を愛するまちを目指します。」とされている。それを支えている4つの柱がある。それは、・“安全”に自転車が使える・“快適”に自転車が使える・“楽しく”自転車が使える・健康とエコ”に自転車が使えるといったものである。自転車の普及を目指す上で、安全性は重要である。安全性を考える際、自転車に乗る人だけではなく、歩行者や車の運転者への配慮も必要になってくる。元来、自転車は車道を走るものだが、車道において、自転車と車の隙間が狭く、仕方なく歩行者用のスペースを走ってしまう人は多いかと思われる。しかし、2011年10月に自転車の規制強化が見直され、歩道から自転車が追い出されるように全国的に規制が厳しくなった。しかし、車道に自転車の走行スペースを確保しないままでは、自転車の行き場所がなくなり、利用者数の増加は厳しくなるのではないか。そこで、行ってほしいことは、自転車走行空間の整備・拡大である。施策事業の一つとして、自転車走行空間の確保の案は組み込まれており、重点・拡大事業としても扱われている。便利に楽しく自転車を利用するには、まず安全性の確保であるため、今後更に重視していただきたい。

 

次にジャパンカップサイクルロードレースの充実についてである。ジャパンカップは、UCI(国際自転車競技連合)公認の国際レースとして、自転車競技本場ヨーロッパのツール・ド・フランスなどに出場する世界のプロ選手と日本のトップのプロ選手を目前で見ることが出来る日本で唯一の大会でもある。この大会は、宇都宮の中心地市街を走るクリテリウムと森林公園周辺コースを走るロードレースの2つがある。実際に私ではないが、弟と父が競技用の自転車に乗っているため、興味はあった。そのため国際的でもあるこの大会を家族と共に、私は2回実際に生で観戦している。自転車に詳しくなくても、とても楽しめることが出来る。ぜひ観戦することを勧める。宇都宮市としては、「ジャパンカップ開催に併せた「チャレンジレース」や「オープニングイベント」,中心市街地を活用した「クリテリウム」などのPRイベントを開催するとともに,平成22年度にモデル事業として整備された「宮サイクルステーション」を活用した情報発信を行うなど,ジャパンカップのPRに取り組み,プロスポーツと連携して,市内外に「自転車のまち宇都宮」をアピールしていきます。」といった自転車の普及を促す活動を行っている。

 

以上の取り組みを紹介したが、ちなみに、平成23年度は交通安全施設整備事業の推進には135,000 千円、ジャパンカップサイクルロードレースの充実には92,000 千円の予算が充てられている。健康面や環境面から考えても、自転車の普及は良い影響をもたらすであろう。そのため、このような事業にも予算を充てることは市民の利益に繋がると考えられる。結論的に、現在もそうだが、財源が増えたとしても、国民のお金をきちんと有効に使ってもらうことを切に願う。

 

 

 

参考資料

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/__icsFiles/afieldfile/2012/01/12/23zen30kaia.pdf

税制調査会(平成23年度 第30回・1230日開催)議事録【内閣府ホームページ】

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120123k0000m010088000c.html

毎日新聞 2012122

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186544-storytopic-11.html

琉球新報 2012122

http://www.asahi.com/politics/update/1229/TKY201112290305.html

朝日新聞 20111229

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/dbps_data/_material_/localhost/gyoseikeiei/zaisei/yosan/23taikou.pdf

平成23年度当初予算案の大綱

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/dbps_data/_material_/localhost/sougouseisaku/kotsuseisaku/keikaku4-5.pdf

PDFファイル 宇都宮市 市役所HP 2011914